【第3通】布と宝石
この物語はフィクションであるため、本作に登場してくる地名・人名などは現実に存在するものとの関係性はありません。
今日は多くの人が待ちに待った建国祭の初日。もしかしたら街が舞ったのかもしれない、知らんけど。まぁ、取り敢えずこの建国祭は、1年でめちゃくちゃ盛り上がる。なんかそれはとんでもなく盛り上がる…はず!
■■■にとって初めての建国祭となる。いや、まぁ、この子生まれてから何度も建国祭あったんだけど、小さいから心配されちゃってこれまで来れなかった的な感じ。あの2人育児経験無いし、過保護になりやすいよね、だって子どもってかわいいじゃん、ね?まぁ、2人とも主催者側に回る影響で一緒に建国祭を見て回れないっていうのも原因の1つだった。そして、この状況を変えたのはヴィーチェだった。2人が仕事の間に■■■がお祭りに行けないのはかわいそうだって話になって、2人の代わりに■■■をヴィーチェが見ておくということになった。
「正直僕がいてもいなくても問題無かったと思うんだよね。」
ヴィーチェがそう言いながら見渡すのは、王城の周りにできた人溜まりである。なんか酔いそうなくらい集まってる。建国祭の幕開けは大体こんな感じである。原因は、王様と聖女様そして勇者様の人気度だろう。この3人は滅多に会えないから、「開店準備してる場合じゃねぇ!」って感じで王城前に集まってくる。国民の代表とされている王様と他その2人は、彼らの人物像を深く知らない人からするとふわふわしてる様子で「この国大丈夫か?」と心配されるだろう。えっ?このままだったら話が脱線しすぎて尺が足りなくなるんじゃないか、って?問題無いと思うぞ、だってよく人生上の体験は言葉だけじゃ語りつくせないっていうだろ?言わないのか…。
「あっ!そうだ、前から気になっていたんだが■■■、財布は持ってるのか?お小遣いをあの2人から貰ってるのは知っていたが、■■■の財布を見たことが無いなと思ってな。」
「…。確かに、持ってない。いつもポケットに入れてたから気にしたことなかった。」
■■■はそう言いながらズボンのポケットに手を当てた。お金はしっかり入っていたようだ。
「というわけで、ヴィーチェお兄さんからプレゼントをあげよう。」
ヴィーチェはどこからか鞄のようなものを取り出し■■■の肩に掛けた。チャックが2つ付いてて、片方を開けるとお札と小銭、カードを入れることができるようになってる。もう片方を開けると小物が入れられそうな鞄になっているが実際は見た目以上に入れられるようだ。
「これもらっていいの?ありがとう!大事にするね。」
「喜んでくれてるなら嬉しいよ。この鞄は他の人からは開けられないようになってるから盗られても心配しなくてもいいぞ。」
大事にするって言ったものを盗られて心配しない人間はそんなにいないだろ。
「盗られないように気を付けるね。・・・ねぇ、ヴィーチェお兄さん。この鞄の中にお金入ってるよ?もしかして、お兄さんの全財産だったりしない?」
「んなわけないよ。俺からのお小遣いだよ。普段から君に魔力を分けてもらってるし、僕とも仲良くしてもらってるし、ね。これからも他の3人だけでなく俺のことも懇意にしてほしいって意思表示だよ。あ~、もちろんその3人からのお礼もそれに含まれているからな。」
「そっか、それなら他の人にもありがとうって伝えておいて。機会があったらぼくもお礼しに行くから。」
もうすぐお祭りの始まりを王様達が告げる頃だろう。
ざっくしまとめると、
「恵まれた天候の中こうしてみんなで国の繁栄を祝えることを嬉しく思う。これからもこの国のことをよろしく!」的なことだったと思う。話していたのは1~2分程度だったと思うけど、その場にいると実際より長く感じることってあるよね。あとは聖女様と呼ばれている大聖女様のレイリスと歴代勇者の中で人気の春野空が挨拶をするのだが、空がめっちゃ緊張してる様子が見える。彼にとって約3年つまり9回目くらいの建国祭になるのだが、人前に出ることましてや人前で話すことに慣れていないのである。そして、その緊張のあまり、予め決めていた言う内容が頭から消え去ってしまうのである。割愛させてもらうが、無事2人の挨拶はおわった。レイリスは満面の笑みであるのに対して空は耳を赤くし顔は恥じらいを示していた。因みに3人がそれぞれ話している横でその様子を見ていた者が3人いた。第一王子と第三王子、第一王女である。おい待て第二王子どこ見てんねん。
「ヴィーチェお兄さんそろそろお店も始まりそうだし、ぼくたちも行こう!・・・いない?」
(歩いてれば見つけられるよね?燃えるような赤い髪はこの世界で自分しかいないって言ってたし、大体ヴィーチェお兄さんがいなくなるのは都合が悪くなった時って決まってるから。)
背伸びしながら周りを見渡してみた後、■■■は1人で回ることにした。
建国祭は日頃お世話になっている人や大切に思っている人(自分が家族だと思っている人)にプレゼントを贈り合うのが定番となっている。場合によっては、建国祭の後日に贈る人もいる。
■■■が色々な出店や屋台を見て何を買おうか考えながら歩いていると、前から子どもがぶつかってきた。
「わっ!ごめんね、周り見てなかった。ケガはない?」
■■■は虚空に向かって問いかけた。そのことに気付いた■■■は少し恥ずかしさを感じながら感じながら立ち上がって歩を進めた。ぶつかった子は話しかける前に逃げるように走って行ったようだ。
(あの子急いでたのかな?大丈夫だといいけど…)
あっ!・・・まぁあの2人がいるし問題ないか。
■■■はとある出店の前で足を止めた。綺麗な織物が置かれていて、彩り豊かな店である。そこで、■■■はとある織物を手にとった。
(おとーさんに合いそうなきがする。)
「この布いくらですか?おくり物として買いたいんですが。」
「1m毎に500円で売ってるよ。加工しないで贈るつもりならラッピングもしてあげるようか?」
「ありがとうございます。10mお願いしてもいいですか?」
「えぇ、大丈夫よ。じゃあ5000円になるよ。」
「うん!」
■■■が鞄からお金を取り出そうとしたが、鞄がなかった。ズボンのポケットに手を入れたが、貰った鞄になおしたのを思い出したみたいだ。
「ごめんなさい。かばん無くしちゃったみたいで買えないみたいです。」
「ねぇ、鞄ってこれのこと?」
声のする方を■■■が見るとのポニーテール男性とクラゲの様な女性がいた。
「スられてたよ。偶然居合わせてた僕たちが取り返してきたけど、気を付けなきゃダメだよ?この世界の人が必ずしも優しいとは限らないからね。」
「ありがとうございます。これ大事なものだったので助かりました。」
「私は何もしてないよ。…何かあったら私たちのいる教会に来て。探すなら私の方が分かりやすいと思う。」
「僕もかっこつけたかっただけだから、気にしないで。モカそろそろいこっか。」
「それじゃまたね。」
「はい!ありがとうございました!」
ちょっとしたトラブルはあったけれどレイリスへの贈り物が買えて少し気分が高揚しているようだ。アホ毛が犬の尻尾のようだ。
「すみません。私に似た男の子見かけませんでしたか?」
野生の女の子が現れた。彼女は質問をした。
「み、見てないです。力になれずすみません。」
「謝らないでください。悪いのは僕を置いて勝手にどこかに行ったリアムですから。もしリアムを見かけたら噴水のところで待ってるって伝えておいていただけるとありがたいです。それではもう行きますね。ばたばたとごめんね!」
「(嵐のようだったなぁ。)」
次に立ち止まったのは、アクセサリーの露店のようだ。色々な宝石加工品が売られている。可愛らしいアクセサリーだが、値段はそうではない。つまり、火傷してしまうタイプである。しかし、■■■は隅の方にアウトレット価格で売られている宝石を見つけた。その中で1つ変わった宝石を眺めた。
「おっ!坊主お目が高いな。その宝石はこの世に1つしかないものだ。」
「そんな品ならこんな所でこんな値段で売らないよね?」
「なんでか当てられたら値引きしてやろう。3000円までだが。」
「えっ?う~ん。」
「代わりに僕が答えるよ。この世に1つしかないのはおじさんが作ったからだよね。だから、正規の値段で売れない。この宝石の名前が存在しないし、もし新種として売っても出所が問われる。でも下手に安い値段で売ることはできない。くず石だとしてもそれなりの値が付くを複数組み合わせてつくった宝石みたいだから。そうでしょ、おじさん?」
「ああ、そうだよ。大体の人間には宝石じゃなくてガラス玉だからだろって言われたんだが、当てた子どもはお前さんぐらいだ。」
「ぼくもこの宝石が偽物だからかと思ってた。」
「僕もこの石は気になってたからね。観察してたら違和感があったんだよ。にしてもこんなものつくれるなんて、おじさんの腕は相当なものだね!今度依頼してもいい?」
「あっ、あぁ。もちろん大丈夫だ。ただ無茶ぶりはやめてくれると助かる。」
「僕は基本、理論上可能なことしか言ってないよ。できなかった時は、たいてい何か見落としてるか力不足かでしょ。できることが増えるのはいいことでしょ?知の真髄を味わい尽くせるってもんでしょ。」
「(さすが悪魔一家の子供だな。)」
「おじさんそれは僕たちに対する侮辱として受け止めてもいいのかな?都合がいいから噂は流し続けてるけど、僕たちが貴族だってことは忘れないでね。僕むやみに人を消したくないからね。」
「聞かなかったことにしてください。なんでもしますから。」
「『何でもします。』なんて貴族の前で軽々しく言わない方がいいよ。僕みたいなのは骨の髄まで搾り尽くすからね。…と、まぁ、冗談は置いといて、この子にさっきの宝石値引きして売ってあげて。そうすれば聞かなかったことにするから。いいね?」
「はい。承知しました。」
「君もそれでいいね?」
「あっ。はい、ありがとうございます。」
2人のやり取りを訳も分からず何となくで聞いてたからか、■■■の返事は少し遅れた。
「そんなに怖がらないでよ。そこら辺にいる子どもと変わらないんだから。貴族としての言動なんて普段してないから、気にしないでよ。」
(いやムリだよ!)
「ところで、僕に似た女の子見なかった?僕の髪を伸ばした感じの子なんだけど。」
「その子なら噴水のところで待ってると思いますよ。」
「ほんと!気になるもの片っ端から見て回ってたらはぐれちゃってね。それじゃ、2人ともまたね!」
(元気だなぁ。)
「死ぬかと思った。」
「あの人いい人そうだけどね。」
無事に空に渡す贈り物を変えてご満悦のようだ。しかし、■■■は2つのことに気付いていなかった。1つは後ろをつけてきていた人がいたことである。因みに、途中でその人はどこかに連れてかれている。もう1つは■■■が気付いてから。
ヴィーチェと合流して、■■■の住む家に帰っていった。家に帰って鞄の中身を整理していた■■■はあることに気付いた。
「自分の日記帳買うの忘れてた。」




