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ウェイン・アポカリプス  作者: 佐々木 英治
ウェイン・アポカリプス

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集合して

 特訓がない今後は、5人全員が揃うのは珍しくなる。

 ウェインとエルは教員免許取得に向けて教育実習だし、アヤナは身体か魔法の訓練をしているはずだ(サボってなければ)。そしてレーンとディア。彼らも、鍛えているのだろう。

 そう考えていた翌日の夕方、魔法学院のラウンジでレーンとディアが接触してきた。

 レーンはもともとガタイがデカくて目立つのだが。なんかダサいイラストと文字が入った、ダサイTシャツ。そしてダメージジーンズと言う姿。目立つ目立つ。


 ディアはディアで、これも目立つ。

 上半身がタンクトップのかなり短いの……ウェインにはそれをどう呼ぶか知識はなかったが。白を基調としてピンク色が入っている。それにホットパンツ。

 魔法学院生にはこんな肌の露出はない(制服があるから)。そしてその肌の露出もだが、短いタンクトップ&ホットパンツはどちらもパステル系。幼女とかロリ系な感じの見た目だが、しかし彼女のその腹筋やら脚の筋肉は女性にとってはかなり鍛え上げられていた。

 赤茶色のポニーテールはトレードマーク? なのかもしれない。これは普段と同じだ。

 しかし第三者(ウェインを含む)が彼女を見たらどう表現したらいいのか。「可愛い」なのか「活発」なのか。あるいは「身体すげぇ」なのか。何にせよ少し男の心に響く。そう、どんな意味かはともかく魅力的なのだ。


 ウェインが目のやり場に困ってると、ディアが言った。

「ウェイン、ウェイン。これ、昔のをツギハギしてなんとかなんとか延命させて着てるんだけど」

「そうなん? ロリ系なのかスポーティなのか、どっちを目指しているかよくわからんが」

「まー、テキトーな運動系なもの? だし。20歳になるまではこういうので頑張ろうかと」

「いやそれ……25歳くらいでも言いそうで、惰性で30歳過ぎても言い続けてそうで」

「んー。痛い人っぽいけど。それはそれで識別コードとしては便利かも」

 誰に何を識別させたいのかはわからないが。

 レーンが軽く片手を上げる。

「ウェイン、調子はどうだ?」

「ん。こっちは問題ないぞ。でもレーンのシャツ、ダサくね?」

「手持ちのシャツはクリーニング中。そこのショップでは俺のサイズに合うのがコレしかなかったんで」

「へぇ。ダメージジーンズの価値は俺にはわからんが……」

 レーンは軽く肯く。

「やはり前のはクリーニング中なんだけど、これは意図してのダメージジーンズではいぞ?」

「そうなん?」

「普通にダメージを受けたジーンズだ」

「えぇ。お前の立ち回りで、どうやったらそんなにボロボロになるんだよ」

「ドライ砦の東の夜、お前にやられたんだが」

「お。おぉう……」

 それを聞いたレーンはクスクス笑った。


 そして声を潜めて聞いてくる。

「エルとはどうだ?」

「ん。エルとのデートに成功した」

「おお、良かったな」

 ディアがぱちぱちしている。

「ウェイン、意外とやるじゃない」

 ウェインは肯く。

「その時エルとも話したんだが、エルにも防具を……革鎧かプロテクターを着けるよう打診した。空いている日に、レーンたちに見繕ってもらいたいんだ」

「わかった。明日でどうだ?」

「ああ。皆の予定が空いてればな。あと、レーンには紹介したい人間がいる」

「『付与研』ってところのジャンって人だろ? そう思って、今日はバスタードソードを持ってきた」

 レーンの腰には、長いバスタードソードと短いショートソードが差してある。一方のディアはショートソードを持っていない。おしゃれ? しているからかもしれない。しかしレオン王国、そして魔法としラクス内では。地元の街歩きで武装していることのほうがおかしいとも言える。

「お、レーン。その剣持ってきてたんだな。じゃあ今から行こう。ディアもいいな?」

「うん。ちょっと楽しみー」

 三人で、『付与研』のジャンに会いに行くことになった。


 それは魔法学院の敷地内にある。

 『付与研』のドアをノックして中に入る。ジャンはいつものように、そこにいた。

 他の部員はいないのだろうか。時々人の出入りはあるようだが、よくわからない。

「ああウェイン。これはこれは。……おや、そちらの方は?」

「前、紹介するって言ったレーン・スタイナーだよ。あっちはその義理の妹のディア・スタイナー」

「そうですか。はじめまして。レーンさん、ディアさん。ジャンと申します」

 レーンは軽く頭を下げ、ディアはポニーテールをぴょこぴょこさせている。

「レーンです。よろしくお願いします」

「ディアです。よろしくでーす!」

 ジャンは少し顔をほころばせた。

「ディアさん。服装も、そのお体も素敵ですね」

「いあぁ。どもです」

「見た限り。戦闘はショートソードを使っての、基本スタイルですかな? そしてこれは良い意味で、ですが。教科書通りの動きをなさる」

 ディアのポニーテールがビクッとなる。

「え!? なんでなんで!? 私、何も言ってないよ? ただの、露出が多い魔法使いかもしれないのに!」


 ジャンは軽く肯いた。

「靴のすり減り方を見れば、だいたいの立ち回り方はわかります」

「うおおおおお! すっごい!」

「それで……そちらのレーンさんの靴のすり減り方は、よくわからないのですが」

 レーンは軽く肯いた。

「俺は色んな流派が混ざって……ほぼ我流ですから。ただ、なんでもウェインによれば、ジャンさんにこのバスタードソードを見せてみろと」

 レーンは腰から鞘ごとバスタードソードを引き抜いた。

 ジャンは受け取り、軽く頭を下げてから刀身を抜く。

 少しの間、時間が停止したかのように、そのままだった。


 ジャンは顔を上げる。

「レーンさん。このバスタードソード、ユニバーサル規格ではないですね?」

「はい。ほんの少し、刀身が長いんですよ。ほんの少し」

「あと魔力が封じられているのは高質化ですかな」

「そうです。カスタムメイドで、まあ材質も出来も良い剣なのですが、今のところそれだけです」

 ジャンは肯いた。

「少し長くお時間を頂ければ、コレをもっと強い剣に……更に強固に、更に斬れる剣に仕上げることが可能です。いかがでしょう?」

「値段次第ですかね……。今は剣より鎧を優先させたいのですが、ココではそれが可能ですか?」

「できますが。鎧というとチェイン? プレート?」

「革鎧です。ごく普通の」

「それなら短時間で、安価でできますよ。ウェインさんの紹介ですし」

 ウェインが声を上げた。

「革鎧の強化は、いくつか大勢になるかもしれないよ」

「構いませんとも。ただ革製を金属製並みにするには、時間も、資金もかかります」

「いや、まずは気休め程度の初歩でいいんだ」

「それなら大丈夫です」

「だったら近いうち頼むと思う」

「その時はお願いしますねー」

 ジャンへの紹介が終わって、ウェインたちは『付与研』を出た。まずは顔馴染み、程度の関係になってくれればいいくらいの感じだった。


 今夜は5人集合を目指して、アヤナとエルを探しにレーンとディアは学院内を探しに行った。ウェインは職員室で待つことにする。

 まずエルが、続いてアヤナが、レーンたちとともに職員室に集まった。

「なんか久しぶりな感じだな」

 ディアもニコニコしながら言う。

「実際はそんなでもないけどねー」

 レーンが言った。

「まず今日、情報交換をしたい。いつもの酒場で会合を開く。皆の予定は?」

 皆、大丈夫なようだ。

「次。後で話すが、エルの防具の件で買い出しに行くかもしれない。明日の昼から夕方頃だ。こっちの予定は?」

 これも皆、大丈夫なようだ。レーンは肯いてから、言った。

「じゃあ、まず情報交換だ。いつもの酒場に行くぞ」

「おー!」

 ディアは酒を飲めるだけで嬉しいらしい。




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