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第13話 真実への準備

《登場人物》

アラン・ダイイング    探偵

マリア・シェリー     探偵助手

モーリス・レノール    警部

カール・フリーマン    刑事 モーリスの部下

ジェームズ・クレムリン  容疑者  教師

ジョン・ボルト      容疑者  教師

ゲイリー・ワシントン   容疑者  教師

トマス・ヴィエト     容疑者  教師

トミー・D・ピアーズ   第一発見者 容疑者 警備員

エレノア・カーリッシュ  故人 

ロジャー・ワシントン   シラーク・カレッジ 学長

 


 シュゼット小学校 

 


 ヴィエトの車が大きな音を立てて、小学校の駐車場に停まった。

 ジムは車から降りて礼を言う。

「なんだか、悪かったな。今度、奢るよ」

 ヴィエトも車から降りて、ジムの言葉を聞いて返した。

「そうだな~じゃあ、今日、奢ってもらおうかな」

「えっ?」

 職場仲間との和気藹々の風景に思えたが、ヴィエトの動きでジムは表情を変えた。

 ヴィエトのスーツジャケットの胸ポケットから取り出したのは一丁の拳銃。

「なんだよ? それ、おもちゃか?」

「いいや。ちょっと違う」

 ヴィエトは銃口を空に向けて、引き金を引いた。大きな炸裂音が駐車場に響く。

 ジムはヴィエトの行動に、驚きを隠せず、立ち止まったままだった。

 空に向けた銃口が、今度はジムの胸へと照準される。ジムは悟った。何から何まで今日は不幸続きだと。

「一緒に来てもらえるかい?」

 銃口で行く方向をヴィエトは指し示した。示した方向は小学校。言われたままにゆっくりとジムは歩き出していく。

 2人は、そのまま学校の玄関へと向かう。玄関ではピアーズが、2人の帰りを待っていた。

 ヴィエトとジム、この2人が歩いてくるのが見え、ピアーズは安堵の波が押し寄せ、良い調和が起こせるはずだったが、ヴィエトの持っていた拳銃の弾丸がピアーズを襲う。

「!?」

 弾丸は大きな炸裂した音と共に、焦げ臭い火薬の匂いを玄関で漂わせた。ピアーズは衝撃とともに床に倒れ、目をつぶった。肩から赤く生温かい液体がゆっくりと流れ落ちていった。

「悪く思わないでくれよ。ピアーズ」

 ヴィエトは倒れた警備員に、一枚の白い紙を落として、ジムを先頭に歩かせていく。

「さぁ、歩こうか。クレムリン先生」

「長い時間を一緒に過ごしてもらうからね」

 2人はゆっくりと廊下を歩いていった。

 2人の影が消えたあと、ピアーズは衝撃からの気絶から覚めたが、激痛で体を動かす事がまだできない。ゆっくりと進んでいき、電話がある警備室へと向かう。

「うううう……くそ! 早く警察を呼ばないと……」




 アランの車




 アランはアクセル踏み、愛車のエンジンを大きく唸らせて街中を走っていく。

 助手席のマリアは、大きな音を立てて加速する車の速度を感じながら車の手すりを力強く握りしめていた。

「先生。もっと優しく運転してください! 事故を起こしたらどうするんです!?」

「そんな事、言ってる場合じゃないよ。彼の命が危ないんだ!」

「それにどういうことですか? 前職の必需品って」

 マリアの姿が、軍隊の特殊スーツや警察の特殊部隊が着ける様な姿をしている。

「犯人は拳銃を持っているから、君には大いに活躍してもらわないと。それに、君が使っていた相棒は元気かい?」

「良好ですよ。なんせ相棒は日本製ですからね。繊細かつ精密で素晴らしいです」

 運転している時に、左耳のインカムから連絡が入った。

「通信だ。はい。ダイイング」

『俺だ。事態は最悪だ。ヴィエトの奴、クレムリンを人質にしやがった。しかもピアーズが撃たれた』

 アランは心情の中でどんどん最悪な予想が襲いかかってくる。彼にとってもなんとしてもヴィエトを止めなくてはと考えていた。

「最悪な状況だな。とにかく特殊部隊を出そうとは思うなよ。あいつらが入ってくると面倒な事になるぞ! 人質が死体となって帰ってくるからな」

『ああ、分かっているそれよりもヴィエトが要求してきてるんだ。《アラン・ダイイングと話がしたい》そうだ。早く来てくれ』

 最悪な展開が進みつつあると探偵は感じていた。依然として緊張感が拭えない事にため息をつく。

「分かっているさ。そこで待っていたまえ。警部殿」

『早く来るんだぞ! 頼むぞ!』

 アランはレノールに告げた。

「警部。ヴィエトに伝えてくれ。話なら現場で話そうと伝えてくれ。方法ぐらいはできるだろう?」

 レノールは携帯を切ろうとするが、探偵のお願いを聞いて、少し沈黙したが、了承する。

『……分かった。お前に任せる』

 耳越しから聞こえる警部の言葉を聞いて、アランは軽く頷いて、一言だけ返した。

「電話切るぞ。もうすぐでそっちに着く」

 アランは電話を切り、車のハンドルを両手で握り、アクセルを踏んだ。



第13話です。 さて、物語はとんでもない展開へとなっていきましたね。

次回をお楽しみに!!


話は続きます!

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