第一話 出逢い
キーンコーンカーンコーン…
朝の会を告げるチャイムがこじんまりとした教室に鳴り響く。
桜舞い散る春、新学期。
僕、こと天堂 光は今日から小学四年。
今日は皆お待ちかね登校初日。
既に全員登校し終え、教室で談笑しながら先生を待っていた。
花弁を持て余すことなく全身に纏った
窓の外の木が子どもたちを祝福してるみたいだ。
そんな春の陽気とは裏腹に、光は少し不安に苛まれていた。
「友達、できるかなぁ…」
リラックス、リラックス〜。
学ランの素材でツルツルした膝をさする。
いつになっても新学期というものは緊張する。
心の中で唱えて気持ちを落ち着ける。
少しの期待と、不安に胸を膨らます。
___僕が通う小学校、真中小学校は類を見ない特殊な学校だ。
小学校と孤児院が合体しており、ポツリとした離島に備わっている。
孤児院の子だけだと人数が足りないので、島外の子供たちが毎日船に乗って登校している。
この学年の孤児は一人、僕だけだ。
昔はたくさんいたようだが。
他の歳の子達とは喋りはするが、歳の差もありべったりとはくっつかない。
というか下の子はみんな物心ついておらず、本能で生きている感じがするし、上の子たちは大人びすぎている。
ガタッ。
席で荷物を片付けていると筆箱が落ちた。
「あれ?落ちたよー」
たまたま横を通り過ぎた子が拾って、光の席に置いてくれた。
「__!ありがとう」
死角のところに置かれ、探した結果言うのか遅れてしまった。
「それでさー」
振り向くと、拾ってくれた子は他の子と談笑していた。
多分昔からの友達か何かだろう。
光が絞り出した感謝の言葉など聞こえていなかっただろう。
孤児院暮らしという多少のハンデがあるからかもしれないが、
少し気分が落ち込む。
ガラガラガラッ!
光の鬱憤を切り裂くかのように突如教室の扉が開いた。
皆の視線が集まる。
現れたのは先生_だけでなく二人の男女もいた。
「いきなりですが今日は転校生を紹介します」
ぞろぞろと2人が教壇に登る。
先生は自分の説明そっちのけで男女に説明を促す。
2人は前に立ってから、少し辺りを見回した。
「俺は国屋 守だ!よろしく!」
先に言ったのは男の子。
片腕は腰に手を当て、もう片方は一つだけ立てた親指を自身に向けている。
キリッとした眉にまだあどけなさが残る整った顔立ち。
髪は短髪で無造作におろしており、どちらかというと黒。
ニカッと笑った。
クラスメイトから見ても好印象だろう。
「私は七神命です。よろしく!」
もう一人は焦げ茶色の髪をしたボブの女の子。
前髪は眉毛の少し下で切りそろえられており
丁重さがかんじられる。
縦長のくりくりした目。
若干茶色みがかかっている。
二人とも活発そうである。
身長は中学生なので、今は命ちゃんの方が少し高い。
(だいたい男子の方が後から急に伸びるからいずれ変わる)
「席は番号順に座ってくれ」
先生は2人の自己紹介を見届けると、今度は先生自身の解説を始めた。
2人は素早く教壇を降り、悠然と席にむかう。
ちょうど光の右隣が空いている。まさか、
光の横で立ち止まり、どかっと荷物を置いた。
「よろしくな!」
先生に注意されないよう
少し声を潜めながら光に挨拶する。
「うん!よろしく!」
咄嗟に挨拶を返す。
よし、いい感じだ。
遅れて守の後ろの席についた命ちゃんがこちらを一瞥。
「よろしくね。」
命ちゃんも便乗して挨拶してくれた。
2人はニッと光に笑いかける。
三人の間を春の風がカーテンを揺らして吹き抜ける。
退屈な毎日の何かが変わる。そんな気がして。
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