07 野望
あれから自分なりに頑張りまして、
子供たちから『読み聞かせおじさん』という二つ名を賜わったのが、最近自慢の俺。
あの子たちから喜んでもらえそうなご本を探すうちに、いつしか本屋さん巡りするのが趣味となりました。
もちろん、モノカ邸の地下図書室には、既にとんでもない数の蔵書があるのは先刻承知なのですが、
最新の流行に敏感なことも、イケてるおじさんには必要不可欠なのさ。
というわけで今日は、リグラルト王国のヴェルクリという大きな街の本屋さん巡りの帰りに、
友人のロイさんのお宅におじゃましております。
正確に言うと、朝イチでロイさん宅の『ゲートルーム』に『転送』して、
愛車マリネ・ズッキーニでヴェルクリへと向かい10時の一服、
本屋さん巡りしながらお昼を済ませまして、
『ゲートルーム』使用のためにロイさん宅へと戻って3時のお茶をいただくという、
なかなかハードな道行きなのです。
この出不精おじさんをこれほどまでに変えてしまうとは、
まさに子供たちの応援こそが力、なのでしょうね。
などと表向きには申しておりますが、
実はおっさん、ウラの顔があったり。
子供たちに喜んでもらえればもらえるほど、
アレなおじさんのアレだった評価が、仲間うちでグイグイ上がっていくのですよ。
下心とか悪巧みとか言わないでほしいのです。
モノカさんみたいに、暴れん坊な将軍さま的なことは無理、
シナギさんみたいに、必殺なお仕事人的なことも無理。
俺みたいな平凡おっさんには、
子供たちにこにこ → 保護者な乙女たちにこにこ → おっさんにこにこ、
そんな感じの大岡裁きちっくな三方一両にこにこくらいしか、
出来ることなど無いのです。
そして、ヴェルクリの街で準備中の新しい孤児院複合施設には、
もうすぐ『ゲートルーム』が設営予定なのです。
アレなおっさんの本屋さん巡りの旅も、いよいよ順調となる予定。
この調子であちらこちらの街に『ゲートルーム』が設営されまくっちゃえば、
本屋さん巡りの旅のみならず、
異世界美女巡りの旅だって、
思いのママのマンマミーヤですよ。
本当に『異世界とっても良いところ』
俺、今まで以上に頑張っちゃうよ。