表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デビル・ジュエリー  作者: かかと
赤眼のレリク篇
108/194

赤眼のレリク 第98話

~宿にて~


「一応、作戦は成功しているみたいですが…。いったい、この女の人は誰です?」

「教えなさい。赤眼!」



だから、めんどくさいことになるって言ったんだ…。




~4ヶ月前 レリク視点~


「えっ?」

「何?」


彼らにはわざと外すように術を放った。


「どういうことです?」


ロスは首を傾げた。


「俺は情報に元にイクトに向かう。」

「イクトに?」


ラリアもよくわからないらしい。それはそうだろう。


「俺も親父から聞いただけだ。それにここの国にはいずれ戻ってくることになる。」


ロスは今でも不可解なようだ。


「まあ、それはいいとしても理由まで言ってくれないのですか?」

「ああ、これは人に言えることではない。それに、俺は早く知りすぎたのかもしれない。」

「どういうこと?」


とりあえず、確認しなくてはいけないだろう。


「すまないが、お前たちはここで仮に死んでもらう。その間にアクアの情報を調べていてくれ。俺が帰ってきたときには本格的に断末の谷に潜入する。」


ロスは少し何かを感じたのかもしれない。


「分からない!ちゃんと説明してもらわないと…。」


ラリアは怒鳴った。

しかし、それをロスがとめた。


「もやし。」

「どうやら、レリクさんには何か知っているようですね。僕たちが知っていけないような事実を…。」


俺は頷いた。


「それはアクアにつながっている。だから、別行動を取ろうということですね。」


こいつも頭がよくなった。いや、俺を理解しているだけか…。


「では、戻ってくると約束してくれますね。」


俺は考えた。距離的には少し離れているから、時間はかかってしまうかもしれないな。


「半年はかからないと思う。港で待っていてくれ。」


このメラル国の他国に開いているの港はひとつだけだ。


「むう。何を言っているのかまったく分からない。でも、戻ってくるのね。」


「ああ。あいつは今のままでは倒すことはできないだろう。」

「「!」」


二人が驚いた顔した。それはそうだろう。倒せるだろうと思っていたはずだからな。


「まあ、そういうことだから…。悪いな。今のままでは限界がある。とりあえず、お前たちには仮に死んでもらって、あいつを欺かなくてはいけない。」


「なるほど、しかし、ばれてしまうのでは?アクアはあなた以上の探索能力を持っているはずです。」

「たとえそうだとしても、彼女の狙いは俺だけだ。お前たちは眼中にない…。これ以上は教えられない。」


ドサッドサッ


俺は木を彼らに見立てた。


「それにお前らの術を放て」

「はい。」


二人は半信半疑ながらも、それぞれ術を放った。


「よし。」


俺は確認して、それを炭にした。


「なるほどね。ここまで炭化させてしまえば、今の技術では無理か…。」

「そういうことだ。」


ここでは判断できないほど、腐った死体は術エネルギーによって判断する。ギルドには自分の術エネルギーを登録してある。だから、ここではほぼ正確に犯人をつかむことができる。しかし、このようにしてしまえば死体をごまかすことができる。俺の術エネルギーを感じることをできるのは当然だ。俺が術を放って彼らを殺したのだから。それは間違いない。だが、彼らは術を放っただけ。しかし、この仮の死体には彼らの術エネルギーが宿ることになる。


「うまいですね。ここまで考えていたんですね。」


ロスは感心したように俺を見た。


「そんなわけないだろうが!」

「はっ?」

「気がつかずに、薬を飲んでいれば俺の計画通りに言ったんだぞ。ラリア、お前、俺を見張りやがって!」

「何ですって。私をあなたを心配して…。」


それをロスがとめた。


「もうやめましょう。これ以上ここにいるとばれてしまいます。ラリア。僕たちはレリクさんの足手まといでしかありません。」


彼女は下を向いた。

本当はかなり実力があるだがな…。俺がおかしいだけだ。

彼女は顔を上げた。


「そうね。赤眼の言うとおりにする。」



彼らは森の中に消えていった。さて、俺はもう少し、派手にやるか…。



俺は術を放った。



~宿にて~

「連れがいることは聞いてませんが?」


ロスは余計な人を巻き込むのは好きではないらしい。


「そうね。理由を聞かしてもらう。」


ラリアは別の理由らしい。


「ちょっと待って?私はあなたたちのことを知らないのだけど?」



話すのもややこしいことになりそうだ。



~アクア視点~



あれから、どれくらい走っただろうか?この草原には終わりが見えない。

私たちはひたすらここを走っている。


「アクア。大丈夫か?」


彼が私の横に来て話しかけてくる。彼の亀は宙を飛んでいるように見える。


「それにしてもあれはどこまで追ってくるの?」


私は後ろ振り返った。そこにはまだ黒いものが迫ってきている。

彼は首を振った。


「分からない。そもそも、私の存在がばれてしまったこと自体、ありえないことなのだが…。何かが変わり始めているらしい。」


そういって、彼は前を見た。


キュウウウウイイイイイ


彼の肩にフェニックスが止まった。どうやら、足止めはここまでらしい。


「すまないな、さて、ここからどこまで逃げられるかな。」


彼は自分の剣を空中で振るった。何しているの?あたるわけないじゃない?


ズガガガガッガ


彼の振るった剣先から見えない何かが飛んでいった。

それは黒い物体を切り裂いていく。

術の感じはしない。これはどういうこと?


「たいした足止めにはならないか。」


彼は剣を鞘に納めた。


「ここからは根競べになりそうだ。君は術を使えそうか?」


彼にそういわれて、私は手のひらに力をこめた。しかし、何も起こらない。というよりも、私自身に術エネルギーがないように感じる。


「やはり、使えないか…。」


彼にはある程度、予測はついていたらしい。しかし、私にはさっぱりだ。


「どういうこと?」


「こんな状況で話すのは好ましくなかったが、仕方あるまい。」

「いったい?」

「君は体を乗ってとられている。というよりも術エネルギーの部分だけを…。今のところはだが…。」


私は言葉が出てこなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ