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第6話 5名の容疑者達  1-2

《登場人物》

アラン・ダイイング    探偵

マリア・シェリー     探偵助手

モーリス・レノール    警部

カール・フリーマン    刑事 モーリスの部下

ジェームズ・クレムリン  容疑者  教師

ジョン・ボルト      容疑者  教師

ゲイリー・ワシントン   容疑者  教師

トマス・ヴィエト     容疑者  教師

トミー・D・ピアーズ   第一発見者 容疑者 警備員

エレノア・カーリッシュ  故人 

 

 シュゼット小学校 警備室  


 シュゼット小学校警備員のトミー・D・ピアーズは、事件についてレノールの部下に話をしていた。

「それで、まさかカーリッシュ先生が倒れているとは思っていなくて」

 トミーの話を聞いて、刑事はメモをしている。

「ちょっと失礼。お話いいですか?」

 アランは、レノールの部下を差し置いて、トミーに話しかけた。

「あんたは?」

「おい! なんなんだよ? あんたらは!?」

 刑事はアランに、言うが軽く流された。

「まぁまぁ、刑事さん。それよりフリーマン君が君達を呼んでいたよ」

「本当か?」

「ああ、早く行ってきなよ」

 刑事はアランの言う事を聞いて、警備室を出ていく。刑事が出て行ったあとで、トミー、マリア、アランの3人になったと同時にトミーに自己紹介する。

「私はアラン・ダイイング、で、こっちは助手の……」

「マリア・シェリーです」

 トミーは2人が放つ変な空気に苛まれながらも話した。

「どうも、あの? なんのご用件で?」

 アランは目の前にいる高齢の警備員を見て、ニッコリとした笑顔で簡単な事情を説明する。

「実を言いますと、この学校の監視カメラを見せていただきたいなと思いましてね……」

「ええ、どうぞ。あちらの部屋がカメラ室です。ご案内します」

 トミーは、隣のカメラ室に案内する。

「こちらです」

 3人は、カメラ室に入る。アランはカメラ室の全貌を見て、なんとも言えない顔になった。

「こちらです」

「ど、どうも」

 シュゼット小学校は、新しい校舎の改装工事も含め、後者の外壁や中は古ぼけている様なイメージがあったが、カメラ室はそのイメージを一気に吹き飛ばした。

「カメラは7台です。まぁ、2台はダミーですがね」

 マリアはトミーに一つ訊く。

「事件当夜のカメラ映像を見せて欲しいのですが?」

「ああ、残念ですが、事件当夜の時、落雷による回線ショートでカメラ自体が止まってしまったんですよ」

「いつぐらいのことですか?」

「8時ぐらいだったかな」

 アランは、マリアとトミーのやりとりから質問が浮かび上がったので、トミーに訊いた。

「カメラは人為的に破壊されたんですか?」

 質問を受け、トミーはカメラの報告書のリストを取り出して、アランに手渡した。

 手渡されたリストをパラパラめくりながらアランは考える。リストには、カメラの故障原因が書き記された上で、どのカメラが故障したのかも記されている。



         ――――――――――――――――


            《カメラ故障報告書》


 ①メインゲート、左側1機、回線が焦げてしまい、修理が必要。原因はおそらく落雷と思われる。


 ②メインゲート、右側1機、左側同様、回線が焦げ映像が映らない状態。


 ③校舎玄関、1機、上記2機同様、回線が焦げてしまい、映像が映らない。

 

       上記、3機のカメラを至急、修理を要請します。

 

          記 シュゼット小学校警備担当 トミー・D・ピアーズ


 

         ――――――――――――――――



「いえ、そんな感じには見えませんでした」

「そんな感じですか?」

 メモを書きながらマリアはトミーの言動に不思議に思った。

「え、ええ。原因はカメラの回線から火花が起きてショートして焦げ焦げだったんですよ。カメラが壊れたのをたまたま映像で確認したので、急いで行くと、メインゲートのカメラの2機と校舎玄関の1機がやられましてね……」

「それはまた……大変なことで」

 アランは心で気の毒に思いながら、トミーに同情した。

「どうも」

 トミーはため息をついた。

 マリアは、メモでカメラについて記していく。

「ピアーズさん」

「何でしょうか?」

「警察を呼んだのは、あなたですか?」

 少しだんまりながら、トミーは答えた。

「そうです。でも、既に彼女はあんな状態に……もっと早ければ助かっていたのかもしれないのに」

 アランはカメラの画面をずっと見ながら、訊いた。

「一つ伺いますが、あなたは事件当夜、何処にいました?」

 トミーは、事件当夜の事を思い出しながら、顎を触りながら答えた。

「事件当夜は、そのカメラの報告を終わった後で学校を閉めて帰りました。9時ぐらいだったかな。その後で行きつけのバーで、ビールとフィッシュフライをつまみながら、サッカーの試合を見てました。バーはこのお店で……」

 とトミーは店名とロゴが入ったマッチ箱をポケットから取り出して手渡した。


《バー:キリングフィールド》

 

 マリアはトミーの発言にどうも引っかかり、彼に訊ねる。

「待ってくださいピアーズさん! 確かカーリッシュさんは日直だったそうですよね?」

「ええ、そうですけど、どうかしましたか?」

 自分の手帳をパラパラと遡って目的のページに辿り着き、マリアはトミーに訊いた。

「日直なら、校舎の見回りの報告書を渡されていないんですか?」

「いえ、それが……」

 トミーは頭を掻きながら答えた。

「カメラがショートして見に行った後で、警備員室に戻ったら置かれていたんですよ。報告書が机に……おかしいですよね」

「先生。これは……」

 少し黙って、話を聞いた後で、アランはトミーに言った。

「そうですか。どうも。行こうかマリア」

 アランは軽くトミーに礼をして、警備室を出る。

「え?」

「ピアーズさんには業務を頑張ってもらわないとね」

 そう言ってアランは警備室を後にした。

「ちょっと待ってくださいよ! あ、ありがとうございました」

「い、いえ」

 一礼してから、マリアは警備室を出て、アランの後ろ姿を追いかけていく。

「待ってくださいよ~! これからどこへ?」

 暗号が書かれた一枚の紙をアランは見ながら告げた。

「もう一回、職員室に、ちょっと話を聞きたい人がいてさ」

「聞きたい人?」

「そ! ボルトさんとワシントンさんの2人に話を聞いてなかったからね」

 2人はまた職員室へと向かって行った。


第6話です。今回も5人の容疑者のうちの一人の話です。


ではでは、お楽しみに!!

話は続きます。

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