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ウェイン・アポカリプス  作者: 佐々木 英治
ウェイン・アポカリプス1.4

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311/313

装備プラン

 アリス隊の宿舎、食堂内。

 食事を終えると。アヤナが言う。

「ウェイン。とりあえず今日は、予定通りお休みよね」

「ああ。出発は先に延ばす。明日もガルディアで休み予定かな」

 ディアがぴょこぴょこする。

「んじゃー、私。そこらをブラついてみるわ。雑貨とか、そこらへん見たくて。ウインドーショッピング」

 タニアが顔を上げる。

「ディアは何に興味があるの?」

「マイナスイオンとか、かなぁ」


#割と真面目な模様


「でもクーポンないし。ブラブラしてみるよ。……モニカも一緒に行く?」

 モニカもぴょんと手を上げた。

「楽しそうッス。やっぱり一人だと気後れしちゃうし」

 ディアが下ろしていた赤茶色の髪の毛を、後ろで纏め始める。

「じゃ、ウェインはさ。エルとデートしておいでよ」

 ウェインとエルは、少し驚いて自分の顔を指差す。

 ディアは肯いた。

「婚前交渉……じゃないや、結婚前のデートなんて、もしかして最後かも、だし」

 それにはタニアも嬉しそうだ。

「おう、いーね。羨ましい」

 ウェインは軽く肯いてから……言う。


「じゃあアヤナも一緒に行く?」


 少し雰囲気が浮いたので、ウェインは軽く周囲を見ると……。そのアヤナが軽く怒っていた。

「あのねぇ、ウェイン!?」

「あ、はい。なんでしょう……?」

「エルと一緒の時間作ってあげよう、って皆の気持ちでしょう!?」

「え? あ? そうなの?」

「そうよ。それに私とウェインとエルで、どっか街に出たらさ。私とエルがお喋りして、ウェインは肩身が狭そうに……」

 とアヤナはウェインを見て、それから言う。

「いや肩身はそのまま……な感じがするのよねぇ。ぼーっとしてる感じで、何か考えてたり。可愛い女の子が二人もいるのに。それはそれで、ちょっとムカつく」

「いえ、あの、アヤナ姫。想像だけで怒られましても……」

「ま、いいわ。私は家とか王家とか、顔を出してくる。誰かが、何かをさ。色々と協力してくれるかも。そういうの」

 テキトーな感じだが、実際アヤナは皆に友好的な権力者である。自分から言い出すのは少し『貸し・借り』が大きくなるだろうが、小さなモノなら、互いに小さなモノで済む……というルールがあるようだった。


 そのアヤナに。ウェインは自分のショートソードを、鞘に入れたままアヤナに渡した。『ボーパルマニューバー』のほうは腰に差したままで、渡さない。

「アヤナ、コレを」

「ん?」

「ショートソードだ。ベースはギルドで売ってた店売りのものなんだが、その中からレーンが選んでくれた。ジャンに一度強化してもらい、さらに、もう一回強化してある」

「ふんふん」

「これを……王家やフランソワーズ家で、何か強化できないか?」

「強化?」

 アヤナは訝しむ。そして言った。

「そう言うことならジャンさんのほうがいいんじゃない? いえ王家や私の家にも腕利きはいるから、ジャンと遜色はないと思うけど。でもウェインのことをよく知っているジャンさんのほうが」

 ウェインは軽く手を振る。

「ま、そこまで大袈裟に考えてはいないんだけどね。ただそのショートソード、ベースは本当に一般の市販品なんだ。ユニバーサル規格をどうにかクリアしている……くらいの。もし本格的に何か使うことになったら、別口で探すし」

「ふーん……いいわよ。でも。そっちの『ボーパルマニューバー』があれば……」

 ウェインは、また手を軽く振る。

「ま、これはいいんだよ。それよりそっちのショートソードを頼むな。多少ピーキーになってもいい……とオーダーしてくれ。そもそも俺が白兵戦やることなんて少ないんだから」


「うん。じゃあ納期は?」

 それはあらゆるタスクにおいて、最重要かもしれないことだった。

「んー。明日も休みで明後日に出発だと……」

 それはまだ、少し、疲労が残りそうな日程だった。

「よし決めた。今日休みで、明日も休み。明後日も休み。なので出発は三日後の朝にする」

 そう言うと、全員は肯いた。これくらい間を取れば問題ないはずだ。ウェインは続ける。

「だからアヤナ。俺のショートソードの強化は、ケツは三日後の早朝まで。そこまで、かなり強力にやって欲しい。カネは出す。割と手持ちがある。銀行でも下ろしたし」

 アヤナはウェインの、鞘に入ったショートソードを受け取った。そしてぶんぶん手を振る。

「『あの』ウェインからカネ取れるわけないでしょうよ」

「……そうなの?」

「この前、ミネア様を助けたしさ。それぐらいは役得よ」

「そっか。そだね」

 アヤナは指をくるくるさせる。

「それじゃあウェイン。貴方はこのショートソード、気に行ってる? もっとこうなってれば……とか。それか、こうなって欲しい……みたいなの、ない? リクエスト」

 ウェインは考えてから、言う。

「いや特に。俺は白兵戦闘は、かじってる程度だ。ユニバーサル規格をクリアしているものであれば……いやクリアしてなくとも、多分問題ないよ。こっちから積極的に切りつけるのも少ないだろうし」

 するとアヤナはちょこんと肯いた。

「わかった。じゃあこのウェインのショートソードは強化を頼んでみるわ。納期は三日後の早朝ね。それとは別に……王家とかウチの家で、何か使えそうなのを見繕ってくるよ。使えそうなヤツで、許可いらないヤツとかをさ。……何か有事になれば、色々頼んで融通利くんだけどね。今はそこまで大袈裟ではないし」

 こういう点では、お姫様は頼りになる。


 ウェインは、また少し考えた。

「俺らのもお願いしたいが……アヤナは、もっとこう……お前が前衛に出れるくらいの装備はないか?」

 アヤナの装備は、今の時点でそこそこの鎧(簡素ではあるが魔法の品)だそうだが。もしアヤナが白兵戦に耐えうるならば。これはチームに取って、とても良いことのはず。

 そのアヤナはコクッと肯く。

「多分、そこらに転がってると思うし。なんか見つけてくる」

 ここらへんは物凄い感覚である。その彼女は続ける。

「ウェインは鎧とか、いらない?」

「いらないよ」

「エルとモニカは?」

 二人は顔を見合わせる。彼女らの防具は、制服の上に、適当なプロテクターで補強したものだ。確かにここが強くなればとも思ったが。

 ウェインが代わりに言った。

「何か軽いのがあれば、頼む。エルたちは軽さが優先」

「わかった。タニアは」

 アヤナはタニアを見る。タニアは肯いた。

「私のは自前で問題ない。となると。残りはそこの……」

 タニアはディアを見る。彼女は髪をまとめ、トレードマークのポニーテールがぴょこぴょこしていた。ディアは言う。

「私は、特に何もいらないよー」

「そう?」

「うん。それこそ私は白兵戦しないし。万一にする時だって、私の手持ちの剣で大丈夫だし。アーマー要らないし」

「ディア。もっと強い剣を探してみるわよ?」

「いーのよ。私は目立たない方がいい」

 ディアはやはり、こう言う人種のようだ。

「それよりさ、アヤナ」

「何? ディア」

「もし前線張るなら、私よりフェイでしょ。フェイ用に何かないの?」

 アヤナは少し考えてから、言う。

「ふぇーちゃんの戦闘スタイルとか、知らないんだよね。装備とかはどれも騎士団で支給されてるはずだから、品質や機能とかはかなり上っぽいけど。後でちょっと聞いてみる」


 そもそもフェイは『ボーパルバニー』と言う『ミドルソード』を持っていたほど。ある意味では普通じゃないスタイルとも言える。

 ただアリス隊のゆかりであり、アリス隊の足さばきができ、アリス隊と連携できるのなら……装備はそれなりに近いはずだと思った。

 アヤナは言う。

「でも色々騎士団から支給されてるにせよ、ウチの倉庫にあるヤツは優秀なのが多いから持ってきてみるよ。細々したものは、一旦ここの基地に運ばせるわ。それより大がかりなものは、ちょっと、目的もなく急には持ち出せないけど」

 ウェインは答えた。

「いや、十分だ。ありがとうアヤナ」

「いえ」


 そして少し考えて。ウェインは言った。

「そうだアヤナ。俺は、そこそこの感じの『小手』が欲しいんだけど、心当たりあるか?」

「『小手』?」

「そう。剣を持つ右手にだけ……でいい。むしろその方が自然だ。そこそこ目立ち、でも悪目立ちしないような……」

「難しいオーダーね。でも、なんでまた」

「外から見た場合、『戦士』『剣士』っぽく、にも見えるように……だな。確かに難しいオーダーかもだけど」

「性能的に、どんなのが良い? 防御を高めるとか、フィールド張るとか、風とかを巻き起こすとか色々あるはず」

「それは任せる。見た目が最優先で、次に重要なのは頑丈かどうか。そこらへんかな」

「ユニバーサル規格は?」

「どうでもいい。クリアしてなくていい。使えればいい」

「わかった。探してみる」


 戦闘時のウェインは今も小手を着けていた。革製である。打ち込みやら、やむなく鍔迫り合いになった時やら、どうしたって『手』は最も相手に近くなる。

 鍔迫り合いの後に指が落ちた……なんて話も多い。

 だから白兵戦を想定している人間は、革製であっても小手は必ず着けている。逆に白兵専門の人間の場合、小手は工夫していて金属製では……なことが多かった。

 ウェインは『そこ』。『ボーパルマニューバー』を腰に差して歩いた場合。遠目には、魔法使いでなく戦士である……と『偽装』したかった。


 少人数での行軍ならまだしも。これからは人が多くなる。イヤでも目立つ。だから自然と溶け込めそうな感じを……。





 と、ウェインはおかしくなって、少しクスッと笑った。

 こんな考え、普通はディアとかだけだよなぁ……と




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