第四話 刀・ピストル 対 刀・ピストル
「いけーー!!!」
桂が叫んだ瞬間、
桂達は一斉に敵に斬り掛かっていき、
乱戦状態となる。敵味方入り乱れ、
刀の弾き合う音と銃声が
そこらじゅうで鳴り響く。
桂達、幕府打倒派の者達は
勇猛果敢に銃にも恐れず
自分達も銃を使いながら立ち向かう。
ピストル狩り達も一歩も引かず
刀と銃を駆使し鬼の形相で襲い掛かる。
両派閥が真正面からぶつかり合う、
これぞ戦場!
十造は、周囲の気迫に圧倒され、
うろたえている。
その時敵が一人横から襲って来る!
「!!」 十造は構え、
相手の振りかぶりが大振り故に
容易に太刀筋を読めたので相手の刀を弾き返す!
キイイーーン!!
その直後一瞬の間も与えず
十造は相手を斬り倒す!
討伐数 一
その直後十造の正面から別の敵が近づき
左手に構える銃を十造に差し向ける!
「!ウワーーー!!!」
十造が叫び咄嗟に身をかわした直後、
銃声が鳴り響き、
十造の背中の僅か上を銃弾が突き抜けた!
十造は一目散に近くのタンスの後ろに身を隠し
タンスを遮蔽物にして銃から身を守る。
十造は銃を向けられるのも、撃たれるのも
これが初めてだった。
心臓の鼓動は破裂しそうな程に高鳴り、
汗も止まらない。
銃と言う武器と現実に直面し、
十造は恐怖と同時に、
もう戻れない、やるしかないという
決意が混在する不思議な感覚に打たれていた。
「出てこい!小僧!」
威嚇するように相手は二,三発と銃を撃ちながら
十造に近づいてくる。
(やってやる!!)十造は覚悟を決め
隠れてたタンスから銃を持つ左手と顔だけを出して
相手の銃弾を喰らわないようにして相手を撃つ!
ダーン!ダン!ダン!ダン!ダーン!ダーン!
十造の初めての射撃は、全弾外れた。
恐怖に緊張、経験不足
当てる方が無理な話であった。
(…………)十造は絶望し、
またタンスに身を隠す。
「馬鹿が!何処を狙ってる!」
相手はそう言い更に近づいてくる。
(もう弾が無い。ここで死ぬのか?いや駄目だ!
幕府をぶっ倒すって決めたんだ!何か考えろ!
絶対に勝つんだ!侍なら!
そうだ、以蔵師匠ならどうする?
師匠は言ってたよな、
常識に捕らわれるなって……)
十造はそう思い、覚悟を決めた。
敵がすぐそこまで来てる中、
十造は横っ飛びでタンスから飛び出る!
相手が十造めがけて撃つが外れ、
十造は横っ飛びのまま空になった銃本体を
相手の顔面目掛けて投げつける!
ガッ! 相手の目に銃本体が当たり、
相手は一瞬顔を伏せ動きが止まった。
(今だ!)十造は死に物狂いで
相手に向かって駆け抜け、
下から上へ腕がちぎれるほどの勢いで
刀を斬り上げる!
ズシャ!!!
太刀筋は下から上へと敵の肉を斬り裂き、
叫び声と血しぶき溢れる中、相手は倒れた。
討伐数 二
(やった!勝った!師匠の教え通り!
常識に捕らわれないから勝ったんだ!
銃の弾が無いなら、
銃本体を飛び道具にすればいい!
それに気づいた俺の勝ちだ!)
以蔵はそう思いながら投げた自分の銃を拾い、
倒した相手の持ってた銃を拾ってみた。
シリンダーを見ると弾は残り一発。
十造はその相手の銃を懐にしまった。
倒した敵の銃を奪い懐にしまったその瞬間、
十造の意識の中で、何かが変わった。
それは、過去の自分と決別するような、
それは、新たな自分と対面するような、
そんな感覚であった。
(……そうだ。俺は侍。
侍は勝たなきゃならない。
例え敵の銃を奪ってでも、俺は……勝つ!!)
十造はそう思い自分を鼓舞した。
その直後、十造は冷静さを取り戻し、戦況を
客観的に見れる気がしてきた。
十造は直前の戦いで銃を向けられ、思った。
(敵は当然自分めがけて撃ってくる。
なら自分が動けば
敵の弾道を予測できるんじゃないか?)
実戦で試そうと思い周囲を見渡すと、
桂達の活躍で、敵がまばらになっていた。
十造が敵を探してると、
長い廊下のような場所で
敵を見つけ、互いに目が合った。
「撃ってみろー!!」十造は叫びながら、
膝が床につく程の前傾姿勢で相手へ駆ける!
そこへ離れて戦ってた桂達が戻ってきた。
桂が「よせ!いい的だ!」と叫ぶ。
相手が銃を構えたと同時に、
十造は思い切り高く宙へ飛んだ!
ダーン! 相手の撃った銃弾を飛び越える。
前傾姿勢で突っ込んだのは
敵の弾道を下へ向ける為。
撃ってみろと叫んだのも
敵に銃を撃たせる陽動だった。
空中で敵から奪った残り一発の銃を撃つ!
ダーン! 弾は外れた。
(外した!だが構わない!)
敵は弾を避けようと身を屈め、
動きが止まってる。
(ここだ!!!)
十造は空になった銃を捨て、刀を両手で握り
腕の力、体重、重力、全てを刀に乗せ、
全力で相手へ斬り下ろした!!
ズジャ!!! 着地と同時に十造の太刀筋は
刀で受けようとした相手の腕もろとも
相手の胴を、骨が見えるまで斬りつけた!
討伐数 三
「よっしゃあああ!!!」
咄嗟に思いついた
敵の弾道を予測してよけるという作戦が
実戦で結果を出し、十造は喜びで
思わず声をあげた。
その直後桂が「大丈夫か!?」
と駆け付けてきた。
「はい!残りの敵は!?」と十造が返す。
桂は「何言ってるんだい。
君が倒した奴で最後だよ」
と言い、周りの仲間と共に笑っている。
十造は「え?全員殺ったんですか?」と聞く。
桂は「ああ、我々を舐めないでほしいね」
と言い、皆勝利に満ち溢れた表情をしている。
全員無傷で、
余裕で笑ってる桂達幕府打倒派と向き合い、
十造は、何て奴らだと尊敬を覚えた。
桂 「所で、君の討伐数は何人だい?」
十造「あ、えっと、三人です」
桂 「ほほう、初陣にしちゃあ
上出来じゃないか。
……十造君、
我々の仲間になってくれるかい?」
十造「い、いいんですか?」
桂 「勿論だとも。我々の仲間なら、
これからは、遠慮なくピストルの弾を
使ってくれたまえ」
十造「あ、有難うございます!
よろしくお願いします!」
桂と十造は握手を交わした。
勝利に酔いしれながら桂達幕府打倒派は、
互いに戦果を自慢しあいながら
意気揚々と宿舎へ帰る。
十造も周囲に合わせ笑顔を見せ、
だがしかし胸の内では、
銃を一発も当てる事が出来なかった事に
無念と課題を痛感していたのであった。
つづく




