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09 小声


 ロイさんの真剣な表情、原因は俺、では無さそう。



「そういえば、マユリさんたちの依頼、ずいぶん時間が掛かっているようだね」


 そうなんです、ロイさん。


 魔法が得意な人たちを、という依頼だったのですが、


 いかに危険は無いとはいえ、少々時間が掛かりすぎかなと。



「えーとメンバーは、マユリさん・ハルミスタさん・シジミちゃん、あとリーダーのアイネ、だったよね」


 それに用心棒としてシナギさんとミナモさんにも同行してもらっていますね。



「魔法が得意なメンバーが必要だけど危険が無い依頼って、結局どういうことなのかな」


 場所はメネルカ魔導国、宝物庫へ至る迷宮の踏破と宝物庫の解錠、との依頼です。


 ツァイシャ女王様からの御依頼なので、内容については間違いないかと。



 なんでも、メネルカの王女様が王家の宝物庫の鍵を紛失してしまったそうで、


 その鍵が無いと宝物庫を開けられないだけじゃなくてて、宝物庫への通り道の迷宮を自力で突破しなければならないそうなのです。


 迷宮に仕掛けられたトラップは、生命の危険は絶対に無いけれど、


 進むためには魔力と知恵を使わなければならないそうです。



 例えば、解くのに魔力が必要なパズルのようなものがあって、


 失敗すると入り口に戻されちゃうみたいな厄介なものばかりらしいです。


 依頼を受けた腕自慢の冒険者たちではどうしても無理だったらしくて、


 メネルカの王女様がツァイシャ女王様に泣きついてきたとか。



「俺たちに出来ることは全然無いのかな」


 すみません、俺も詳しいことは分からないのですが、


 メネルカ魔導国って、男性と魔力の少ない人の立ち入りを国全体が禁止しているっていう小さいながらもアレな国らしくて、


 メネルカに入国出来なかったシナギさんとミナモさんが、近くの街に待機してくれているそうですが、


 入国したみんなとは手紙でしか連絡が取れない状態だそうです。



「ツァイシャ女王様を信頼して、待つしか無いってことのようだね」


 本当にすみません。


 アイネさん、心配ですよね。



「心配というなら、リーダーがアイネなのが心配かな」

「みんなに迷惑かけてなければ良いけど」


 いえいえ、モノカさんやシェルカさんも言ってましたが、


 アイネさんのリーダーシップは十二分に信頼に足るものですって。



「女人禁制ならぬ男性入国禁止の国、すごく気になるよね」


 本当に、何やら怪しい秘密の香りが……



 まさにそのタイミングで、リノアさんの雰囲気の変化を敏感に察知した、俺。


 って、よそさまの奥さまに対して、どんだけ敏感なんだよ。



「……」


 もしもしロイさん、危機管理、ですよ。(小声)



「流石はアラン君、鍛え上げられた見事な野生の勘だね」(小声)


 それでは、申し訳ありませんが、これにて失礼です。(小声)



「じゃあ、何か連絡があったら、いつでも知らせて」


 もちろんです。


 出来るだけ早く、ツァイシャ女王様にお伺いしてきますね。


 それでは皆さん、お邪魔しました。


 いつも美味しいお茶、ありがとうございます。



 そして、そそくさと『ゲートルーム』へ。



 そう、俺が友人宅を巡るのは、ただ癒しを求めるだけでは無いのです。


 あの緊張感こそが、何よりの癒しのスパイス。


 本日もごちそうさまでした、ロイ家の皆さん。


 ぜひまた、あの素敵なタイトロープジャーニーを味わいたいですね。



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