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10 予感


『ゲートルーム』を出ると、お仕置きの時以外はいつでも安全・安心が自慢の我が家。


 みんなにただいまの挨拶をすると、


 リリシアはまだギルドから戻ってきていない、とのこと。



 何かいい感じの討伐依頼でも受けてきてほしいな、


 などと考えながら、


 いそいそと自室に向かい、今日の戦果を確認。



 読み聞かせ用のご本、


 秘密の本棚用のご本、


 そして何より、ロイ邸での素敵な体験。



 今日も一日、有意義に過ごせたことを、異世界の神さまに、感謝。



 ただし、ここで気を抜いたら危険な事は重々承知な、俺。


 例えば、読み聞かせのご本と秘密のご本とを間違えて『収納』に入れちゃって、


 子供たちの前で得意げにアレなご本を出しちゃって、


 これまで積み上げてきた信用を全て失っちゃうとか。



 あー、ありがちだよな。


 こういう事はどんなに慎重でも慎重すぎるって事はないぜ。


 さながら保護されたばかりのノラ猫のごとしってやつだよな。



 秘密の本棚もだいぶ手狭になってきたし、そろそろ改修しないとな。


『断捨離に抗え! 円満家庭のための秘密の魔導日曜大工 初級編』


 俺が秘密の本棚をビルドした際の参考書。


 そろそろ、中級編にチャレンジってことだよな。


 よし、今度の本屋さん巡りで探してみよう。



 この町の本屋さんで欲しい本を取り寄せ出来たらありがたいんだけどな。


 店員のピリケさんが、その、うちの妻たちと仲良しすぎちゃってさ。


 本屋さんの守秘義務うんぬんってよく分からないけど、


 もし俺の購入履歴がみんなにダダ漏れしちゃったら、


 布団かぶって泣いちゃうどころじゃないぜ、ホント。



 などとアレな物思いにふけっていると、



「アラン、話しがある」


 俺を呼びに来たリリシアの、あのシリアスな表情、


 何か重大な、事件の予感。




 ゆるんでいた気持ちをがっつり引き締めて、居間へ。


 みんな真剣な表情、


 って、ニエルやメリルさん、プリナさんまで、


 いったい何ごとですか。



「すまんアラン、実はとんでもない依頼を受けてしまってな……」


 リリシアの、悲痛なまでの、真剣な表情。



「いいえ、こればかりは、例え特使公爵としての評判が地に墜ちることとなっても、断るべきかと……」


 ユイの愛らしい顔が、あり得ないほどに、曇っている。



「……」


 プリナさんは、うつむいて、震えるばかり。



「……」


 あのニエルが、どんな時でも前向きでマイペースなニエルですら、無言。



「……」


 おかしい、いつでも冷静で菩薩のような微笑みを絶やさないメリルさんが、耐え難い怒りを我慢している修羅のごとく震えている。



 俺の大切な家族に起こっている何かとんでもない異変、


 ここでなんとかしなきゃ家長だなんて一生名乗れないだろ。



「まずは、何があったのか、聞かせてくれ」



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