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ショートショート(短編集)

タマちゃんとハッピーちゃん

作者: 清水進ノ介

タマちゃんとハッピーちゃん


 あるところに、一匹の白猫がいました。名前はタマといいます。

 タマちゃんの頭のてっぺんには、一輪の花が生えています。ひまわりに似た花で、タマちゃんの顔と、同じくらいの大きさです。目もあるし口もあるので、しゃべることが出来る不思議な花です。その花の名前は、ハッピーといいます。


 タマちゃんとハッピーちゃんは、いつも一緒、ずーっと一緒です。ハッピーちゃんは、タマちゃんの頭に生えているのだから当然です。一年くらい前に「言葉を話す花なんて不気味だ」と言って、ハッピーちゃんを引っこ抜こうとした、愚かな人間がいました。ハッピーちゃんはとても怒って、その人間を、モグモグしてしまいました。ハッピーちゃんは、人間は嫌いだと不満をもらしていましたが、タマちゃんはニコニコと笑いながら、ハッピーちゃんがモグモグしているところを見ていました。


 タマちゃんはいつもニコニコ。いつも朗らか。誰もタマちゃんが泣いているところを、見たことがありません。

 ガールフレンドのミィちゃんが病死した時も、タマちゃんは、笑っていました。

 親友のクロちゃんが、車にはねられて、死んでしまった時も、タマちゃんは、笑っていました。

 タマちゃんはどんな時も、とっても幸せ。ずっとずっと、ニコニコの笑顔なのです。

 なぜならハッピーちゃんがタマちゃんの脳に寄生しているから。


 ハッピーちゃんは、生き物の脳を住処にする、寄生生物です。そしてハッピーちゃんの栄養源は、負の感情なのです。「悲しみ」「嫉妬」「憎しみ」「妬み」。そういった負の感情を、全て宿主から吸い上げて、食べてしまうのです。

 だからタマちゃんは、とっても幸せ。ずっとずっと、ニコニコの笑顔なのです。

 ハッピーちゃんは、軽快な口調で、タマちゃんに質問しました。


「ハッピーだよね?タマちゃん?」

「……」


おわり

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