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第二話 ピストルの弾を求めて

 長崎港。そこは海外との貿易の拠点であり、

まだ見ぬ異国の文化や技術が伝わってくる、

日本の近代化の先を行く街であった。

 長崎港に辿り着いた十造は

見た事もない景色に驚いてばかりだった。

(……何か日本じゃ無いみたいだな……)

そう思いながら十造は街を歩く。

西洋の建物、西洋の船、

西洋の服を着た日本人、青い目の外国人、

十造の目に映る物全てが新鮮だった。


(成程……以蔵師匠が、

常識が通用しなくなるって言ってたのも

納得だなあ。ハ!そうだ!師匠の銃!)

 以蔵から譲り受けた銃には、

弾が入ってなかった。

(用心の為に装備を固めないと。

まずは銃弾を買おう。

それと坂本龍馬と言う人も同時に探そう)

そう思い十造は街の武器屋を探した。


 武器屋をたずね弾は売ってるかと

聞くが、武器商人には

「ピストルは売るなと幕府に止められてね、

勿論弾も売ってないんだ。ゴメンよ」

と言われてしまった。

(こんな所にまで幕府の手が伸びてるのか)

そう思いながら十造は他の店を探した。

 他の店でも同じく弾は売ってもらえず、

去り際に武器商人に呼び止められた。

「若造、ちょっと来い」

そう言われて十造が近寄ると

武器商人はヒソヒソ声で話し始めた。


「いいか、最近この辺りじゃあな、

幕府の手下がピストル持ってる奴らを

襲う『ピストル狩り』ってのが起きてるんだよ。

あんまり人前でピストルやら弾やらの話

するんじゃねえぞ

その若さで死にたくないだろ、気をつけな」

と武器商人は言う。

 ピストル狩り と言う言葉に嫌悪を感じながら

十造は作戦を変える事にした。


 街を見回ると刀の大小を腰に差した侍を

ちらほら見かける。

十造は見かけた侍達に、

ピストルの弾を売ってる場所は無いか、

それと、坂本龍馬と言う人物を知らないかを

聞いてまわった。

だが有力な情報もなく時間が過ぎ、

街の片隅で座り込んでいた時、

遠くから同じ隊服の男三人の影が伸びてくる。


ザ…ザ… 男三人の足音は

徐々に十造に近づいてくる。

よく見ると三人共腰に大小二本差しだった。

ザ…… 男三人は十造の前で止まった。


「……ピストルの弾を探してるのは、お前か?」

と、先頭の男が十造にたずねる。

「何だ?アンタら。武器商人には見えないな」

と、十造は疑念の表情で返す。

男は続ける。「馬鹿な事はやめておけ。

銃を使うのは……幕府の者のみで充分よ……」

そう言うと男達三人は、

一斉に刀の柄に手をかけた!


「!!!」十造は咄嗟に刀を鞘から

居合切りの流れで斬り上げた!

ギーーン!! 十造と相手の刀がぶつかり合い

金属音を鳴り響かせる!

 十造は即座に脇差も抜いて二刀流で構え、

後ろに飛びのき間合いを取る。

二刀を見せつけられ、男達も間合いを保ってる。

(ピストルの事を聞いて襲ってきた。まさか)

十造はそう思い、虚勢を張るように問うた。


十造「ピストル狩りってのはお前らか?」

男 「世間ではそう呼ばれてるようだが、

   悪くない。そう呼ぶが良い」


 相手は三人。銃は持ってるが弾は無い。

十造は踵を返し逃げ出した。

「待て!」男三人が追ってくる。

十造は足には自信が有ったが

敵も可也の速さで追ってくる。

逃げ回る内に行き止まりに

追い詰められてしまった。


(しまった!)

十造は男三人に向き合いながら後ずさる。

「ここまでだ若造」

男三人は横に広がり十造を取り囲む。

三対一では勝てないと十造が諦めかけた時、


「そこの君!伏せろ!」

と、他の男の声がした。

「!?」十造が直ぐに身を伏せた直後、


ダーン!ダーン!ダーン!ダーン!ダーン!

男三人の後ろから銃声が鳴り響き、

それと同時に三人とも撃ち殺された。

 銃声の方には、見知らぬ男達が立っている。

男達は十造に近づき話す。


謎の男「怪我は無いかい?」

十造 「あ、えっと……大丈夫です

    助けてくれて有難うございます!」

謎の男「坂本龍馬を探してるのは君かい?」

十造 「あ、はい。どうしてそれを?」

謎の男「街で噂になってるよ。

    珍しい子がいるってね。

    オマケにピストルの弾の事まで

    聞き回ってたら

    そりゃあ、ピストル狩りに追われるよ。

    まったく、困った子だ」

十造 「すいません。……あの、貴方達は

    なんで銃の弾を持ってるんですか?」

謎の男「おっと、仲間で無い者に答える訳には

    行かないね。

    先に質問に答えてもらおう。

    …………

    坂本龍馬を探してるのは何故だね?」

十造 「それは、育ての師匠にその人に会えと

    言われて」

謎の男「その師匠は誰だね?」

十造 「岡田以蔵師匠です!」

謎の男「何だって?

    君は岡田以蔵の弟子なのかい?

    そうか。

    道理で二刀流で構えてた訳だね。

    確かにそれなら

    坂本龍馬を紹介されたのも

    納得がいくね。

    で、君は坂本龍馬に会って

    どうしたいんだい?」

十造 「俺、幕府をぶっ倒したいんです!」

謎の男「!!……」

十造 「父を幕府の刺客に殺されて、

    坂本龍馬って人は

    この国を変えようとしてるって

    以蔵師匠が言ってて、だから

    坂本龍馬って人の手伝いとか支援とかを

    したいと思ってます」

謎の男「……いいねえ面白くなってきたよ。

    実は我々は、近い内に

    さっきのピストル狩り達を襲撃しようと

    思ってるんだよ」

十造 「ええ?ほ、本当ですか?」

謎の男「ああ本当だとも、そこでだ。

    君が我々の襲撃に参加して、

    一緒に奴らを倒してくれたら、

    君にピストルの弾を分けてあげるよ」

十造 「え?ええ?」

謎の男「君の戦果しだいでは、

    坂本龍馬を紹介してあげてもいいよ」

十造 「本当ですか?やります!

    やらせて下さい!」

謎の男「よし、決まりだね。

    仲間は多い方がいい。

    取り合えず我々の宿舎に来るといい」

十造 「あの、待って下さい。

    ……銃の弾を持ってるし、

    坂本龍馬とも繋がりがあるみたいだし、

    貴方達、一体何者なんですか?」

謎の男「ああそうか、

    お互い自己紹介がまだだったね」

十造 「あ、すいません

    俺、隼瀬十造って言います!」

謎の男「私は、桂小五郎

    長州藩の代表みたいな者だ」

十造 「えっと、長州藩っていうのは?」

桂  「君と同じだよ」

十造 「え?」

桂  「君と同じ、『幕府をぶっ倒したい』と

    思ってる奴らの集まりさ」

十造 「…………ええ?」


 傾き始めた陽を受けながら、

十造は桂小五郎と言う男が仕切る

長州藩の者達の宿舎へついて行く事になった。

幸運か、それとも運命か。

十造は暫くは

屋根の下で寝泊まり出来そうであった。


つづく 

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