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ウェイン・アポカリプス  作者: 佐々木 英治
ウェイン・アポカリプス1.1

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全員まとめて幸せになれるプラン

「えっと、ウェインのパワーアップとかアスリー先生関連はこれでおしまいね? だったら私の用件に行きたいんだけど」

 アヤナが言う。ウェインは手紙を封筒に入れ、それをポケットに入れてから答えた。

「うん。俺の用はこれで終わり。アヤナのほうは?」

 するとアヤナは肯いて、真顔で言った。


「これはここに、エルとモニカもいるから言うんだけど……。ウェイン、私と結婚する気、ない?」


 突然言われ、瞳を直視され、ウェインは狼狽えた。完全なる奇襲。

「な、なんで突然そんな話が出てきたんだ?」

「近い話は前からしてると思うけどね……。貴族の仕事で各地に手紙書くことがあるんだけど、要するに私の父上がウェインを欲しがっている。ファントム事件で実績ができたから、と。もし私でウェインが不満なら、私の妹で正妻の子……ヴェーヌを結婚相手候補にしてもいいと言ってきているわ」

「いや、急すぎるでしょ、そんな話……」

「そうでもないわよ。15歳で結婚可能になって20歳ぐらいで結婚が一番多いから、適齢期とも言えるし。それにウェインがこの先どんどん実績を上げると競争率が高くなってしまう。だから私かヴェーヌ、どっちかと結婚する気はないかなって」

「しかしだな。第一俺はそのヴェーヌって人に会ったことすらないんだぞ」

「そんなもんでしょ。彼女の説明をちょっとすると、第一夫人の子でフランソワーズ家の内部での発言力は高い。愛嬌あって小っちゃくて可愛い。魔力ある。そして13歳」

「なんだよ最後の13歳ってのは」

「ん? ウェインって、ロリじゃないの?」

「ちーがーうー!」

「婚約さえしちゃえば、同棲中に行為に及んだって誰も怒りはしないわよ」

「いや、だから結婚ってさ……」

「でも私を選んで欲しい、ってのが本音。私は奴隷の子だし家での立場はそんなに強くないの。それがウェインを釣れれば、私の立場は上がるし。ウェインだって、フランソワーズ家の権力やコネ、カネ、装備なんかをかなり自由に扱えるようになる。婿養子になるからロイス姓だけは捨ててもらわなければならないけどね。ウェインなら婿養子だけど側室も大丈夫。今の時点で2人くらいでもOKって父上に取り付けたから」

「側室? 2人?」

 アヤナはエルとモニカを指差した。

「ここに残りの二人がいるじゃん? 要するに、全員まとめて幸せになれるプラン」


 一瞬、場が静寂に包まれた。


 ウェインはレーンと、続いてディアを見るが、彼らは目を逸らした。

 多分「自分の人生なんだから自分で決めてくれ」と言うことだろう。


 続いて、エルとモニカを見てみた。

 エルは俯いてモジモジしてるが、モニカは目を輝かせている。


「ウェインさん、まさにみんな幸せのプランですよ! ハーレムですし! 私だって13歳なんだから、ロリ成分だって入ってますし!」

「いや、俺はロリじゃないって……」

 途端にモニカの顔が曇る。

「それともウェインさん、私のこと嫌いですか……? だったら私は別にいいんで、結婚の話受ければいいじゃないですか。エルさんだけ側室になって。私はウェインさんの家の執事募集がかかったら履歴書書きますから……」

「いや、モニカを嫌いではないんだ。あまり性的な目で見たことがないってだけで」

「私に魅力、感じません……?」

「だから、俺はモニカに対しては父親や兄のような感覚なんだよ。少なくとも今はな。この先、お前が独り立ちすればどうなるかはわからん。容姿は整ってるし」

「じゃ、私はキープ枠でいいんで」


 ウェインは頭を掻いた。

「ちなみに、同様に俺はアヤナが嫌いなわけでもないぞ。ただその上で、こんな話が俺に無断で進行しているってことが気に食わない」

 アヤナは言った。

「私がウェインの弟子になった時点で予想はできたでしょ? それともフランソワーズ家では物足りない?」

「そういうわけじゃ……」

 フランソワーズ家は、今は多少立ち位置が落ちてはいるものの名門だ。

「で、ウェイン。どうするの? 私か、ヴェーヌとの結婚の話」

「考える時間は、くれないのかい?」

「いえ、いくらでもあげられるけど……。ウェインがこの先活躍したら、どんどんこの手の話は増えるだろうし、何かで失脚すれば取りやめになるでしょうし。私やヴェーヌのほうが先に結婚しちゃうかもしれないし」

「んー。じゃあちょっと時間が欲しい。いいかな?」

「わかったわ」

「ちなみに俺は、今はフランソワーズ家に敵対するつもりは全くない。家のお嬢さんを一人前にしてから、答えを出したいところが本音だが……」

「あぁ……厳しいわね。私だって20歳を目安にどっかに政略結婚で行くと思うんで、あまり長くは待っていられないわよ」

「わかった」

 言ってから、ウェインは気になってアヤナに聞いてみた。

「アヤナは俺のこと好きか? 結婚して幸せになれると思う?」

「普通に好きよ。熱量は二番弟子とかには及ばないけど。それにウェインなら、私に寄り添って生活してくれると思うし。あと瀕死でも仲間を助けに行ける勇敢さも好きよ。死なれたら困るけどね」

「そっか……」

「ウェインが私の夫になったら、ウェインに対する私の言動も変わるわ。『それ用』にシフトする。……そういう教育と訓練を受けてきたんだからね」

「大変なんだな」


 結婚というイベント。

 基本は『同格』同士の家と家が行うものだ。ラクスでは自由恋愛が活発で恋愛結婚も増えているようだが50%程度。世界の大多数は、別に相手が誰だと気にせず結婚する(しかし相手の家のメンツを潰さないよう、互いに優しく尽力しあう)。

 ウェインは幼いころから魔法だけが大好きで、あまり恋愛や結婚は考えたことがなかった。むしろ他人にたいした興味もなかったのだ。それを治してくれたのがアスリー師匠であり、また、もし師匠の教えがなければウェインは打算だけで結婚しただろう。

 いや……結婚を打算でして何が悪いのだ?

 互いに何かを求めているのならば、何の問題もないではないか。

 『理想の人と結婚したい』?

 理想とは、いつの時点の理想だ? 果たしてそんな人がいて、巡り合えるのか?

 今のウェインの恋愛対象で言えばエルだ。エルは側室で文句ないだろうか?

 あるいはエルを正妻として結婚して、レオン王国の規定で『税金を多く収めている者』は側室を持つことができる。実際そういう人は珍しくない。エルは側室を持つことをどう思うだろうか。

 ……単純に。ウェインの父と母が側室を持っていなかった故の違和感かもしれない。


 今更ながら。今回ウェインは『自分は平均水準より上』(貴族並み)の人であると確認できたのは大きい。

 今後、言動には更に注意していかなければならない……。



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