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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第六十七話 パーティ

あんまりパーティの話にはなりませんでした。

パーティーは、後から由香さんや八雲達も加わり(九重先生と七瀬先生と百武さんは忙しいのか誕生日プレゼントとおめでとうという言葉を残して帰ってしまったが)、体育祭の打ち上げの時と同じくらい盛り上がっていた(もちろん酒はないが)。


「これ、どうやって作ったんですか? どうやったらこんなに皮パリパリになるんですか?」


奏は沙羅さんの作った料理を食べてはキッチンにいる沙羅さんに何度も、何回も質問している。


八雲に作ってあげるつもりなのだろうか?


「食べ過ぎですよ、奏さん」


葉が外用の口調で奏に注意する。


確かにいくらかなり大食いの奏でも(そのわりには色々と成長してないが‥‥)、今日はかなり食べている。


「いや、つい美味しくて‥‥」


「太ってもしりませんよ」


「いいんだよ、俺あんまり太らない体質だし」


「‥‥大半の女子を敵に回すような嫌味だからね、それ」


千賀さんが奏を睨みつける。


「んなこと言われても事実だし」


「大きくなって欲しい所も小さいままみたいだけどね」


五十嵐が誰にも聞こえないくらい小さな声でぼそっと呟く。


私以外には悠だけに聞こえたらしく、悠が軽く五十嵐をこづく。


「まぁ、沙羅さんの料理は昔から美味しかったもんね」


キッチンから沙羅さんと共に料理を運んで来た六車さんが言う。


「昔からの知り合いだったんですか?」


「学校同じだったんだよ。中高一貫校だったから。昔は沙羅さん、けっこうやんちゃで」


「お、お嬢様、一之瀬さんのプレゼント、着てみてはいかがですか!?」


六車さんが喋っている途中で沙羅さんが、珍しく慌てた様子で大きな声で私に言う。


「あれ、どうしたんですか、そんなに慌てて?」


六車さんがニヤニヤ笑いながら沙羅さんに訊く。


「そ、それは‥‥」


「大丈夫ですよ、他校の男子と喧嘩したとか言わな」


「ちょ、京華!?」


沙羅さんが慌てて六車さんの口を押さえるが、時既に遅かった。


「お母さん、そんなこと‥‥」


「へぇ、ちょっと意外‥‥」


「人は見かけによらないねぇ‥‥」


「怖い‥‥」


葉、奏、千賀さん、由香さんがそれぞれ感想を漏らす。


私も知らなかった(実の(よう)がしらなかったのだから、私が知っているわけがないのだが)。


「京華だって、街の不良全員シメてたって‥‥」


「な、なんでそれ知ってるんですか!?」


今度は六車さんが驚く。


「そんなに強そうには見えないけれど‥‥」


「昔は大きかったの?」


葉と奏が感想を漏らす。


しかし、今度は他のメンバーは知っていたのか特に変化はなかった。


「昔からこのままだよ! ってか、奏ちゃんに小さいとか言われたくないよ! 150ちょっとしかないんでしょ!?」


「いや、四捨五入したら160あるしニーノとかミカがでかいだけで、一般的にみたらそんなに小さくないぜ? 少なくとも華ちゃんみたいに極端に小さくない」


「悪かったね極端に小さくて!」


「別に悪いことじゃないと思いますけど‥‥」


「そうそう、今は小さいのも需要があるから」


悠が慰め、五十嵐も同意する。


「沙羅さんと同じ高校ということは‥‥六車さんも城羽の出身なのか?」


沙羅さんは城羽の卒業生だ。


私達に城羽を進めたのも沙羅さんだった。


「え!? 沙羅さん俺達の先輩なの!?」


私がそう言うと、奏がかなり驚いたような声を出す。


「そうですよ。京華共々学園長にはお世話になりました」


沙羅さんはそう言うと奏に頭を下げる。


「いや、そう言うのは宗爺に言わないと‥‥」


「奏、学園長と知り合いなのか?」


私が訊くと奏は僅かに顔をしかめる。


「ああっと‥‥学園長、今の万代の社長の父親だろ? だから何回か会ってるんだよ‥‥そんなことよりさ、悠からもらった服、ちゃんと寸法計ってないんだろ? 一度着てみないと分からないんじゃねぇの?」


「ん、まぁ、確かにそうかも」


「だろ? ほら、さっさと着替えて来いって!」


「悠もついて行きなさいよ」


由香さんはそう言って悠のプレゼントを無理矢理悠に渡すと、私と悠を追い出すように押し出す。


「え、ちょ、由香!?」


「しっかりと見てあげなさいよ?」


由香さんがそう言って笑いながら扉を閉めた。



◆◇◆◇◆



「‥‥どうしようか」


「とりあえず、着替えて来る‥‥一緒にくるか?」


真鈴が大まじめな顔をして言う。


「い、行かないよ!」


僕がすぐに返すと、真鈴が微笑み、自分の部屋に着替えに行く。


「悠君、どうしたの?」


部屋にいなかった十文字君が話しかけて来た。


「十文字こそどうしたの? ずっと部屋にいなかったけど‥‥好きな人の家に来て緊張してるの?」


僕が訊くと十文字は真っ赤になって首を横に振る。


「い、いや、そうじゃなくて、ってか三神のことは」


「あれ、そうなの? 好きなのかと思ってたけど‥‥」


「そ、それは‥‥」


十文字は言い淀む。


「‥‥もしかして、モモさんに遠慮してる?」


「違う」


十文字が冷たく言い放つ。


「とにかく‥‥今はそういう余裕ないんだよ」


十文字はそう言うとリビングに戻って行った。


久々に(と言っても3週間ぶりですが)感想をもらって感激しました。


の割更新が遅かった理由は活動報告にて。

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