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最終話 ピストル侍

挿絵(By みてみん)

 佐々木は両手に刀、十造は両手に銃を構え

二丁拳銃で、互いに対峙する。

佐々木は間合いを計る事も無く、

無言で十造を睨み続けている。

十造も、いつでも斬って来いと言わんばかりの

気迫で佐々木を睨み返す。

 

両者の沈黙を破ったのは十造の二丁拳銃だった。


 ダンダーン! 十造が二丁同時に撃つ!

その瞬間

 キンキーン! 佐々木は二刀で二発の弾丸を

同時に弾き返した!


「!!」十造はまた二発同時に撃つ。

ダンダーン! キンキュイーン!

またも佐々木は二発同時に弾き返した。


(二発の銃弾を同時に弾くなんて、

なんて手練れだ!)

十造は驚きと動揺を隠せないでいる。

「ふん、どうした若造。

銃に頼らなければ何も出来んか。

もうよい。そろそろ、

真の侍を見せてやるわあああ!!」

佐々木はそう言うと

鬼の形相で十造へ二刀で斬り掛かった!


「!!」十造は銃を懐にしまい

素早く抜いた刀と脇差で

佐々木の二刀を受ける!


 ギン!ギーーン!

互いの二刀と二刀がぶつかり合う!

佐々木の二刀の速さと手数に

十造は押されていった。

二刀流で久しく戦ってない十造には

受け止めるだけでやっとだった。


 ギン!キーン!キンギーン!

佐々木の猛攻が続く!十造は苦戦するが、

やはり鏡新明智流の岡田以蔵の弟子。

斬り合いの中、徐々に勘を取り戻していく。

(そうだ、俺には

以蔵師匠がいるじゃないか。

龍馬さんも、桂さんも、長州藩の皆とも

共に戦って、ここまで生き延びたじゃないか!

そうだ!俺なら出来る!勝てる!

こいつを……倒すんだ!!)

十造はそう自分を鼓舞し戦い続ける。


 ギーン!キュイーン!キンキーン!

佐々木の攻撃を耐え続ける内に

十造は自信を取り戻し始める。

受け流すのでやっとだった太刀筋も

徐々に弾き返す重みを取り戻し

佐々木の攻めに拮抗し始めた!


 ギャイイン!ギャアアアン!

十造は佐々木を押し返し始めた。

そして佐々木の体勢が一瞬ぐらついた

その瞬間に右手の太刀で

渾身の斬撃を斬り下ろす!


 ギイイーーン!!

「クウウ!」佐々木は太刀で受けた直後に

後ろに下がり間合いを離す。


佐々木「ク!……若造め!銃に頼る

    軟弱者と見ていたが、

    中々やるではないか」

十造 「師匠がいいんでね!」


 十造は気勢を張るが、

体力の限界を感じていた。

互いに睨み合う中、十造は思う

(くそ、刀じゃ埒が明かない。

やはり銃じゃないと。

思い出せ。俺は今まで

どうやって勝って来た……

そうだ。初めて銃を撃った時から、俺は

常識を壊す事で勝って来たじゃないか。

考えろ、あの二刀を破る戦法を何か……


ハ!これなら上手くいくか?

いや、やるしか無い。これに賭けるんだ。

俺は、常識を壊し、こいつに勝つ!)


「……遊びはこれまでよ。

ここからが本番じゃあああ!!」

佐々木は十造へと斬り掛かる!

(!!気迫が違う!本気だ!)

十造が二刀を構える!

佐々木は両の二刀を振り上げ、

地面を割るほどの勢いで斬り下ろす!

(!!これは受けれない!刀が折れる!)

十造は右へ転がり避け、間合いを開ける。


(なんて殺気だ!だが、

冷静さを失ってる!

そうだ。今が好機!来い!)

十造がそう思った直後、

佐々木は十造へ駆け寄りながら

右手の太刀で横一文字斬りを浴びせる!

 ギーーン! 十造は左手の脇差で弾く!

すぐに佐々木の左手の脇差が

十造の体の中心を狙い斬り下ろされる!

その瞬間


(太刀筋が読める!ここだ!)

佐々木が脇差を振り下ろしてきた左腕を

十造は右足で思い切り蹴り上げた!


 ドガ!!

佐々木の左手の脇差は押し返され

十造の右手の太刀が自由になった!

「もらったあああああ!!」

十造は全身全霊で右手の太刀を斬り下ろす!


 ズバア!!

次の瞬間、佐々木の左腕は地面に落ちた。

十造は佐々木の左腕を斬り落とした!

「グアアアア!!」

佐々木が叫び声をあげる!

十造は瞬時に横っ飛びで間合いを取り

両手の刀を捨て、懐から二丁拳銃を構える!


「終わりだあああ!」

十造は二丁拳銃を撃ち放つ!


 キーーン!ダーン!

十造の撃った二発の弾丸は

片方は刀で弾かれ、

もう片方は佐々木の腹に命中した!


佐々木「グアアアア!!」

十造 「どうだ!片腕では

    二丁拳銃は絶対弾けまい!

    佐々木只三郎、お前の負けだ!」


佐々木「・・・・・・

    くそ、無念。この儂が

    こんな卑怯者に敗れるとはの」

十造 「……お前はわかってない。

    何があっても、侍は、

    勝たなきゃならないんだ。

    お前は俺に負けたんじゃないぞ」

佐々木「……どういう事だ?」

十造 「お前は、新しい時代を認めなかった

    自分に負けたんだ」


佐々木「……若造、名は何と」

十造 「隼瀬十造」


 佐々木は右手の刀を地面に突き刺し

ゆっくりとひざまずいた。


佐々木「……隼瀬十造よ、

    …………介錯を頼む」


 十造は一歩一歩と近づき

佐々木の額に左手の銃を当てる。


佐々木「……我が生涯に、悔いなし」


 十造は引き金を引く。


 ダーーン!

銃声と共に佐々木は崩れ落ちた。


 佐々木に介錯を渡した

左手の龍馬の銃を眺めてる時、

「ハ!龍馬さん!」

十造は思い出して龍馬の元へ駆け寄った。


 龍馬は出血で朦朧とし、

体も動かせないようだった。


十造「龍馬さん!大丈夫ですか!?」

龍馬「ハア…ハア…お前は

   ホント銃が似合うなあ」

十造「今助けを呼んできます!」

龍馬「いや…俺はここまでみたいだ。

   この出血じゃあ…助からねえ」

十造「そんな……龍馬さん!

   しっかりして下さい!」


龍馬「…十造…お前は間違ってない。

   ……勝つ為に…

   両手に銃を持って戦った…

   お前こそ…

   新しい時代の侍だ……

   俺の分まで…生きろ…

   ピストル侍…」


 龍馬は瞳を閉じた。


十造「龍馬さん?」

  「・・・・・」

十造「龍馬さん!!」

  「・・・・・」

十造「龍馬さああん!!」

  「・・・・・」


十造「・・・・・!

   うわあああああああああ!!!」







 数か月後

大政奉還が成立し、新政府が誕生してもなお、

幕府の崩壊を認めない者達は街に身を潜め、

闇夜に紛れ新政府の要人や

関係者へ闇討ちを繰り返していた。


 罪のない街の人々は、

新政府が誕生したにも関わらず

未だ平和とは言えぬ日々に、

心を解けずにいた。


 そんな中 街中に

ある男の噂が広がり始める。

幕府応援派の残党達悪党を

殺してる男がいると。

その男は侍でありながら

両手に銃を構え二丁拳銃で戦い、

風のように身をかわし、

稲妻のように素早く駆けると。

ある者はその男を英雄と崇め、

ある者はその男を人殺しと蔑む。

人々はその男をピストル侍と呼んだ。




 ある夜

幕府応援派残党達が

新政府の要人の男を闇討ちしようと

追いかけていた。


残党「待てー!」

男 「ハア、ハア、やめてくれー!」


 男は夜道を逃げ惑う。 

残党達は男を追う。


男 「ハア、ハア、ひい!しまった!」 


 男は行き止まりに追い詰められた。


残党「そこまでだ。貴様、

   新政府に肩入れしてるらしいな

   貴様らを殺し 幕府の力を取り戻す!」


男 「や、やめてくれえええ!」


 ダーン!!ダーーン!!


 その時二発の銃声が響き、

残党が一人撃ち倒された。


銃声の元には、

右手に以蔵の形見の銃ルフォシュー、 

左手に龍馬の形見の銃

スミス&ウエッソンモデルNo2アーミーを

構えた男が立っていた。


男 「も、もしや……貴方が、

   ピストル侍様!?」


十造「……死にたい奴から、

   掛かって来ーい!!」 


 ダーン!!ダーーン!!





 近江屋での事件の後、 

十造は桂達の紹介で

新政府の要人の警護の職に就く事になった。


夜の闇に身を潜め、

決して歴史に名を刻まれる事無く、

十造は、戦い続ける。


この幕末に、二丁の銃が

役目を終えるその日まで!




THE ピストル侍! 




幕末の時代を戦い抜いた全ての者達へ

この物語を捧ぐ。


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