シークレット8‐2
「とりあえず、第一段階クリアお疲れ。幸」
本当は死んでなんかいない。
あれは、演技であり流れていた血は血のりだ。情報屋「縁」から依頼が入り、米田家に潜入したのである。依頼人が中学生ということもあり断りきれなかった。
我儘放題の愛理とは違う。
依頼をしてきた二人の深く愛し合っている関係を壊したくなかった。
まだまだ、先は長いのだから。
何十年も続くのだから。
道を間違えないように導くのも大人の役目だ。
愛理たちに死んだと見せかけたあの日。
幸美は地下にある牢屋に監禁されていたが情報屋に回収された。本当は情報屋ではなく琥珀に迎えに来てほしかったと幸美は桜色の唇をとがらせる。
その様子に幸美はクスクスと笑う。
二人とも何というか、色気がただ漏れである。
性格も明るくて琥珀と幸美の憧れている女性警察官も多い。
「まぁ、お疲れ様という意味を込めて飲もうよ」
幸美が冷蔵庫からビールを取り出す。琥珀はできたと言って料理を運んできた。
出来立てのパスタにアボカドのサラダ。
卵のスープ。
料理は琥珀の担当だ。彼女は料理自体できるものの掃除・選択が破滅的にできない。幸美がそれをフォローしている。
いい感じに分担ができていた。
いただきます、と言って食べ始める。美味しいと、幸美が幸せそうな顔になる。もう一人の同僚を顔が浮かんだが、無視だ。
無視。
彼は真面目手仕事一筋である。堅苦しい男に琥珀の料理のおいしさは分からないだろう。同僚には悪いが引き続き仕事を頑張ってもらおう。
「幸はこのあと、米田家に戻る予定?」
「うん。そう」
「面白そうで羨ましいわ」
「琥珀、仕事に面白いも何もないよ」
「私は面白い方がいいな。だってやりがいがあるじゃない」
「――確かに」
「幸は好きな人はいないの?」
琥珀の唐突の言葉に、幸美はビールを吹き出した。
「急に何?」
「いや、中学生でもする時代よ? 幸美いないの?」
「気になる人はいないよ。仕事が恋人。琥珀はどうなのよ?」
束の間の休息。
私はねと琥珀が話し出す。
二人の恋バナはまだまだ続く。




