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4話

4話




「……なんで、私が女、に?」


一番の疑問だ。転生の際、普通は転生の間に行って能力を決めるとソフィーは言っていた。

つまりそのときに、自分の転生先も選べるはずだ。


「さっき言った通り、君は色々とすっ飛ばしてこの世界に来てしまったんだよ。賢い君ならこれでわかるよね」


「……」


色々すっ飛ばしてこの世界に来てしまったせいで、転生先もランダムだったということか?

……そう考えると、人間に転生できただけマシ、か。


もしかしたら虫とかに転生していたかもしれない。そう考えると、背筋が寒くなった。


「……あとは、この世界について、教えて」


スキルについては教わったが、ここがいったいどこなのかは説明されていない。

おそらく転生の間で説明されるものだと思ったが……。


するとソフィーはあ、忘れてたと言わんばかりに苦笑いを浮かべて、口を開いた。


「……この世界の名前はガイア。君のいた世界とは違い、ここは精神生命体と半精神生命体、そして物質生命体が存在している世界だ」


……ふむ。つまり魂(?)だけの存在と、肉体と魂を兼ね備えた存在に、肉体だけで魂を持たない存在がいるってことか。

精神生命体というと……、聖書に登場する天使や悪魔あたりがそうだろうか。


「うん。君の考えで正解だよ」


どうやら合っていたようだ。


「あと君の世界と違うのは……、文明の発達度と魔法の有無かな?」


「……まほう?」


知らない単語があったので、反射的に聞き返してしまった。

呪術や陰陽術なら知っているが、それに似たようなものか?


「んーと。魔法っていうのは魔素と呼ばれるものを使って、さまざまな現象を起こすことだね」


「……詳しくお願い」


「おっけー。––まず、人の身体の中には「魔法器官(エーテルきかん)」と呼ばれる見えない内臓が心臓のすぐ横にあるんだ」


「魔法器官?」


「そ。ここで魔法を行使する為に必要な魔素(エーテル)を生成しているんだ。魔素を内封できる量と、その生成速度は生まれた瞬間に決まる。つまりまあ、「才能」だね。こればっかりはどうしようもないんだ」


ソフィーは一瞬悲しそうに顔を歪めたが、すぐに真面目な表情に戻った。


「つまり魔素の量が少なくても多くても、魔素をどれだけ効率よく使えるかが重要?」


「そういうことになるね」


とは言っても、やはり最終的には魔素の量が重要になるんだろうな。

同じ技術力を持った人が、10の魔素を使えるのと、100の魔素を使えるのとでは、後者の方がいいから。


「ちなみに、私はどう?」


魔素の量や生成速度が血筋……デオキシリボ核酸で左右されるなら、スラム生まれと思われるこの身体はきっと大した量はないだろう。

血筋で決まらないなら話は別だが。


「んー、平均のだいたい三倍くらいの量かな。生成速度は平均のだいたい9倍だね。なんで多いのかっていうと、元々その身体にあった魔素に、君の……シン・シナナギの魔素が加算されているからだね」


「それは、多い、ほう?」


「めちゃくちゃ多いってわけじゃないけど、まあ多い方だね」


彼女いわく人の中で今まで一番魔素の量が多かった者は平均の11倍。生成速度は121倍らしい。

うん、確かにそれと比べると少ないか。


「あとは、と。ふんふん、お、珍しいね。君には【影魔法】の適性があるようだ。今までのお詫びに、【影魔法】の魔導書をプレゼントしよう」


そう言ってソフィーは何もないはずの場所から、結構分厚めな黒色の本を取り出して、こちらに渡してきた。

貰えるものは貰っておこうと思い、オレはそれを受け取り––


《【影の叡智書】との契約が完了しました。これにより〈影魔法:特階位:影収納〉を獲得しました》


そんな無機質な声が聞こえて、頭にそれらについての知識が流れ込んできた。

––とんでもない激痛とともに。


「あぐぃッ?!」


頭を鈍器で殴られたかのような痛み。しかも一発だけではなく、毎秒一発ずつ殴られているかのようだ。

あまりの痛みに、オレはその場にうずくまる。


常人なら直ぐに気絶してしまうだろう。しかしこの身体は痛みに……というより気絶に対する耐性を持っているようで、なかなか気絶出来なかった。


––現実時間で数十秒。体感では数時間が経過して、ようやく痛みが治まった。


「ゔ……」


【影魔法】についての知識。その全てがオレの頭に埋め込まれた。……ついでに魔法についての知識も。

そしてそれらを省みて、影魔法の凶悪性に気がついた。


魔法の知識によると、火、水、風、土、光、闇の属性が基礎魔法フォンデーションエーテルと呼ばれていて、世界人口の大凡4割の人がそのうちの一つ、適性を持っている。

……扱えるかどうかは別として。


次にその複合魔法(エクストラエーテル)もしくは上位魔法として、熱、雷、泥、混沌、獄がある。その適性を持っているのはその4割のうちの1割ほど。

適性の才能に恵まれたもののみが使えるのだ。


最後に、特殊魔法(ユニークエーテル)

基礎、複合のいずれにも属さない魔法がそれに当たる。

魔法知識に記録されていたのは、空間に植物、神聖があった。

そしてその権能は、個々によって様々だがどれも破格の性能を誇っているらしい。


それらの魔法を行使する為には、【魔法礼装(エーテルコート)】––略して魔装と呼ばれる、自分の行使した魔法による被害を受けなくなるものを起動する必要がある。

例外として【生活魔法】と呼ばれる魔装を必要としない魔法もあるが、それはまあ名前の通りの魔法だからだ。

……魔装の起動をせずに魔装が必要な魔法を使うと、大変なことになるらしい。

見たこともやったこともないので詳しくは知らないが。


魔装の起動方法は、魔法の適性さえ持っていれば本能的にわかるらしい。……不思議だな。


基礎魔法と複合魔法の魔装はあくまでも、自分の行使した魔法による被害を受けなくなるだけだ。

しかし特殊魔法は違った。これらの魔装は、それぞれの魔法にちなんだ副能力を持っているのだ。


––オレが【影魔法】を凶悪だといった理由。それはこれにある。

【影魔法】の魔装は、影を纏いありとあらゆる自然影響を無効化するというものだった。


これだけならえ?しょぼくね?と思う人もいるだろう。

だがこの魔装は、先程獲得した〈影収納〉と組み合わせることによって、その真価を発揮する。


〈影収納〉––それはありとあらゆるもの(・・・・・・・・・)を影を通して影空間に収納できる魔法だ。

ちなみにこの魔法は魔装を展開しなくても使える。……生物も入れられるみたいだし、誘拐に使えそうだな。いや、それには使わないけど。


これだけ聞けばもうわかるだろう。【影魔法】の魔装は影を全身に纏う。

つまり、全身が〈影収納〉に直結しているのだ。

そうなると、自然影響だけでなくありとあらゆるものが通用しなくなる。

だって自分に対する攻撃(運動エネルギー)は収納して仕舞えばいいし、魔法も、そして攻撃に使われたものも。


––ということで早速使ってみよう。オレは一旦思考を中断して、顔を上げた。


「……?」


辺りをキョロキョロと見回す。

……いなかった。先ほどまで目の前にいたはずのソフィーが、居なくなっていたのだ。


「……まあ、いい、や」


きっと説明は終わりと判断したのだろう。ならばとやかく言う必要もないし、機にする必要もない。

オレは気を取り直して、魔装を起動させた。


「––〈魔装(エーテルコート)〉、起動」






      


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