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未来3
忘れたと思った。
女性への憧れを無理に好きと思った。
そしてそのまま彼女は自分の中からいなくなったと思った。
いなくなった、はずだった。
でも、その日から少しずつ自分はズレていった。
少しずつ、少しずつ、自分でもあまり気づかない程度に。
気づいた時には遅かった。
自分が自分ではなくなっていた。
歪んでいた。
歪に曲がっていた。
心が、腐っていた。
自分は怖くなった。
自分に恐くなった。
歪んだ自分に。
ズレた自分に。
気づいた。
彼女がいなくなったら自分は自分でなくなるということに。
それくらい自分にとって彼女は当たり前の存在であったのだ。
当たり前過ぎて分からない程度に自然だったのだ。
彼女がない生き方など、自分にはなかったのだ。