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墓掘り男の住処

「不都合ってこれ!?」


頭を抱え込んでほんの少し前の事を回想した結果、自分なりの答えを導き出した。

不都合どころか、命のもんだいなんですけど。あのやろーあんだけへらへらと軽く言いやがって。


「もう問題ない?」


おっと、横に変な色の男が居る事を完全に失念してわ。

さっき睨まれた気がしたけど今は時に気が立ってる様には見えない。


「問題だらけだけど、落ち着いた・・・」


「君はあれだよね、間違いなく人間だよな?」


「そこは大丈夫間違いない」


「普通脈が無い人間はいないよな」


そうだよなーと私が立ち上がって腕を組んで考え込むと、隣にたった男も首を傾げている。スコップ担いだまま。

何かさっき一瞬怖い人かと思ったが、面倒見のよいいい人なのかも知れないな。

でもこの人も人間ぽくないよなぁ、主に色合いが。


「あ、私も一個確認しなくちゃ」


ココが異世界であろう事は、間違いない様だがちゃんと魔族(?)の土地に『出勤』できたかは謎だった。

ここの人が全部こんな色合いなのかも知れないし。


「えっとー、あなたはアレですか。魔族?ですか?」


言ってて恥ずかしい。

もう一回墓穴に隠れたい位恥ずかしい。


こっちの心の葛藤お構いなしに、男は遠慮なく驚いた顔をする。やめてください。そんな顔しないでアホ言ったみたいで本当に墓穴にダイブしたい・・・。


「気づかなかったの?人間のくせに怖がらないなぁと思ったら分からなかったってこと?脈も無いし、魔族を怖がらないし、何これ」


「いや、こっちも何これなんだけど」


うーんと、2人でもう一回首を傾げたから、不意に男が顔を近づけてきて、胸に耳を当てようとして直ぐに止めた。

そんで凄い失礼なことしようとした・・・みたいな顔してその体勢のままこちらの顔を見上げる。


「私そういう事、全く気にしませんけど」


ウチのクラスは、はっきり言ってオープン過ぎるから。


「確認してもいい?」


うん。どうぞ。と頷くと、左胸に耳を当てる。目を閉じて耳を澄ませるようにして直ぐに離れる。


「心音もない」


まじっすか・・・。いや、脈ない時点で予感はするがな。


「ホントに変な人間だな。よし、ここで悩んでたって答え分かんなくてイライラするから付いておいで。もっと詳しそうな奴も居るだろうし」





墓場らしき荒地を、何故か手を引かれて歩いている。

なぜ手を引いているんだ・・・。なんで手ぇ繋いでいるんだ?

さっき「付いておいで」で一瞬戸惑ったからか?そりゃ戸惑うよ。普通知らない人には付いていかないもの。

・・・・。

それにしても私はこれからどうしたらいいんだ?

あのウザ神様は、復興手伝え的なこと言ってたよなー。でもどうすればいいんだろう。本格的に復興政策に関るような事は、そーとーエライ人とご対面しないといけなそうだけど。身分証明も出来ない私はどうしたらいいんだ・・・。

アレかなーお米の作り方でも布教させればいいのだろうか。そんな感じの手伝いでいいのだろうか?

って言うか、この男はナニモンだ・・・・?

墓守?

技術が低いのか総鉄のスコップを担いでいる。重そう・・・。


しばらく、ぼやぼや考え事しながら歩いていたらいつの間にか、景色が変わっていた。

街中だ。

いつの間にこんな建物の多い所に来たんだ?

ちろっと後ろを見たら、とーくに長い灰色の線が見える。きっとアレだ、防壁か何かだ。門を潜ったんだろうが、覚えがない。

あれ、そう言えば人が全然見当たらないなぁー。

私がきょろきょろしていると、まだ手を引いている男が何かを察したらしく注釈をくれた。


「まだ早朝だから。・・・・人口も未だに戻らないからね」


ぼろくそに敗戦したって言ってたっけ。

っていうか、コイツ、早朝から何で墓穴掘ってたの。軽く寒気がする人だなー。


「すいません、どこ行くんですか?あなたの家この辺ですか?」


歩きつかれた感はまったくないが、風景の変わりようから相当な距離歩いている気がする。


「家っていうか住家はもう直ぐ」


もうすぐって何分くらいまで許容されるんだろう。


「ほらあれ」


ずっと掴んでいた手が離れて、少し小高くなった緑の丘を示す。その丘の上にあるのは、N○Kの番組で拝めそうな、美しく壮大な建物。

ドイツとかに旅行に行ったならできるだけたくさん見て回りたいなぁーと思う建造物。

つまりお城。

お城である。

ほんまもんのお城である。

青い屋根と白い外壁、何本かの塔がありそれらの屋根は子供が夢見るような尖った三角。(円錐っていうけどね)マジで絵に描いたようなおしろじゃーヒャッホーイ。


「え、あんたひょっとしてエライ人!?」


「・・・ずいぶん間があったな。一応エライ人。うん、でもその反応で良かった。心底驚いてるみたいだ。なんか企んでるかとも思ってったんだけど」


「ああ、驚いたよ。てっきり墓守か、墓掘りか、墓泥棒かと思ってたもの」


「僕の第一印象最悪みたいだね・・・」


いやいやそんな事ないさ。

やあでもこれは本当に復興政策に参加しないといけないパターンなのか?

でも普通あり得ないか。




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