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ドゥームセイヤー 破滅の予言者の物語  作者: ほうばなみ
第二章――中つ国
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1. 交差するほうき星

 ――話はザマ少年の時代から三十年近くを経て今このときに至る。ウコン・タワヤメ少年はふと手を止め、空気を入れ替えようと窓を開け夜空を見上げた。


「流れ星だ」


 幾筋の流れ星が尾を曳いては消えていった。それは東から西へと流れていった。


「え?」


 次にウコン少年がみたのは逆に西から東へ向かう流れ星であった。やがて流れ星は交差しはじめた。まるで撃ちあっているかのごとく。


 彼はその夜起きたことを兄に話したが、信じてはくれなかった。流星群をみた者は大勢いたが、流れ星が交差したなどという証言はついに得られなかった――


     ※    ※    ※


 白い砂浜が広がっていた。さざ波がよせては返す。人影があった。意識を失って横たわっているドゥームセイヤーだ。


「う……ん……」


 彼女ははっと目を覚ますと、頭が痛むのかしきりに首を横に振った。


「ここは?」


 ドゥームセイヤーは自分の体を見下ろした。体を覆っていた鎧は消え、簡素な男ものの衣――袖はあるが貫頭衣風の上着、それと袴というよりズボンに近いもの――だけをまとっている。


「体の自由が効かない……ここは形而下なのか……」


 ゆらり、とドゥームセイヤーは立ち上がり、砂浜をあてどなく歩きはじめた。幾人かとすれ違ったが、見慣れぬ古風な衣装に誰もが不思議そうな面持ちで見守るだけだった。


「何年ぶりだ……中つ国は」


 遥か昔からドゥームセイヤーはアシハラの中つ国を訪れ、英雄となるべき人を探し出しては、天つ神の送り込む救世主――千年紀の王たちと果てしのない戦いを繰り広げていた。


「感じない、今の世には……我が盾となり剣となる英雄は死に絶えたか……」


 英雄たるべき人の気配は感じられなかった。ならばなぜ自分はここに来たのか? 再び意識が濁ってきた。やがてドゥームセイヤーは力なく砂浜に倒れ伏すと、そのまま意識を失ってしまった。


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