表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウェイン・アポカリプス  作者: 佐々木 英治
ウェイン・アポカリプス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/318

訓練終了!

 訓練最終日。今日はレーンが外部へ修行しに行かずにここにいる。

 だが訓練場で、やることはいつもと同じだ。

 (距離は短くなってしまうが)インターバル走。

 レーンと模擬戦をして、終わったら外周をだ。今日はディアもランニング組だ。

 模擬戦でレーンは、最初わざと何発か『受け』に回ってくれる。

 そこから唐突に、カウンターだったり連撃だったりを繰り出して挑戦者を叩きのめしていた。……やはり剣ではレーンがかなりズバ抜けている。

「ほらほら、もっと『瞬活』使ってこいよー」

 簡単そうに言うレーンだが、瞬活は呼吸の消耗が激しいのだ。そうそう全力で行けるものでもなかった。何せインターバル走のすぐ後に模擬戦をするわけだから。当然、深い呼吸などできない。

 例外がエルだ。恐らくいつも『瞬活』 (しゅんかつ) 技能を最大限に使っているのだろう。負けた後はしばらく立てない有様だった。それでも、呼吸を整えると立ち上がり外周を走りに行く。レーンが言った『悲壮な決意』というものがわかるような気がした。


 途中で軽い昼食、休憩を挟みつつ、ただただ愚直に繰り返す。これが『筋力』『走力』『肺活量』を上げるためのものだからだ。反復練習を行って、身体を追い込む。

 そして夕方になって、ようやく集中特訓が終わろうとしていた。

「ふー、こんなものか。それじゃあ全員集合、一休みしながら聞いてくれ」

 レーンの周囲に全員が集まった。全員、肩で息をしていたが。

「総決算だ。これから、俺を除いた4名で、他の三人と模擬戦をしてもらう。なに、特訓自体は成功だ。これはレクリエーション的なもの。俺とディアは皆の剣力を知ってるが、ウェイン、エル、アヤナは互いにあまり手合わせをしていない。だからこその余興だよ」

 余興とは言え、これだけ昂っているのだ。遊び半分ではない……とみんな思っていた。


 まずウェイン対ディア。特訓中も何度か剣を交えたが、やはりディアは強かった。瞬活をフルに使ってもウェインは敗北した。

 ディアはそのまま、アヤナ、エルと模擬戦をした。もともとがウェインより低い技量の二人だ。エルが瞬活を使い少し粘った以外は、簡単に決着がついていた。

 簡単と言えば、アヤナとウェインが手合わせした時も簡単だった。アヤナも強くはなっていたのだろうが、ウェインの『瞬活』の調子が良かったのだろうか。あっという間にウェインは有効打を叩き込んでいた。


 予想を上回ったのは、やはりエル。その『瞬活』で、呼吸が続く限り粘っていた。

 ウェインがエルを倒すまでに十数秒かかったが、竹刀の直撃を受けたエルは地面に転がってなかなか起き上がれないでいるほど。もう、本当に可哀想になってくる。

 ヘルメットを取り、呼吸を荒くしているエル。ふと、その瞳から涙が一滴こぼれたのをウェインは見てしまった。

 ……。頑張っている。確かに悲壮な決意だ。


「よーし、こんなもんだろう。お疲れさまでしたー」

 レーンの声に、お疲れさまでしたーと答えられたのは、ウェインとディアだけだった。エルとアヤナは肩で呼吸しながら手を叩いている。随分と自分自身を追い詰めたものだ。


 そしていつもの店で。

 目の前にはいつも同じくビール(今日はレーンですら)と、肉料理。

 だが今日はいつもとちょっと違う。訓練はもう終わったのだ(肉を食べ終えれば)。

 各自それぞれ成長し、もう明日からは極端に身体を酷使することはない。そう考えると気分も高まってくる。

「あー、疲れたぁ。ほんの二週間ほどだったけど、こんなにツラいのは久々」

 ウェインが言うと、手にしているコップにディアがコップをぶつけてくる。

「お疲れー。モニカは諸事情でいないけど、正直、魔法使いがここまでついてくるとは思ってなかったわー」

「いやみんな頑張ったよ。レーン、総評を一言ずつくれ」

 するとレーンは肯いた。


「まずディア。スタミナがついて、瞬活を躊躇なく使えるようになったな」

「えへへー。まだまだだと自分では思ってるんだけどね


「次にウェイン。同じくスタミナがついて、かつ瞬活を取り入れたことにより、戦闘力は飛躍的に高まったはずだ。ショートソードへの転向もうまくいくと見る」

「そう言や、瞬活使い始めたのって特訓の頃からだもんな」


「次にアヤナ。長く走れるようになったし、これで戦闘中被弾・怪我しても、戦場を離脱できるくらいにはなったと思う。逃げ足は一番大事だ」

「騎士階級持ってるくせに、私、ちょっと弱いからね」


「最後にエル。正直、最初はついてこれないと思っていたが、見事だった。短距離・中距離で逃げるだけでなく、瞬活で10秒か15秒くらいなら白兵戦もこなせるようになった」

「はい。頑張りました」


「明日からは、皆、それぞれの道、それぞれの課題を行うこと。俺はギルドで何か依頼がないか探してみるから、ウェインは魔法学院への依頼で探してくれ。近いうちに5人で冒険に出ようと思う。但し、難易度は低めのものをチョイス頼む。何せ初めての実戦・連携だ。ヒマなくらいが丁度いい」

「そうだなぁ。魔法学院には依頼自体はいっぱいあるが、その中でも冒険的なのを探すってわけだな?」

「ああ。軍隊へ行って後方支援などしても意味が少ないだろう。チームによる行動で、かつ経験が詰めるものだ。最悪、報酬は少なくても……いや、最初だからゼロでも構わない」

「わかった。ところで、とりあえず明日は完全オフでいいかな? 俺はまだ魔法学院行かなくて大丈夫だが」

「ああ、ゆっくり身体を休めるといい。筋肉痛以外で身体に痛みや違和感が出てきたら、報告すること。医者に診せるか……まあエルに診せるだけで済むかもしれんが」

 やった、と思った。明日は久々の休みだ。ウェインは二杯目のビールを注文した。

「あー、私もー。店員さーん、こっちにもビールもう一杯!」

 ディアの言葉に、レーンが言う。

「程々にしとけよ。アルコールは身体にあまり良い影響を与えないんだから」

「でも、流石にこの場でプロテインは飲めないでしょうよ。今日だけ、ね、今日だけだから」

 なんかいつも『今日だけ』と言ってそうなディアである。


 エルもアヤナも微笑んでいる。今日はいい雰囲気になりそうだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ