表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

打たれる出る杭と違和感

そして、図書館に向かう道中、目の前に数人が立ちはだかっていることに気づいた。

「ちょっとツラ貸せよ。」

お決まりのフレーズに吹き出しそうになったが、まぁ当然の運びか。

スクールカースト外にいるようなゴミくずがイキって不良を追い詰めたんだから。

そりゃあまぁ、出る杭は打たれるという分かりやすい流れで。

さて、どうするか。

俺は運動神経については自信はない、なのでケンカなんてのからっきしだ。

だが、この場を逃れるだけなら狂気を演じれば多分逃れられるだろう。

カッターを振り回すとかな。

そうすりゃ奴らは逃げる。それにかかわるほどの思いでもないだろうから。

だが、これも目立ったが故の制裁。

とすれば、それをいったんは受け入れたほうが目立ちはしないだろう。

と、思いに至り奴らについていき、校舎裏で殴られるというこれまた定番を経験した。

しばらく歩けそうにもないので、校舎裏で寝ころびながら考えた。

これもまた俺の「知っている」記憶にはないことだ。

先日の記憶にない行動からの派生だろう。今後もそんなことは増えていくんだろう。

しかし、今更ながらに不思議なのは俺が過去に戻ったとも思えるこの状況。

まずは記憶をもってタイムスリップしたかに思える今の状況。

それとこの記憶と思わしきそれが詳細すぎること。

事細かに確かに「覚えている」のだが、こんなに覚えていたはずはない。

記憶というのは、情報の格納のそれの引き出しで構成される。

一説によると情報は大概格納されるのだが、それを引き出せないだけだという。

そうすると、それが異様にスムーズに引き出せているのか。

にしても、普段は数日前の食事の献立すら思い出せなかったのに

俺は今日の食事の献立を事細かに「知って」いて、意図的にそれをそらさない限り

そうなってきた。

ここでも一度昼食を変えてみると、そこに派生して「知らない」ことが発生はした。

とはいえ微々たるもので、多くは「知って」いるとおりに事が進む。

としたこの状況は何なのか。

長い夢ではないのはこう考えるに至っている以上確かではあるが、では何なのか。

俺の今に、俺のこの先に何があるのだろうか。

例えばここで俺が自殺でもすればこれは覚めるのだろうか。

それとも「本当に死ぬ」のだろうか。

少なくとも今はこの状況が俺の認識世界で、ここで俺が死ぬとなればその認識は終わるのだろう。

ただ、死んだ後に元居たと今になっては思っているでしかない世界に戻れるのか?

その保証はない。だからさすがに死ぬわけにはいかない。

ただ、何が正しいのかというものもありながら、この状況が正常ではないのは確からしい。

何をもって正常かとも言えるが、少なくとも俺の認識する正常からは余りにこの状況はズレている。

にもかかわらず、さっきの様に知っていることから外れた動きから観測される事象はごく自然だ。

五感も違和感がない。今までを思い返しても現実の様だし、今の俺にとってはこれを現実以外に認識する術はない。

だが一方で、モヤのかかった様に感じる違和感。

もう少しで、それの首根っこをつかめそうなのだが…。

そして俺はふと目にしたそれから、一つの可能性を、違和感の首根っこを捕まえることができたようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ