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僕の恋人  作者: 織田一菜
73/99

第七十話 買い物

悠視点です。

「終わっったぁっ!」


監督の先生が答案用紙を回収し終え、教室を出て行った瞬間、奏が叫び、僕の机の前に来る。


「手応えはあるの?」


「バッチリ!!」


奏がピースサインで答える。


まぁ、そうじゃないと、わざわざ憎まれ口叩いてまでやる気を出させた八雲の立場がないんだけど。


「これからどうするの?」


「遊ぶ」


僕が皆に訊くと奏が即答する。


「奏は寝なくていいの? 徹夜でしょ?」


「今寝ると夜寝れなくなるじゃん」


奏が真顔で答える。


「そんな子供じゃないんだから‥‥」


「とにかく! 今は遊ぶんだよ! ニーノやミカも一緒に! どうせ暇だろ?」


「決めつけられるのはしゃくだが‥‥まぁ、暇だな」


「右に同じ‥‥ってところですかね。別に部活も入ってないですし」


真鈴と三神さんが答える。


「そういえば‥‥ニーノもミカも部活入んねぇの? ニーノは運動神経抜群だし、ミカもテニスめちゃくちゃ強いんだろ? 全国優勝したって由香が言ってたし」


奏はおそらく、何も考えずに言ったのだろうけど、三神さんはその言葉を聞いた途端に表情を暗くした。


「‥‥もう昔のことですから」


「ま、俺的には入ってない方がいいんだけどな。こうやって遊べるし」


三神さんの言葉や表情は気になったけど、触れちゃいけないと察したのか、奏はおどけながら三神さんに抱き着く。


「それで、どうするんだ? 遊ぶにも色々あるだろ」


「うーん‥‥買い物、かな? 夏に向けて色々買いてぇ物があるし」


「この前、服買ってなかったか?」


真鈴が訊くと、奏は三神さんに抱き着いたままニヤリと笑う。


「今日買うのは水着だよ。やっぱ夏といえば海だろ?」


「まぁ、確かに」


「な? ニーノもミカも買いに行こうぜ!」


「いや、私は必要ないし‥‥」


「私も、もう持ってますしから」


真鈴と三神さんがそう答えると、奏は三神さんから離れ、真鈴に何かを小声で言う。


すると、真鈴の顔がじわじわと赤くなってく。


「な、そ、それは‥‥」


「まぁ、それが嫌なら構わないけど‥‥」


「い‥‥嫌、じゃない、けど‥‥」


真鈴の声はだんだん小さくなる。


何言ったんだろ‥‥?


「じゃ、ニーノは参加な‥‥ミカは?」


「だから私は‥‥」


そう言って渋る三神さんに、やっぱり小さい声で何かを言う。


すると、三神さんの顔も赤く変わる。


「いや、十文字は別に‥‥」


「あ、十文字なんだ」


奏はそう言ってしてやったりという表情になる。


「え、あ、いや、ちが」


「それで、ミカはどうする?」


「‥‥行きますよ」


三神さんは小さい声で不満げに言う。


「それじゃ、悠も行くだろ?」


「え!?」


いきなり話が僕に回って来た。


「だって彼女が水着選ぶんだぞ? 彼氏が見てやらないでどうするんだよ」


「そ、それは‥‥」


そうかもしれないけど‥‥


「とにかく、とりあえず今は四人で行くぞ!」


奏は強引に決め、とっとと準備を始めてしまった。




それから30分後、僕達は古本屋にいた。


三神さんが少し探したい本があると言ってみんなで入ることにしたからだ。


そこで、僕はある一冊のテニスの雑誌が目に止まった。


「これ‥‥」


それは、中学、高校生の特集だった。


表紙には、由香や五泉さんが写っていた。


それと‥‥三神さんと、それから、真鈴も。


中を読むと、真鈴と三神さんの記事に何ページもの誌面が割かれていた。


二人共テニスでかなり注目された選手だったんだ‥‥


なのに‥‥


何で‥‥辞めてしまったんだろう‥‥?


水着は次回買いに行きます

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