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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

小噺:僕のいたずら

作者: 花原

ぜひ一行ずつスクロールしてみてください。

僕の名前、当ててみて。今日は待ちに待った、どんなことでも叶えられる日だよ。今日の僕はまるで魔法使いなんだ。みんなの中からいちばん面白いものを選んで、息を吹き込んであげるのが好きなの。


これはとてもおおきな力。しかも僕しか持ってない。だから失敗しないよう、たくさん準備してきた。今日は朝から忙しかったんだよ。ぜんぶ面白いんだもの。いちばんを決めるむずかしさなんて、チョコレートケーキとチーズケーキ、どっちかしか選べないのとおんなじ。


さて、僕の話は終わり。今回の主役はこのお嬢さん。身体にいくつもの管が刺さってる。目が閉じ続けるその姿を見ていると、僕は桜が散るのを見るのとおんなじ気持ちになる。いいね、やっぱり今日という日にはきみのような人が相応しい。僕の魔法にかけられて、いっておいで。



きみの瞳がまばたきを思い出した。傍にいるのは家族だね。人の目って不思議だよね、そこからこんなにも感情が零れ落ちるんだもの。二人とも、きみが長い夢を見始めてからずっと寄り添ってきたんだろうね。彼ら、もう手相だって完璧に覚えてるんじゃない?

「奇跡だ!」

そうかもね。この人は父親だよね。あら、目の下が真っ黒。

「信じられない…目が覚めたなんて…」

この人は母親みたい。そこに置いてある写真の人とはまるで別人。

「先生を呼んできます!」

今出ていったのは看護師さんかな。廊下に旋風でも起きそうな勢い。


そしてここにいる人、みんな今日という日がきっと忘れられなくなる。


僕の名前、当ててみて。今日は待ちに待った、どんなことでも叶えられる日だよ。今日の僕はまるで魔法使いなんだ。みんなの中からいちばん残酷なものを選んで、息を吹き込んであげるのが好きなの。

だからほら、きみは目なんて覚めていなかったんだよ。

『小噺:エイプリルフールのいたずら』

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