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幸せを運ぶもの

作者: エルビン浅田

幸せを運ぶものとは何だろう。

思わぬものがひょんな事で幸せを運んでくれる。

不思議な力。


               1


 雄一が高田馬場のこのアパートに引っ越してきたのは先月の初め頃だった。学校にも近いしそれに家賃も安くて部屋も綺麗だった。それに何よりも僕のガールフレンドの沙也香がこの近くに住んでいた。それがここへ越してきた一番の理由かもしれない。


 沙也香とは付き合い始めて1年になる。大学の合コンで知り合った。バーベキューを食べながらみんなでワイワイ騒いでいたのだがその時にはそんなに話をしたわけではなかったけど電話番号は聞いていた。可愛い顔立ちのまだあどけない印象が忘れられず2.3日経ってから思い切って連絡したのだった。


 それから時々食事をしたり映画を見たりのごく普通の女友達という関係がずっと続いていた。ところがどういうわけかその間ずっとキス一つしなかったのだ。彼女のことが好きなことは好きだったのになぜそうなのか、雄一にもわからない。


 沙也香とセックスをしたのは知り合ってから半年後ぐらいだった。


 深い関係になればなったでお互いにちょっとしたことでケンカもしたり口をきかなくなったり拗ねてみたり傷つけあったり、今までとは違う心模様が出てくる。


このままでいいのだろうかとか、これからお互いにどうしていけばいいのだろうかとか、そういう不安にさいなまされ、二人の関係は遊びであるはずはないのだが、かといって結婚という将来の選択枝などは現時点では二人には重すぎるともいえた。だいいちまだ二人は学生なのだったし地方から出てきた者同士、現実をみればそれぞれが親のすねをかじっているまだ半人前の子どもなのだった。


 とはいえ、ではお互いに別れるか、ということになるとそれもできない。

 先の事を考えればそんな心の葛藤の深みに次第にはまり込んでいくことをおそれてお互いにそういう話をすることを避けていた。日々を現実から逃避するようにして、将来の話は避けて別の話題を探していたともいえる。

 

 このままではいけないと雄一が自分の心を大きくUターンさせたのが今回のこの引っ越しでもあった。沙也香のために生きようと決心し、沙也香のアパートのあるこの高田馬場に引っ越ししようと思ったのだった。そうすればまた新しい展開もできるかもしれない。そんな理由もあった。


             2


 ところで、

 

 引っ越ししてまもなく気づいたことだが、マンションの裏手に昔風の古いかなり大きな木造の家があった。マンションの裏口の狭い道路に面してその家の玄関がある。


 レトロな建物だったが玄関の石の門柱は薄黒く汚れ、上の方には苔が生えている。表札もなにもかかってはいない。屋敷全体が朽ちたような印象で、母屋の屋根瓦も荒んでいた。庭木は伸び放題に伸び、手入れされている風もない。庭には雑草がびっしりと生い茂っていて、玄関の引き戸も閉まっていた。


 「たぶんこの家は空き家なんだろうな」

 雄一はそう思いながらその家の前を通り過ぎるのが常だった。


 ところが、二、三日経った頃だっただろうか、その家の玄関がわずかだが開いているのに雄一は気づいた。ほんの十センチほどだが時々開いていることがある。

 幽霊屋敷のようなその家の様子からして人が住んでいるとは思えないが、奇妙な思いが胸によぎりはしたが、気にも留めず通り過ぎていた。


 翌日も、その家の玄関は少しだけ開いている。やっぱり人が住んでいるのか。それにしては夜には灯りがついていないようだし、不思議なことだと思い、玄関を観察しながら通り過ぎる。


 次の日も少し玄関が開いていた。

 それからそこをとおるたびに雄一はその家の事が気になり始めた。 

 立ち止まって道路から玄関の方を覗き込んだりしてみる。


 玄関の柱には赤茶けた古びた郵便入れのようなものががかかっていた。

 やはり誰かが住んでいるのかな。

 さらに目を凝らすと、その玄関の格子戸の向こうにぼうっと黒い影のようなものがぼんやりと映って見える。その影のようなものはじっとしていて動かない。 何だろうあの黒い影は。



               3


 「どういう事なんだろうね、あの家。いつも少しだけ戸が開いてるけど、いつも中は真っ暗だし、今日は玄関のガラス越しに何か黒い影みたいなものが見えるんだけど、気味が悪いんだよ」

 ある時、沙也香が雄一の部屋に遊びに来た時にその話をしてみた。

 

「へえー、それってなんか不思議ね。ねえ、このアパートの管理人さんに聞いてみたらどうかしら。何か知っているかもしれないよ」

 興味津々という表情で沙也香は言った。


 翌日、雄一は学校に出かけるついでに管理人室をのぞいてみた。

 でっぷりと肥え、見事に頭の禿げ上がった管理人はうす笑いを浮かべながら雄一の話を聞いていたが、


 「俺もよくは知らないんだけど、空き家じゃないかねえ。もとは内科か何かの開業医さんだったって聞いてるよ。今はあんなになっちゃってさ、お医者の旦那さんが亡くなって後を継ぐ人もいなかったらしいよ。高齢の奥さんがいるとか言ってたけどなあ、施設の車が時々停まってるの見ることあるよ」


 快活な声でそう答えてくれたが、それがどうかしたのかいと、雄一を怪訝そうに見つめている。

 「いえ、別にどうって事はないんですけどね、あの家、やっぱ空き家ですか、ちょっと気になったもので」

 「ああ、そう言えばねえ・・・、」

 管理人は雄一の目をのぞき込み、いたずらっぽく脅かすような声で言う。


 「いつだったかこの近くに住んでる人から聞いたんだけどさ、夜中にあの家の前を通ったら、真っ暗なのに大勢でお経をあげている声が聞こえてきたとか言ってたよ、亡霊の読経だよ。おまけに屋根の上から白い煙のようなものが立ちのぼっていったとかでさ、その人、叫び声をあげて大慌てでうちに帰っていったらしいよ」


 「えー、マジですか!」

 雄一は思わず目をむいた。

 管理人は大きな口をあけて笑った。


              4


 一週間ほど経った頃だっただろうか、

 硝子越しにやはり黒い人影のようなものが見える。 

 思い切って玄関の方へ歩み寄っていった。確かに中に人がいる!


 戸の隙間から中をそっと覗き込んでみると、人影は立っているのではなく。なんと!

 そこに誰かが寝ているのだった。ドキッとした。

 人の脚の辺りが見えた。

 寝間着のようなものを着てそこに横たわっている。

 布団らしきものが敷いてあった。

 

 玄関に?ひょっとして死体かなんか。

 薄気味悪くなった。声をかけようか、いや余計なことをしてトラブルにでも巻き込まれたらやっかいだ、あわてて引き返した。


 沙也香にその話をすると気味悪がった。

 夕方近くなって二人は連れだって近くのスーパーへ買い物に行くことにした。

 その家の前を通った時二人はいつものようにその玄関の方に目をやった。

 死体らしきものは?

やはり玄関の戸が数センチほど開いている。

 

 次の瞬間、雄一は思わずあっと声をあげた。その戸の下に小さな黒くうごめくものを見つけたのだ。


 子猫だ。小さな黒猫がこちらに顔を向けている。

 目が合うとその黒猫は戸の隙間をすり抜けてこっちに走り寄ってくる。


 「猫だ!」

 雄一は猫を指さしながら沙也香にそう言った。

 沙也香も驚いたように指さした方に顔を向けた。

 猫は二人の方に走り寄ってくる。


 「この家の飼い猫かしら」

 小さなその子猫は二人の足下にすり寄ると細い声でニャーと鳴いた。しっぽを雄一の脚に巻き付けて離れようとしない。


 思わず頭を撫でてやった。まだ生後1.2ヶ月ぐらいだろうか緑色の目をした小さな黒猫だった。首輪はしていなかったが毛並みは野良猫のように荒れてはいない。ツヤツヤとして綺麗だった。


 「これ、たぶんこの家の猫だろうね」

 その子猫が側から離れようとしない。

 ぴったりと身体を雄一の脚に寄せて切ない声で鳴いている。


 「参ったな。この猫離れないよ」

 雄一は子猫を抱き寄せた。子猫はクーンと今度は嬉しそうに鳴いた。


 「うちの中をちょっと覗いてみようよ」

 この子猫、俺から全然離れようとしない。、とにかく猫を玄関の中に入れてやろうかよ。

 そう言うと雄一は猫を抱いたまま家の方に歩いていった。沙也香も付いてきた。



               5


 「こんにちは!」

 玄関越しに声をかけた。返事はない。

 戸の隙間から見ると前と同じように布団が敷かれている。

 確かに誰か寝間着姿の人がいる。足首が見える。

 僕は沙也香の方を振り返り、中を見てみなというように目配せした。沙也香は怖いものを見るようにして腰をかがめて中を覗き込んだ。


 その時だった。

 「はあい・・・」

 しわがれた枯れたような声が中から返ってきた。

 雄一と沙也香は思わず目を合わせた。


 「すみません。お宅の猫が道路に出てきて僕にすり寄ってきてどうしても離れないんで・・・。うちの中へ猫を入れますから玄関の戸を少し開けさせてもらっていいですか」

 慌ててそう言った。

 「あ~い」

 また中からか弱い返事が聞こえた。

 失礼しますと小声で言いながら玄関の引き戸を開けた。


 目の前に寝間着姿のやせこけた老婆が横たわっていた。

 顔は皺だらけで髪は真っ白。伸び放題に伸びた髪はくしゃくしゃに乱れていた。

 落ち込んだふくろうのような丸い目がしっかりと二人を見ていた。

 痩せこけてやつれてはいるようだが顔の表情は割としっかりしていて、惚けているという感じではなかった。

 

 思った通りすぐそこに布団が敷かれていた。枕元には身内の人か介護ヘルパーか誰か運んできたらしい大量の紙パンツかなんかのパックが置かれてあった。その横には果物みかんやプラ弁当箱お茶のペットボトルなども見えた。一目で独居老人だとわかった。

 おばあさんはよっこらしょと言いながら何とかゆっくりと起きあがった。

 「この猫はお宅の猫ですか」

 おばあさんはしばらく口をもごもごさせていたが、眼をしばたきながら

 「いやいや・・・。こないだ頃からどこからか迷い込んできてね・・・」

 

気怠そうな口調でおばあさんは雄一の抱きかかえている猫を見ながらそう言った。

 「牛乳を飲ませてやったら居着いてしまってね・・・。戸を少しだけ開けてるんだけど、いつまで経っても出ていってくれないの。でもなついたら可愛い猫なんだよ」


 なるほど。玄関が少しだけ開いていたのはそういうわけだったのか。野良猫だったのか。牛乳に味をしめてこの子猫はここに居着いたわけだ。


 雄一は改めて部屋の様子をながめた。三畳か四畳ぐらいの玄関スペースに布団が敷かれここがおばあさんの寝室兼居間のようだ。その奥にも部屋があるようだがドアが閉まっている。


 「良かったら、あなたがた、この猫を引き取ってくださらない?わたしはもうこんな身体だし猫を飼うような自信もないの」


 「え?」

 雄一はすっとんきょうな声を出してしまった。急に猫を引き取ってくれと言われても・・・。沙也香と思わず目があった。


 「いいんじゃない。内緒でアパートでで飼っちゃたらどう?犬じゃないから猫なら吠えたりしないし大丈夫よ。この猫めちゃ可愛いじゃん」

 と沙也香は言う。


 「ちょっと待てよ、簡単そうに言うけど飼うのは俺だぞ。参ったな」

 その時抱きかかえていた子猫がニャーンと甘え声を出して鳴いた。訴えかけるような目で雄一を見ている。  


                6

             


 結局その子猫は雄一が飼うことになった。

 管理人にはもちろん内緒だ。

 沙也香との相談でこの猫にジジという名前をつけた。「魔女の宅急便」に出てくる真っ黒な愛嬌ある猫の名前。この子猫はメスだったがアニメに出てくるジジそっくりだった。


 ペットショップに行って餌やトイレの砂、容器などを買い込み部屋の一角にこのジジの居場所をつくった。ジジはあっという間に雄一と沙也香になついた。

 

 学校から帰るのが楽しみになった。

 そして沙也香も毎日のように雄一の部屋に来るようになっていた。

 ジジを相手にして一緒に遊び笑い二人して歓声をあげて過ごした。

 ペットというよりは我が子。

 二人は家族が増えたような気になっていた。というよりは自分たちの子。

 

それ以後、沙也香との仲も急にぴったりとうまくいくようになっていた。

 二人のこれからのことや将来の暗い不安などはこのジジの可愛い顔をみていればいっぺんに吹き飛んでしまう。何か勇気のようなものが湧いてくる。

 

 これからの二人の行く先のいろいろな困難。たとえば二人の事についての親への説得と了解、親の反対を押し切ってでも自分たちの幸せを手につかむことができるかどうか。それに深くかかわってくる就職問題や経済的なこと、就職と関連して住む場所をどうするのか。とか、いろいろなことがあるけれど、それらを乗り越えるだけの二人の愛と勇気があれば道はきっと開ける。


 ジジがアパートに来てから何か大きな力が与えられたような気がする。

 

 「あのおばあさん、どうしているかな。お礼がてらちょっとお見舞いに行かない?」

 しばらく経った頃、沙也香がそう言った。そういえばそうだ。あれ以来おばあさんの家の玄関の戸は閉められたままだった。

 「そうだね。何か美味いものでも持っていってあげようか」


 翌日、二人は近くのスーパーで果物を買いにいった。

 「でもあのおばあちゃん、何で玄関に布団なんか敷いて寝てたんだろうね。普通は奥の部屋に寝るもんだろ」

 買い物袋をぶら下げながら雄一はスーパーからの帰り道独り言のようにつぶやいた。実際それは一番奇妙に思えることだった。奥には部屋があるのになんでわざわざ玄関なんだろう。


 「そうね、それ私もそのこと不思議に思った」

 沙也香も同じことを言う。

 「きっとヘルパーさんとか誰かが対応しやすいように玄関に移したんじゃないのかな」

 それぐらいの理由しか考えられなかった。


              7


 「こんにちは!」

 雄一はおばあさんの家の玄関先で声をかけた。すると中から大きな声ではーいと女の人の声がした。二人は思わず顔を見合わせた。


 戸が開いて中から出てきたのは中年のエプロン姿の女性。不思議そうに雄一と沙也香の顔を代わる代わるながめている。

 「こんにちは。すみません、えっと実は・・・」

 雄一はとまどいながら今までのことを説明した。

 「今日はそのお礼にお見舞いがてら寄せてもらったんですけど・・・」

 そう言って果物を手渡した。


 その女の人はにっこりと笑って、そうなんですか、それはありがとうございます、と言ったあと、

 「母は先日、病院に移ってしまいましてね、ここにはもういないんですよ・・・」

 雄一と沙也香はまた顔を見合わせた。


 「私は茨城県に住んでいますものでね。遠くてなかなか母の世話ができないもんですから、週に何回かこの近くのヘルパーさんにお任せしてたんですけどねえ。まだまだしっかりしてるから大丈夫と思いこんでたもんですから。でも身体が相当弱ってたらしくて、こんなに弱ってるとはね」

 「どこか具合が悪かったんですか」

 「認知症状もあったんですけど、もともと心臓の方がよくなかったもんですから」

 女の人はそういうと、ありがとうございます、とまた僕たちに頭を下げた。

 「いえいえ、こっちこそ可愛い子猫をいただいて・・・」と言いながら

 「あのう、一つお聞きしていいですか」

 雄一は思いきって聞いてみた。

 「おばあちゃんはどうして玄関に寝てたんですか?」


 女の人はああそのこと?と、思い出したようにうふふと笑って答えた。

 「私も来てみてびっくりしました、こんな所に寝込んでるなんてねえ」

 おかしそうに女の人は口に手をやりながら、

 「何日か前から例のその子猫ちゃんが玄関先に来ては外から切ない声で一日中鳴き通してたんですって。で、いたたまれなくなって戸を開けてやったんですって。それからエサをやるようになって、。あんな身体だから家の中でずっと飼うこともできず、いっそのこと玄関に自分が寝起きして戸は少し開けておいて必要な時に猫が出入りできるようにしてやろうとしたらしいんですよ」


 雄一はそういえばあのおばあちゃんもそんな事言ってたなあと思い出した。

 女の人はもう一言付け加えた。

 「でもあの猫のおかげで少し元気が出て毎日が楽しみだったらしいんですよ。

昔から家の中に迷い込んでくる黒猫は福猫ふくねこって、よく言うんです」


 その帰り道、

 「でもまあ、あのおばあちゃん良かったんじゃない。病院に入ってみてもらう方が安心だしね」

 「最初は俺、死体かなんかが玄関にころがっているのかと思ってちょっとびびったもん。孤独死ってよくあるハナシだからね」

 「ほんとよね」

沙也香は少し笑った。

 「人それぞれの人生だからね。玄関に寝っ転がろうと、寝室に寝ようと、老いて病院に入ろうと施設に入ろうと、孤独死しようと、すべて人それぞれ。それぞれの老後の運命だからな」

 雄一は、そんな言葉を吐いてみた。老後のことなんて若い自分たちには考えもつかないけれど誰にも老後の迷惑はかけたくないとは思う。


 「でもあのおばあちゃん、黒猫の鳴き声に引き寄せられて玄関開けて、エサやって、自分も子猫と一緒に玄関で寝泊まりしてあげて。子猫のおかげで寝たきりの生活もちょっとでも潤って、幸せになれたのは確かに良かったわねえ」

 沙也香がちょっとしんみとした口調でそう言った。


 「そうだよ。だいいち玄関に布団を敷くなんて普通しないからな。必死で鳴いて飢えを訴える子猫ちゃんへの愛着から玄関に布団を、となったんだろな。おばあちゃんも子猫もお互いに何か感じるものがあったんじゃないかな。オーバーに言えば死ぬっていう事をさ。それに子猫のおかげかどうかわかんないけど、娘さんも来てくれたし、自分が悪くなる前に入院もできたしね。すべて猫ちゃんの引き合わせかもね」

 アパートの部屋の鍵を開けながら、

「そういえば夏目漱石の小説。我が輩は猫である、あれも黒猫だったなあ。野良の迷い猫だったらしいよ。漱石の奥さんがこれは福猫になると言ってうちに入れてね、それからすべての運気が上昇したんだってよ」

 雄一はそう言って沙也香を見やった。。


 部屋の中に入るとジジが思いっきり甘え声を出してまとわりついてきた。

 雄一はジジを頭からしっぽまで優しく撫でてやった。

 ジジは気持ちよさそうに目を閉じてクーンと鳴いた。


 「この子は福猫だよ。幸福を運んでくれる猫!」


 「ほんとフクネコよね。これからもずっと二人の福ネコになってね」

 沙也香も微笑みながらジジの頭を優しく撫でた。


 

  了



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