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第三話 異変

「最後に校庭」


 施設が広すぎたのと、部屋の準備などで辺りはもうすっかり夕暮れ。


 林から漏れる夕日と空のコントラストが美しい。


 カラスが島の上空を通り過ぎる。


 一体どこへ行こうとするのか。

 

「お!あの塔はなんだ?」


校庭には天まで届きそうな時計盤付きのでっかい塔が装備されている。

 

 今は古くて使い物にならないが。

 

「なんか変なところに置いてあるわね。」

 

 どう考えても邪魔な、校庭のド真ん中にある時計台は真中学園七不思議の一つである。


 3人でぶらぶらと時計塔に近づく。


 赤いレンガ造りで壁をそっとなぞる。

 

 少し煤けてきていた。


 真下に来ても見上げるような高さである。

 

 ちょうどその時、


 ピシャアア!!


 地を揺らすような轟音と共に

 突然雷のような一筋の稲光が学園のどこかに落ちた。


 そして波動のように砂埃と強風が吹き抜け、思わず腕で顔を隠した。


「え?」


 職員を含め3人で振り向く。

 

 雨も降っていないのに雷。


「__雷が落ちたのかな?済まないけどここで少し待っててくれないかな?ブレーカーを確認してくる。」 


 職員さんはそのまま職員室へと戻ってしまった。


「___今のはなんだったんだ?」


「__さぁ?」


 2人して首をかしげる。


 ずっと時計台以外何もないところで待つのも癪なので、職員室の近くに移動した。


夕日に照らされ、花壇の間から何か反射した。


「ん?」


 2人して覗き込む。


 手に取ってみるとそれは、古ぼけた時計だった。


 すぐそばに2個目があり命も拾いあげる。


「なんだコレ」


「分かんない。けど高そう」


「先生に渡すか。」


「そうね。」


 守は好奇心で腕時計をつけてみる。


 普段なら命が注意するが、物珍しかったのか命も注意せず腕に取り付ける。


 時計をつけた腕を眺める。


 時計盤はローマ数字。


 一体いつの時代だ…?


 しばらくして日が落ち始め、相手の顔が見えにくくなってきた。


 人気のない校庭でふたり。


 周りは全て林、その先はただただ海。


 木の葉を揺らす突風が吹き抜ける。

 

 気のせいか一気に肌寒くなってきた。


 思わず身震いする。


「なんか寒いな。」


「そうね。」


 命は首を縮める。


 世間話を進めること数分。


 不意に背筋に悪寒が走る。

 

「…先生?」


 2人はまじまじと振り向いた。


「あの、先生配管は__? 」 


 見ると、先生が何も言わず俯いたまま仁王立ちしている。

 

「は、はははハッ」


何やら様子がおかしい。


 ゆっくりと顔を上げると目には鋭い眼光が宿っていた。


 まさに獲物を狩るような目だ。

  

先生の周りにはどす黒いオーラのようなものが見えてきた。


 三人の間に一瞬の沈黙が訪れる。


 そして次の瞬間。

 

 先生は命に爪を立て、襲いかかった。


「__ちょッ。」


 咄嗟の判断で二人とも避け、間合いをとる。


「何なんですか!いきなり!」


先生は答えようともせず、次の攻撃のために構える。 


 話が通じない。


 呼吸は荒く

 まるで何かに取り憑かれたようだ。


「__逃げるぞ!」


 守が声を張った。


 大人相手に小学生が勝てるわけがない。


 視線を先生から外さず、2人して地面を蹴って逃げ出す。


 砂埃が舞った。

 

 逃げると言っても、先生と反対側にあるのはグラウンドと林しかない。


 しかし来たばかりの二人にとっては土地勘がなく、林は危険すぎる。


 土地勘に関しては職員の方が1枚上手だろう。

 

 そのまま時計台に回り込み、しゃがみながら隠れた。


 職員が一目散にこちらへ走ってくる。


「まずいわね…」


 命が立ち上がり半身になって塔の陰から覗き込む。

 

 さっきの攻撃は確実に命の首を絞めようとしていた。

  

「くそっ、どうしたらいいんだ…」


 絶対絶命のピンチ。

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