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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第六十話 只今捜索中  

もはや尾行ではありませんね。

「とりあえずここまで来たけど‥‥」


五十嵐が呟く。


『ネクストストリート』とは、ここに来る途中に奏に聞いた話だと、白新町の中心地にある町一番な都会な場所‥‥らしい。


実際、商店街よりも若い人が多いアーケード街で、ゲームセンターやカラオケ店などもあるようだ。


「京極の言い方だと、会長がいる所に悠もいるみたいだけど‥‥」


「この中から捜すの無理だろ‥‥」


奏が少し困惑したような表情をする。


確かに、若い人を中心にかなり人が多く、ここから一人を捜すのはかなり困難だ。


「ここで引き返した方が無難だと思うが」


「いや、ここで引き返せば四条の名折れだ!」


奏が高らかに宣言する。


こんな程度で折れる名ではないと思うのだが。


「でも、どうするの? どこにいるか分からないんだよ?」


「ハルにどの店か訊く」


奏はそう言うと携帯を取り出し電話をかける。


「流石に京極でもそこまで分からないだろう‥‥」


私が呟くと五十嵐は曖昧な笑みを浮かべる。


「うーん‥‥京極だからねぇ‥‥」


「どういう意味だ?」


五十嵐が私の質問に答える前に、奏が通話を終えた。


「悠がどこにいるか分かったぜ、行くぞ!」


奏が走りだす。


「ま、こういうことかな‥‥京極だし、これくらいなら余裕なのかも」


五十嵐はそう言うと、奏を追う。


京極は‥‥いったいどれほどの情報を持っているのだろう?




「ここに‥‥いる、のか?」


私達は京極に言われた通りに進んだ。


そして辿り着いたのは、様々な店が入っているビルだった。


「あぁ、ここの三階にいるってさ」


奏はさっさと行きたいのか、うずうずしている。


「ふーん、三階かぁ‥‥」


五十嵐はそう呟きながらビルの案内を見る。


すると、突然五十嵐が吹き出した。


「ふーみん、どうかした?」


「い、いや、なんでもないよっ!! さっさと行こ!」


五十嵐はおかしさを噛み殺したような表情で奏と私の手を掴み走り出す。


「うわ、ちょ、走んなよ、ふーみん!」


「な、と、止まれ!」


悠程じゃないが、意外と五十嵐は足が速かった。


あっという間に三階に上がる。


一つのビルの中にいくつも店があるような作りになっているから、悠が三階のどこにいるかは分からないはずだが、五十嵐はあてがあるのかどんどん前に進む。


「ちょ、ふーみん、どこ行くんだよ!?」


「行ってからのお楽しみ‥‥ってここか」


五十嵐はある店の前で立ち止まる。


「ここは‥‥」


「喫茶店だよ、じゃ入ろうか」


五十嵐がさっさと中に入ろうとする。


「どうしてそんなに急かしているんだ?」


「見てからのお楽しみってとこかな」


五十嵐がそう言うと店名を見ていた奏が吹き出す。


「どうかしたのか?」


「い、いや、なんでもないって!! さっさと行こうぜ!」


奏はさっきの五十嵐と同じような顔で同じようなことを言いながら私を後ろから押す。


「どうしたんだ二人して‥‥」


「いいからいいから」


私は二人に連れ込まれるように店内に入る。


わりとファンシーな内装の喫茶店。


そこに――


「お帰りなさいませ――って、え? 真鈴? どうして!?」


悠がいた。


なぜか、執事のような恰好をした、悠が。


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