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デビル・ジュエリー  作者: かかと
赤眼のレリク篇
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赤眼のレリク 第92話

~洞窟の入り口付近~

「う~ん…。」


彼女は目を覚ました。


「えっと…。ここは?」

「覚えていないのか?」


俺は彼女に尋ねた。


「ええ…。そういえば、大変なんです!モンスターがモンスターが…。」


俺は彼女の手をつかんだ。


「少し落ち着け。深呼吸をしろ。」


彼女は俺の目をみておとなしく、言われたとおりにした。

そうすると彼女も今の状況はある程度わかったらしい。


「ここは洞窟の入り口ですか?」

「ああ。そうだ。お前はいったい何をしにいった?」

「すみません。」


そういって、彼女は体育座りをしてしまった。

どうやら、怒ったように聞こえたようだ。


「いや、怒っていない。どこまで、君は覚えている?」

「私は洞窟の中を探索しようと歩き回っていました。」

「何のために?」


彼女はまた顔を伏せた。少し意地が悪かったかもしれない。


「いや、それはいい。続けてくれ。」

「はい。」


そういって、彼女は語りだした。何か、俺が尋問しているようで余り気分はよくなかったが…。しかし、俺の危惧していたことはあたっていたようだ。無意識の術の行使か…。俺は学校の先生なんかやったことはないし、むしろ問題児だったような気がする…。


「どうしました?」


彼女が怖がって、俺のほうを見ている。それは当然だ。


「なんでもない。しかし、君は少し普通の人とは変わっている。」

「それはそうです。記憶喪失なんて、そうあることではありませんし…。」

「それは違う。記憶喪失は心意的なストレスによって引き起こされることもある。最近では戦争などで記憶喪失になった患者が多くなっていると聞いている。大体は君のように自分自身の事を忘れてしまうことが多い。」


彼女は自分の体を見つめていた。


「その場合、ある程度のことは覚えている。たとえば、君は包丁の使い方とかは覚えていたし、ドアの開け方も覚えていた。」


……。


「それが正しいとして何が問題のなのか、私にはわかりません。」

「もちろん、そうだろう。しかし、モンスターを倒したのは君だ。」

「私がモンスターを倒した?」


彼女は自分の手を見つめた。そこには何もないだろうがな…。彼女がその手を見て、連想できることはないだろう。


「信じられないかもしれないが、君が倒していた。それも氷系統は少なくとも普通の術師では扱うことができない。どうやら、君はどこかの騎士、もしくは傭兵か冒険者…。」

「私が?そんなことないですよ。それにしては体力がないじゃないですか?」

「俺は普通に歩いていた。俺が言うのもなんだが、ある程度名を売れている傭兵だ。そう簡単についてこれる相手ではないはず。俺が始めに気がつくべきだった。それに君の手を見てみろ。」


そういうと彼女は自分の手を見た。


「それは剣を使ったときにできる肉刺だ。これだけは間違いない。おそらく、君は何かしらショックが原因で記憶を失ってしまったのかもしれない。」


彼女は何かを考えているようだ。


「無理に思い出す必要はない。それによって、さらに記憶がなくなるかも知れん。」


彼女は俺を見て、


「では、どうしたらいいのですか?」

「どうもすることはない。とりあえずは俺が近くにいる場合はとめられるはずだ。それよりも君は学校に行っていたか?少し思いしてくれないか?」


無理に思い出すなといっておいてだが、これがあるのとないのではずいぶんと違うはずだ。学校である程度、学んだものは術の行使が比較的制御しやすい傾向にあることが研究結果からも明らかになっている。


彼女は暗い顔をして俺のほうを見ていった。


「思い出せません。」


だろうな。そうでなければ彼女が気絶するまで、術を使うとは考えにくい。


「そうか…。俺が思っていたとおりだ。すまないが、これからは少し歩く行程を遅らせる。」


彼女はいった言葉を受け取れなかったようだが、しかし、彼女は気がついたらしい。


「それでは、レリクさんの予定が…。」

「すまないが、そんな状況ではない。君をこのまま、ほおって置くほうがもっと大変なことになる。」

「?」


彼女には言っていることがわからなかったようだ。




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