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デビル・ジュエリー  作者: かかと
赤眼のレリク篇
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赤眼のレリク 第97話

~メラル国 港町  レリク視点~


「さて、これからどうするの?」


彼女は本当にこの状況を楽しんでいるようだ。


「そういえば、今日祭りがあるって言ってたよ。」

「ああ、そうだな。もちろん知っているよ。」


今日は初代国王が生まれた日らしい。まあ、俺にはどうでもいいことだが、ほかの国の国王を祝うなんて、よっぽどいい王様だったのだろうな…。


「私は祭りが始めてだから楽しみ。」

「いや、そもそも記憶がないだろうに…。」

「また、そういうことを言う。女の子にもてないよ?」


いや、もてたくはないし…。何よりも気になるのは彼女がなぜ同じ名前かということだ?まあ、偶然の一致なんてこともあるかもしれないが、この時期に同じ名前の人に会うかね?不思議でならん。


「人に会うには混雑していたほうが俺には適している。お前、俺のことを知っていないだろ?」

「だから、アクアだって。ア・ク・ア。思い出したんだから、そう呼んでよね。」

「わかった。」

「それであなたはレリクでいいじゃない?」

「これがそうもいかない。俺は…。」


後ろを見たら、数人の男がいた。


「あんたはレリク。それで間違いな。」


そういってリーダー格の人間が言ってきた。


「間違いですぜ。片目に、それに赤眼…。こんなやつはいないですよ。少なくとも目の前の奴を除いて。」

「だとしたらどうした?」


俺は彼を見返した。


「あんたには多額の賞金がかかっている。すまないが悪く思うなよ。」


彼は剣を抜いた。


「生態探査」


数は少し多いな。しかし、この感じからするにかなりの傭兵。


「少しはできるらしいな。人数は50人。ある程度、突撃して、伏せ兵でたたみ掛け、あらかじめ用意している術をかけて俺を拘束する。それがお前の戦略か?教科書レベルかもしれないが、気配を消しているところを見るにかなりやるらしいな。」


しかし、彼は顔の色を一切変えなかった。


「どうやら、ギルドの情報は正しかったようだ。あんたは強い。それぐらい俺にもわかる。」

「では、どうして俺と戦う?こちらとしてもここは穏便に済ませたい。」

「任務だしな。それにお前を倒せば、お金が手に入る。少なくとも子供を救うお金がな。」


なるほど、こいつは損得で動いているわけではないようだ。


「まあ、待ってよ?レリクは悪い人ではないし、それに両方がそうしたいなら、そうしたほうがいいじゃない?」


はあ…。こいつって奴は空気も読めないのか?


「おい、この馬鹿女はリストに載っているか?」


数人の人間が必死に探す。どうやらリストを全部持ってきているらしい。まあ、少し待ってやるか?それに彼女の顔が出てきたら、ラッキーだ。こいつも少しは自分のことを思い出すかもしれない。


「…いや…ないすね。」


ガクッ、ズルッ



まるでショートコントのように俺たちがずっこける。


「ないのかよ。」

「ないかあ~。」


俺は少しほっとしていた。


「どうします?」

「いや、俺に聞かれてもな?レリク、あんた、その女はあんたのか?」


俺は顔を横に振った。


「こいつは記憶喪失らしく、俺も困っているんだ。俺しか頼る人がいなくてな。俺もどうしたものだと思っている。」


俺は正直に話した。こいつらに預けてしまえば大丈夫だろう。

というか、こいつらは俺を殺そうと思っているのか?


「そうか…。じゃ、こちらに預けてくれ。俺たちはあくまであんたの首にしか興味がない。その女は俺が責任を持つ。」


しかし、簡単には彼女は納得しない。


「ちょっと待ってよ。私の意志を無視していない?」


何言い出すんだ?この馬鹿?


「私はレリクについていくつもりだから、勝手にしないでよね。」


あああああああ。頭が痛くなってきた。


「はあ?そりゃ、どういうことだ?」


あっちも状況が分からないらしい。


ギルドから受けている任務というのはかなり規制が厳しいので有名だ。今回の任務のような場合は俺だけを殺すことだけを許される。もちろん、無駄にほかの人を巻き込んだ場合はペナルティが待っている。


「しょうがないですぜ。あの女…。どうやら、この状況も理解できていないみたいですし…。殺すまでしなくても気絶させればいいじゃないですか?レリクは興味がないみたいですし…。」


そのリーダーは必死に考えているようだ。その間にぞろぞろと隠れていた連中が顔を出してきた。どうやら、気がついていることを察したらしい。


「そうはいきません。」


そういって、一人の子供が出てきた。


「あなたは兄の敵です。」


そういって、子供は切りかかってきた。


ほう…。どうやら、センスは悪くない。スピードもある。しかし、経験が足りていない。冷静に対処しなければならないときもある。


「おい、ラス!」



キィィィィン


俺の槍と子供の剣がぶつかる。


その瞬間、彼は左足で俺の腹を蹴ってきた。うまいな。この年にしては…。俺は力で彼を後ろに飛ばした。



「!」


彼は驚いて俺を見ている。こういう風に防がれたのは初めてだったのだろう。


彼の蹴りは空を切った。後ろに飛んでしまった分だけ、俺と子供の間に隙間ができてしまったからだ。


ドサッ


彼は片足ではバランスを保つことができず、地面に倒れてしまう。


「グッ。」


すばやく、それに反応したのはやはり、リーダー格の人間だ。


「雷鳴」


これはテディーが使っていた術と同じものだな。


「アクア、耳を塞げ。」


俺は体全体に火のシールドをつけた。こんなものは俺には効かない。少なくとも雷系統では無理なはずだ。こいつらでは…。


俺たちが術を防いでいる間に彼の仲間がその子供を回収した。


「効いてはいない。どうやら、この人数では駄目だな。」


彼はそういった。


「部下ぐらい、ちゃんと手綱を引いておけ。」

「人のことをいえるか?」


まあ、いえないか。俺は彼女のほうを見た。まだ耳を塞いでいる。

俺は彼女の肩に手をやった。

彼女はびっくりしたように俺のほうを見た。


「もう大丈夫だ。」


そういうと彼女は手を耳から下ろした。


「くそっ、まだ終わっていない。」


あの子供が後ろで暴れているらしい。


彼はあいつに近づき、腹を殴った。


「ぐっ。」


そういって、子供は気絶した。


「ここは引こう。レリク、しかし、あんたは俺たちを簡単にやれただろうに、どうして、はじめにやらなかった。」


この男だけは気づいていたろうな。


「だから、言っただろう。俺は目立つのは好きではない。」


彼は俺の目を見ていた。どうやら、嘘か本当か判断しているらしい…。


「少なくともあんたは彼女とは違うようだな。」


たぶん、あいつのことを言っているのだろう。それぐらいわかる。俺と同じレベルの犯罪者は彼女くらいしかいない。


彼はしゃべりだした。


「とはいっても、ギルドに名前があるのには間違いない。それにこの子供はロスの弟だ。」


弟?あいつにはそんなことは聞いていないが…。


「もちろん、彼は君のことを追い続ける。俺たちがたとえ死のうとも…。彼は強くなる。ここにいる俺たちの誰よりも。」


彼は子供を見つめた。


「彼を殺さなかったことに感謝してここは引くということにしておこう。しかし、これはギルドに報告させてもらう。」


俺は頷いた。ここら辺で、いいだろう。どうせ、ばれることだ。


「行くぞ。」


そういって、彼らは姿を消した。最後にリーダーが引くあたり、かなり統制が取れているな。


「さて、説明してもらおうかしら!どうやら、私は置いてけぼりだったみたいだし?」


彼女は腰に手を当てて、顔をしかめていた。どうやらかなりご立腹のようだ。


「お前のせいで話がややこしくなったのだがな。まあ、いい。話してやろう。とりあえず、宿を探す。そして、俺は仲間と合流するから、そのつもりでいろ。」

「仲間ねえ…。あんたにそんなものがいるとは思わなかったけど?まあ、いいか。じゃ、その後、一緒に説明してね。」


俺は頷いた。


こいつを見たら、どういうかな…。



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