高三、就活中
さて、ここに一枚の履歴書があるのだが。そうそこです名前の欄を見て欲しいのだ。
『一 一』
さぁ何と読むでしょう?
正解はその直ぐ上の点線で区切られたほっそいフリガナを見ていただきい。
『ニノマエ イチ』
ニノマエまでは仕方ない。テストのときにとても時間短縮でとてもいいのだが。両親。なぜ名前まで横棒一本にした。しかもイチって何だ。せめてハジメとか人間の名前らしいのが良かったのに。
ちょっと変な後輩には『ふたつちゃん』なんていうあだ名をつけられた。
ぐしゃりと履歴書を握り潰す。
名前のせいではないのだが、このイライラをどうぶつければいいというのですか。こちとらこれで三社めですよ。
落ちたのが。
もうね、不景気なのはね、分かっているんですけどね、どうもね、遣る瀬無いね。
高校3年で就職を選んだのは半分。そのうち内定を貰えたのは三割。もちろんあたしは内定を貰えない7割のほうですとも!
うふふ~。何かもう何でもいいや。えり好みしないから、何でもこいやー求人!!!
農高の畜産科で学んだ人間はある程度のことに耐性があるあるのさふはははは!!・・・・。あぁ~虚しくなってきたよ。
いや、でもマジで何でもいいんだよ・・・。そこは本当。
学校の進路指導室で書き写してきた求人のメモプリントをガサガサと引っ張り出す。
おや?
見たことの無い文面。字はあたしの字に間違いないのだが・・・・。
不思議に思いながらも、その内容にテンションが直角90°位の斜面並みに飛び上がった。