表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウェイン・アポカリプス  作者: 佐々木 英治
ウェイン・アポカリプス1.1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/318

『魔王の可能性』を全て潰すこと

 ウェインが色々説明したかもしれんが、重要なことだ。おさらい含めて最初から言うぞ。まず『魔王』というのは、だいたい年一とかでどこかに現れて、個人や軍隊に倒される。この時『魔王』の手下は、『悪魔だけ』なんだ。いわゆる『亜人』、そしていわゆる『怪物』は、別に『魔王』の指揮下にも影響下にも入ってない。もし魔王が出ている時に奴らが好き勝手に反撃したら、それは責任を『魔王』に押し付けているだけだ。単純に人間の戦力が『魔王』に振り向けられるから、周囲の『敵』は人間を狙いやすくなる。……これが年一ぐらいで出没する量産型の『魔王』だ。


 ところで『悪魔』とは何なのか。


 まず『命』とは何なのか。


 微生物とて生きている。植物も生きている。動物は植物を食べ、大きな動物は小さな動物を食べ、そして最も大きな動物でさえも怪我や病や寿命で命を落とし微生物に食べられ風化する。

 『命』とは、難しい問題だが、食べること。そして子孫を残すことだと今の私は考えている。……こうなると病原菌やウイルスでさえ生きていると言える。自らのコピーや、変異した子孫を残せるのだからね。

 何億年だかは知らんが、地球ではそれらの行為が繰り返されて、環境に適応できなかった種族は絶滅してきた。それは自然の摂理だ。

 雄ライオンは、遭遇した雌ライオンに子供がいるとその子供を殺そうとする。自分の子孫を残すには邪魔な存在だからな。雌ライオンは子を守ろうとするが、それが及ばず子供が死んだときは殺した雄ライオンと交尾し子孫を残そうとする。……私たち人間の倫理では考えられないことだが、ライオンたちに取ってはそれが自然の摂理なのだろう。


 命とは地球から生まれたもの、と定義していいかもしれない。


 だが『悪魔』とは何なのか

 やつらは魔界とか暗黒空間からやってくる

 何度も遠くから観察したが、人間や亜人の死体を『食べた』形跡はなかった。ただ魔力を掻き集めている。

 そしてどこかの空間で増殖し、地上へと表れる。

 私は『悪魔』が、『命』そのものを憎んでいるように思えてならない。


 人間や亜人、怪物たちが、一致協力して「悪魔たち」と戦ったという記録も残っている。その時、ユニバーサル規格を造った団体あるだろ? あの団体が『人類共通語』を作って、全人類は「まあまあなんとなく」のレベルで意思疎通ができるようになった。教育環境が良いところは共通語での識字率も上がった。

 こんな戦争を率いた……それこそが「大魔王」とか「真の魔王」と言うのだろうな。これに比べれば今この世の中に出回っている量産型の自称魔王など小さいものだ。


 だが大魔王とかそういう凄い奴でさえ、全部の悪魔を掌握したのかどうか……それは誰にもわからないんだ。悪魔がどれだけいるかどうか誰にもわからないからね。

 だから今後、もっと凄い魔王が現れるかもしれない……すると『魔王の可能性』すなわち『悪魔使役できるヤツ』を片っ端から殺していく必要がある。魔王が力をつける前に、その可能性を全て潰すのだ。全てを等しく追い、全ての『可能性』を潰す。


 こうなると殺す側には納得できる理由ができる。それはもう『聖戦』だ。正しい戦いなのだ。故に、殺しても良心は全く痛まない。むしろ殺せば殺すほど称賛されるし、自分の価値も上がる。何故ならこれは『人類総意の絶対的な正義』なのだから。

 例えば「これから侵略戦争をします」なんて言って兵士たちがついていくわけがない。必ず……いいか、必ずだ。必ず、人間は『正義』を持つと『悪』に対して過剰に攻撃的になる。ウェイン。これだけはよく憶えておけ。『正義』を行使する時は自分の心に注意しろ。


#……ウェインは、師匠が警察を嫌ってるのってそこらへんの事情かと思ったが、黙っておいた。


 『魔王の可能性』を『全て殺す』こと。それは『命』の総意とも言えると思うが……さて、ウェインはこれをやろうとするかな?


(……わかりませんね。俺は悪魔については無知ですから。でも他に予定もないし、『魔王の可能性』を全て殺すことがラクスの魔法学院のためになるなら……やってもいいかな、って思いました。ただ生活もあるんで、学院から給料とか出ないと無理です)


 事前の申請は無理だ。ただ殺してみて、そこに『魔王の可能性』があったことを証明すれば、魔法学院はそれなりの対価を支払ってくれるはずだ


(あ、だったらやってみてもいいかも)


 そうなると突如、問題が一つ出てくる。


(なんです?)



 私、アスリーもお前に殺される対象になることだ。



(え)



 今の私は悪魔使役できる。つまり私自身が『魔王の可能性』なのだ。



(どうして……?)


 わからない。悪魔を研究しているうちに、いつの間にか下級の悪魔が私の支配下に入るようになった。私の破滅願望でも反映させたのだろうか。人間は自殺する珍しい生物のようだが、それと関係があるのか。

 ともあれアッシュが作り出した生命体ファントムも、悪魔使役できたのだろう? と言うことはアッシュ自身も悪魔使役できたと考えるべきだ。アッシュも『魔王の可能性』を持っていた……。

 ウェイン。一つ言えるのは、『あまり悪魔を研究するな』ということ。悪魔を倒すためであれ、あまり深入りするのはよくないと思う。


(わかりました……)


 魔法学院は基礎研究以外の悪魔の研究は禁止している。今となって考えればおかしいことだ。研究大好きな魔法使いたちに『研究するな』とはね。だがそれも、先人たちが『魔王の可能性』を持ってしまったための戒めと言えば納得も出来る。


 ウェインが使命感を持って『人類のために魔王の可能性を皆殺しにします!』と言わないでくれて、安堵してホッとしている。あまり根拠はないが……そういう行為も『魔王の可能性』に繋がるんだと思う。


(……アスリー師匠。要するに『可能性』まで捉えて皆殺しにしなくても、『大魔王』になる前の『魔王』の段階で殺しておけばいいわけじゃないですか? だったら今まで通りですよね)


 ウェインがそう結論してくれたなら、嬉しいな。だって初めて下級悪魔が私の支配下になった時は……。なんと言うか……。


 ……処 女 を 失 っ た 時 の気分になったからな!!



(……。今まで真面目な話をしてたのに、なんで貴方は突然そういうことを言うんです……)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ