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 予定を変更、リリシアと行動を共にして、奴らの集結地点を目指す。


 地下室、だな。



 すでに俺たちの周囲には、ワーカーとかいう連中の生体反応の赤い光点は無い。


 辺りに散らばる死骸を、出来るだけ踏まないように、慎重に進む。


 そして、地下室、突入。



「「うっ」」



 また、ふたりいっしょに、うめいてしまった。


 目の前には、暗視装置で目視確認可能となった地下室の状況と、


 鮮明に見える、黒くてデカくて丸い、ナニか。



「特異種か……」


 リリシアが、つぶやいた。



 アリシエラさんから突入前に受けたレクチャー。


 奴らの生態と攻撃方法各種。


 基本的には数を頼りの集団での接近戦、っていうか密集密着まとわりつき。


 窒息やら、かじりつきやら。



『耐"G"スーツなら、絶対に安全ですっ』


 信じてますよ、アリシエラさん。


 ワーカーを蹴散らして、キングとクイーンを殺れば、こっちの勝ち。



 ただし、過去に数例、異常事例が。


 特異種と呼ばれるそれは、その行動も特異。


 確認できたのは『"G"球』と呼ばれる防御行動。


 キングとクイーンの周りに、大量のワーカーが球状に集結。


 内側の仲間が潰れるのもかまわずに、次々としがみついていくワーカーたち。


 作られた異常な密度の死骸の壁は、あり得ないほどの防御力を誇るとか。


 いや、アレから誇られても……



 って、そもそもそんな異常な硬度の球から、中心にいるキングとクイーンはどうやって脱出するんだよ。


 などと、今は余計なことを考えている場合じゃない。


"G"の生態に詳しくなりたいわけじゃ無いし、もちろん専門家になるのも、御免こうむる。



『任せろ』


 リリシアが、いつものポーズで愛剣を構えて精神統一中。


 って、それどっから出したんだよ。



『ふっ』


 静かなる裂帛の気合いで、


『"G"球』の中心を突く!



 ゆっくりと刀身を引き抜いたリリシア、


 ひと突きで、キング・クイーン両方同時に仕留めたんだな。



『すまん、バストネイシア』


 愛剣への、心からの謝罪の言葉。


 うん、あんなのを突かせちゃって、エンガチョにもほどがあるよな。


 ホント御免な『バストネイシア』、帰ったら洗剤とお湯で手洗いしてあげなきゃ。



 しばらく待って、探索画面には奴らの生体反応が一匹も無いのを確認。


 ところで『"G"球』は、このままでいいのかな。


 とりあえず見たくも触りたくもないんで、放置で。



 よし、終わった。


 ってことで、前々からぜひやってみたかったことが。



「討伐班より報告」

「残存する"G"反応、無し」

「これより帰投する」


 任務完了!



『誰に報告したのだ、アラン?』


 いいじゃないか、リリシア。


 確かに、スーツもヘルムも出来たてほやほやなんで、外の『Gふなずし』とはまだ通信連携されてないけどさ、


 男ってこういうの、好きなんだよっ。




 建物の外に出て、スーツに奴らが引っ付いていないかを目視確認してもらう。


 アリシエラさんと変なおっさんたちが、俺たちを念入りにチェックしてますよ。


 ギルドが呼んだ"G"専門家のおっさんたち、今ごろ到着しやがって。


 って、おいおっさんたち、リリシアのスーツ姿を見る目がイヤらしいぞっ。



 ようやく目視確認完了、


 おっさんたちは建物の中に入っていったよ。


『"G"球』を確保して、研究するんだとさ。


 アレを解体してるとこを想像してしまって、かなり気持ち悪いです。



「空気が美味いな」


 ヘルムを脱いだリリシアの笑顔。


 トラウマを克服して気分晴れ晴れって感じなんだろうけど、


 そのスーツ姿、めっちゃエロいんで、早く着替えてほしいよ。


 周りにいる男どもの視線、気付かないのかな。


 とりあえず、早くテントに入ろうぜ。



 脱いだ装備一式を、アリシエラさんが慎重に『収納』


 卵とか、ひっついていませんように。



 着替えてテントから出たら、笑顔のサリアさんがお出迎え。


 見張りからの報告では、外へ逃亡した個体は一匹も無し。


 ですが念のため、数日は見張りをつけておくそうです。


 特異種関連の任務になるそうで、見張りの報酬でも結構な額なんだとか。


 ってことは、討伐した俺たちの報酬も期待しちゃっていいのかな。



 えーと、サリアさんから目を逸らされちゃったんですけど。


 ま、いいか。


 とりあえず、早く我が家で風呂に入って、リフレッシュしたいですよ。



 いつもの俺なら今頃は、サリアさんのツヤッツヤ黒スーツ姿を想像しちゃう『モンスター』モードなんだろうけど、黒くてツヤッツヤなのは、しばらくこりごりです。


 でも、サリアさんって、たぶん着痩せするタイプなんだよな。



「……」


 えーと、すまんリリシア。


 今はお仕置きは勘弁な。



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