タイトル未定2025/09/30 22:13
億り人になりたいな〜
お暇だったら読んでください
「フッ、この場所こそ、俺の人生逆転の狼煙だ!見たか、この完璧なロケーションを!」
逆瀬豪は、額の汗を拭いながら、自分のトラックから降ろした真新しい自販機を見上げた。設置場所は、地方の寂れた温泉街にある、由緒ある神社の入り口だ。
(300万円の元手で始めた自販機ビジネスも、今や黒字安定。総資産は一千万円。俺の事業家としての才能は、疑いようがない!)
豪は、この自販機が必ず儲かると強く確信していた。
「誰もが『神社の境内なんて罰当たりだ』と怯む。だが、逆だ!参拝客は喉が渇く!地元のジジババは温かいコーヒーを買う!日当たりは完璧!人通りも完璧!完璧すぎる!俺の才能がほとばしっている!」
豪が「一気に億り人!」という究極の欲を胸に、自販機の設置を完了させた、その瞬間だった。
社の奥、古びた鳥居が立つ結界の向こうから、冷たい風が豪の背中を撫でた。
その冷たい風は、豪の背中にまとわりつくように止まる。豪の背中に、ぼんやりとした黒い影がゆっくりと形を成していく。それは、豪の「億り人になりたい」という強すぎる「欲」に引き寄せられた、神!!「逆神」だった。
豪は背中に妙な圧迫感を感じ、思わず鳥居を見上げる。誰もいない。
(妙な場所だ。だが、この欲こそが、俺を成功に導く!)
豪は、「逆神」が今、自分の背中に密着したことに気づかぬまま、次の大博打へと意識を集中させる。
(フッ、自販機なんて所詮バイトだ。俺の真の戦場はモニターの中。一千万を、一気に一億円にしてやる!)
豪は、次の大博打に使う**「確実な情報」**を探すため、IT企業の清掃のスポットバイトへと向かった。
豪の仕事は、ビルのフロアの清掃と、機密書類のシュレッダー処理だった。社員たちは豪を**「清掃員」として見下しており、彼の前で平気で愚痴や内情**を漏らしていた。
豪は、休憩中に社員食堂で、営業部の社員の会話を耳にした。
「いやー、部長、あのAI技術、デモはすごいけど、現場への導入テストが大失敗ですよ。システムが重すぎて、来月の公式発表までに間に合わないって、みんなで青くなってるんです」
「馬鹿言うな。社長は『革新』で押し通すぞ。株主総会で強気の姿勢を見せるんだから、問題ない」
豪は、このネガティブ情報をメモしたが、これだけでは確信に至らない。
次に、豪が機密書類のゴミ箱から拾い上げた、シュレッダーにかける前のメモに目が釘付けになった。それは、技術責任者が書いたと思われる走り書きだった。
「…AI技術の理論は正しい。だが、現場の社員には理解不能。頭がおかしくなるほどの革新!…導入を強行すれば、株価は急落するだろう。」
「これだ!」
豪の「天才的な分析」が、ここで火を噴いた。彼は社員の会話とメモの情報を、瞬時に一つの結論**に結びつけた。
(誰もが『革新』と信じているが、現場では機能不全!技術責任者も、あまりに革新的すぎて、誰も理解できず、結果的に『失敗』すると確信している!そして、社長はそれを無視して強気発言**をする…これは大暴落の黄金パターンだ!)
究極の欲と「逆神」の覚醒
「もうチマチマやるのは終わりだ!一千万円を一気に一億円にしてやる!」
豪は、全資産一千万円を担保に、信用取引の限界まで使って空売りを仕掛けることを決意する。
「行け!行け!行け!今回ばかりは、俺の分析に一片の曇りもない!この空売りで一億円だ!伝説のトレーダー爆誕だ!」
指がエンターキーを押す。
『注文完了』
豪の背後で、黒い影(逆神)が、豪の「俺は勝つ!」という究極の欲に反応して、強く光を放ち、覚醒した!!
豪は、モニターの隅に流れるSNSのコメント欄を横目でにらんだ。
「岐阜ボーイが全ツッパか」
「今回は空売り!逆張りの神頼みだな」
「彼の動向は逆の指標として使える」
「ちくしょう、みんな好き勝手言いやがって!俺の才能で、絶対に勝ってやる!」
豪の背中の「逆神」が、豪の「俺は勝つ!」という強い想いに応えるように、黒い光を放ち、株価のグラフに影響を与え始める。
豪が「俺は勝つ!」と強く念じた直後、市場は反応した。
数秒の後、青い線が真上に向かって垂直に伸びた。株は暴騰し、空売りした豪の資産は瞬時にゼロを通り越してマイナスに。追証の通知が鳴り響く。
「な、な、な、なんだとォォォ!?**嘘だろ!?**止まれ!**一千万円が!**なんで上がるんだ!俺は下がると言っただろォォォ!」
豪は、モニターを睨みつけ、絶叫した。
「なんでだ!俺の分析は99%正しかったはずだ!なぜ俺だけいつも裏切られるんだ!」
豪の背後で「逆神」が、満足げに豪の肩に手を置いた。その冷たさが豪の背中に伝わる。
IT企業の公式発表が速報で流れた。豪が掴んだ**「ネガティブ情報」は、実は「頭がおかしくなるほどの革新!」という「超ポジティブ」**な発表だった。
「**嘘だろォォォ!**通訳ミスか!**俺のせいじゃない!**こんな情報、誰だって間違うだろ!俺の運が悪いだけだァァァ!」
暴騰は止まらない。豪の資産は瞬時にゼロを通り越してマイナスに。**自販機事業で得た全ての利益(一千万円)**が、この一瞬で吹き飛んだ。
結局、豪は全資産を失い、追証の負債を抱えることとなった。自販機事業の元本は、証券会社への支払いに充てるしかなくなった。
そして翌朝、豪が成功の証となった神社の前の自販機を見に戻ると、その神社の前に大きな規制線が張られていた。
「急告: この場所は重要文化財の発掘調査地に決定しました。つきましては、周辺一帯を立ち入り禁止とし、速やかに構造物の撤去をお願いします。」
豪が**「絶対に儲かる!」と最初の大欲**をかいて設置し、成功の起点となった自販機までが、悪運によって、売れないどころか、存在すら許されないという理不尽な結末を迎えたのだ。
「**嘘だろォォォ!?**俺の自販機が、発掘地のど真ん中!?なんでだよォォォ!」
豪の背後で「逆神」が、満足げに微笑む。その存在は、豪の絶望を栄養源にするかのように、より一層強く、黒い光を増していた。
豪は、自分の運のなさを呪い、次の情報を求める。
「ちくしょう、この悪運の連鎖を断ち切るには、次の情報が必要だ!俺の才能を活かす確実な情報を!」
豪は、居酒屋でのスポットバイトの求人情報を確認する。
(問題ない。この悪運は、次なる『確実な情報』の仕込みへの通過点に過ぎん!)
豪は決意の雄叫びを上げながら、自販機の前に広がる空き缶の山を拾い始める。彼の『悪運の連鎖』は、今、確実に始まった。
次回予告: 第2話「居酒屋の神様!酔っぱらいの裏情報は空売りのサインか?」。豪は、スポットバイト先の居酒屋で得た**「確実な裏情報」を元に、再び悪運を発動させる!そして、彼の悪運を論理的に利用しようとする運命の男**と遭遇する。読んでくれてありがとう!!
次回、お楽しみに!




