第五話 刀・ピストル 対 刀・鎖鎌
ピストル狩り宿舎襲撃作戦は大成功となり、
桂達幕府打倒派は勝利の波に乗っていた。
翌日、彼らは祝いの宴会を開き、
十造も参加して
彼らの盛り上りっぷりを見ながら
(長州藩って組織は金があるんだなあ)
と思い、この人達に拾われて良かったと
自分の運に感謝した。
宴も終り皆で帰る道中、
「安心したまえ十造君、
坂本龍馬に手紙を送ってきたよ」
と桂が言った。
「本当ですか?有難うございます」十造は
感謝と同時に、坂本龍馬と言う人物と会う事が
現実味を帯びて来て、胸が高鳴っていた。
桂が続ける。
「彼の元に手紙が届くにはまだ時間がかかる。
それに届いても戻って来てくれるかも
彼次第だけどね。今は待つしかないね」
「はい、わかりました」
十造はそう答え期待に胸を膨らませた。
夜道を皆で歩きながら、
桂はふと思い出したように言った。
「おお、そうだ、この近くに神社があるだろ。
我々の幕府打倒の実現を願って
お祈りに行こうじゃないか」
皆で神社でお祈りする中、十造は
(幕府をぶっ倒せますように、それと
坂本龍馬に会えますように)と祈った……。
グサ! 皆で祈ってる中、
仲間の一人が負傷した。
見ると背中に手裏剣が刺さっていた。
「!散れーーーー!!」桂がそう叫んだ瞬間
皆岩陰や賽銭箱や草むらに身を隠し、
十造も慌てて鳥居に身を隠した。
手裏剣の飛んできた方を見るとそこには
忍者の集団がこちらへ迫って来ていた。
「どうやらピストル狩り達が作戦を変えて
忍者をよこしたようだね……
皆恐れるな!行けーーーー!!」
桂がそう叫ぶと皆一斉に物陰から飛び出し、
飛んで来た手裏剣を刀で弾きながら
我先にと言わんばかりの勢いで突撃する!
十造も後に続き、
(昨日は銃を一発も当てれなかった!
今日こそは銃を当ててやる!)と思い、
飛んで来た手裏剣を弾きながら
敵勢へと駆け抜けた。
十造も加わり
幕府打倒派と忍者の集団との乱戦の中、
敵の忍者が鎖鎌を投げつけた。
次の瞬間、投げた鎖が仲間の刀に巻き付き、
仲間は刀を奪われ、
その直後に忍者は鎌で斬りつけてくる!
刀を奪われた仲間は咄嗟に
脇差を抜き弾いて応戦する!
(何だ!?あの武器は!??)
十造が驚いて隙を見せた瞬間、
他の忍者が十造目掛けて鎖鎌を投げつけた!
「!!!」十造は条件反射で刀で防ぐと
刀に鎖が巻き付き、敵が刀を奪おうと引っ張り
十造は刀を渡すまいと互いに引っ張り合う。
(しまった!同じ失敗を!くそ、
予想外の攻撃で相手に主導権を奪われてる。
ならこっちも予想外の事をしないと!
そうだ以蔵師匠も言ってた!
常識に捕らわれるなって!……そうだ!!)
十造がそう思った瞬間、
「そんなに欲しいならくれてやる!!」
十造はそう叫ぶと
自ら侍の魂である刀を手放した。
直後、互いに引合ってた力が崩れ、
相手の忍者は後ろによろめき隙を見せた!
「今だ!」十造は懐から銃を構え、
(絶対当てる、落ち着け、気を静めろ)と
自分に言い聞かせ、的の大きい腹めがけ
集中の一発を撃つ!
ダーン!! 十造の撃った弾丸は
敵の腹に命中した!
「やった!!」と喜んだが致命傷には至らず
相手がまだ立っている。
十造は一気に駆け寄り脇差を相手に突き刺す!
(やった!……もっとだ。もっと銃を当てて
俺はここで成長するんだ!)
十造がそう思った直後、別の忍者と目が合った。
十造は銃を撃つが避けられてしまう。
「クソ!」
もう一発撃つがまた避けられてしまった。
敵が斬り掛かってくる!
十造は脇差で何とか応戦する!
敵と激しく斬り合いがつづく!
(ここで学ばないと駄目だ!
銃を当てる方法を!
動きの速い敵には当たらない!
どうすれば!?)
そう思いながら十造は気付き始める。
(動きの速い敵程、
動きを読めるんじゃないか?)
そう思い十造は
相手の攻撃を強く弾き返した直後、
右に走り抜けた。
相手は後を追うように追って来る。
十造はピタリと足を止め銃を構え
走る相手の少し前を撃った!
ダーン!! 見事命中!相手は倒れた。
(やっぱり!
敵の動きの先を予測して撃てば当たる!)
実戦で銃を当てるという結果を出し、
十造は自信と冷静さを取り戻し始めた。
(もっと敵を撃ちたい……他にも方法が……)
十造がそう思った瞬間、手裏剣が飛んで来た!
「!!」
十造は飛び避けてそのまま今倒した忍者の
忍者刀を奪い、
脇差と忍者刀の二刀流で手裏剣を弾き返す!
手裏剣を投げる相手と向き合いながら十造は
(さっき鎖鎌の奴に隙を作ったじゃないか。
そうだ、俺なら出来る!)と自分を鼓舞した。
十造は左手に持ってる倒した敵の忍者刀を、
相手の少し左側へ投げつけた!
相手は反対の右側へ身をかわす!
(思い通り!!!)
十造は相手の右側腹部を狙い撃つ!
ダーン!! 「グオオ!!」腹に当たり、
敵は声を上げ悶えている!
十造の投げた忍者刀は
相手に突き刺す為では無く、避けさせる為。
相手を右側へ動かすよう、操る為だった。
十造は戦果を積み重ね、
自信に満ち溢れていた。
(出来る……今の俺なら出来る……
残り一発、絶対命中させる!)
十造は苦痛で動きが止まってる相手の額へ
照準を合わせ、全神経を集中させ、
最後の銃弾を撃つ!
ダーン!! 弾丸は相手の額を突き抜け、
相手は言葉を残す事も出来ぬまま、絶命した。
「やったー!!!脳天撃ち!!!」
十造は喜びの声を上げた。
「お見事!」桂の声が聞こえ、
十造が振り向くと
桂は微笑みながら十造へ拍手を送り、
見渡すと仲間達が
残りの忍者を全員倒していた。
桂 「いや、君の型破りな戦いには驚くよ。
侍でありながら
自ら刀を捨てて隙を作るとはね」
十造「はい、以蔵師匠の教えです。
侍は絶対に勝たなければならないと」
桂 「成程、君の戦いを見るに、
君は確かに師匠の教えを
受け継いでるようだね」
十造「い、いえ俺なんてまだまだですよ」
桂 「何故だね、君も我々も、
皆“勝って”生き延びてるじゃないか」
「ああそうだ」「よくやったな」
「やるじゃねえか」
仲間達も皆十造に感謝と称賛の言葉をかける。
十造は大きな達成感に包まれたのであった。
「桂さん!こいつまだ生きてるぜ!」
仲間の一人が桂を呼ぶ。
桂は敵の生き残りの男に尋問を始めた。
「ピストル狩り達の親玉は何処にいるんだい?
教えてくれたら手当てしてやってもいいよ」
「……長崎港……貿易貨物検査場……」
そう言うと男は息絶えた。
「貿易貨物検査場か…皆、忙しくなるよ!」
桂がそう言い、皆帰る中、
十造は倒した忍者から自分の太刀を取り戻し、
その忍者が使っていた鎖鎌を奪い
懐にしまいこみ、皆の後を追った。
つづく




