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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第五十七話 宴会?

僕が店に戻ると、店の中の雰囲気が変わったような気がした。


どこかふわついてるというか、どことなく変‥‥


誰かに聞こうと横を見ると、九重君が五泉さん達に絡まれていた。


「どうかしたの、あれ‥‥」


僕が近くにいた奏に訊くと、奏は曖昧な表情を浮かべる。


「まぁ‥‥色々とあったんだよ」


「奏‥‥まさか、また何かしたんじゃ‥‥」


「違ぇよ! あれは俺のせいじゃねぇ!」


「"あれは"? ってことは他に何かしたってこと?」


僕がそう訊くと、奏は引き攣った表情であわてふためく。


本当、分かりやすい奴‥‥


「ま、奏が誰かに悪戯するのは今に始まったことじゃないけど」


「いや、今回のは事故なんだって!」


「はいはい‥‥」


僕が適当にあしらって始めに居た場所に戻る。


十文字と三神さんはどこかに行って、真鈴と由香しか残っていなかった。


「悠、遅いぃ」


由香がトロンとした目でこっちを見る。


呂律も微妙におかしい。


「どうしたの由香? 眠いの?」


「ん〜?」


由香は甘えるような声色で僕に胸を押し付けてくるような体勢でぴったりとくっつく。


「ちょ、由香‥‥」


「何ぃ? よくじょーした?」


「馬鹿‥‥違うよ」


僕がそう答えると由香が膨れる。


「むぅ〜じゃあ‥‥えいっ!」


由香はそう言うと僕の手を掴んで僕の胸に押し当てる。


「ちょ、由香!」


「悠、照れてるの〜?」


「違うよ!」


「もぅ、素直じゃらいんらから〜」


「随分楽しそうだな」


逆側から声がする。


振り向くと、やっぱりというか、当然ながら真鈴が不満そうな表情で僕を見ていた。


また拗ねてる‥‥と思って弁解しようとすると、真鈴は持っていたコップをテーブルに置いてこちらに寄って来る。


「私じゃ‥‥不満か?」


「真鈴‥‥?」


「私だって‥‥由香さんに負けないくらい‥‥」


真鈴はそう言うと真鈴も僕に胸を押し付けるようにぴったりくっつく。


「ちょ、ど、どうしたの!?」


「嫌‥‥か?」


そう訊く真鈴の目は潤んでいる。


「そ、そりゃ嫌じゃないけど‥‥」


「なら‥‥構わないだろう?」


真鈴はそう言うと僕を強引に引き寄せキスをする。


真鈴の舌が、僕の口の中に入って来る。


いつもの唇が触れるだけのキスとは違う、大人のキス。


僕の口の中で真鈴の舌が暴れ回る。


なんか‥‥妙な味が‥‥


これ、もしかして‥‥


確認しようと真鈴を何とか引き離そうとするけど、キスされたままだと全く力が出ない。


僕と真鈴を引き離したのは由香だった。


「もぅ、真鈴さんばっかりずるい〜」


「邪魔をするな‥‥」


真鈴が由香を睨む。


二人が僕から離れた隙に真鈴が持っていたコップの中身を確認する。


「って酒じゃん!」


やっぱり、二人共酒飲んで酔ってる‥‥


奏‥‥もしかして二人に飲ませた?


僕は席を立って奏を探すと、奏は多分酒を飲んでしまったであろう砂川先輩に抱き着かれながら絡まれていた。


「聞いてんの奏ぇ!」


「聞いてます聞いてますって! ちょ、変な所触らないで!」


‥‥とてもじゃないけど何したか訊くことは出来なそうだ。


「悠ぅ〜?」


背後から由香の声がした。


振り向いた瞬間、由香に抱き着かれ押し倒される。


「ゆ、由香!」


「真鈴さんばっかりキスしれずるいも〜ん」


由香はそう言いなが顔をこっちに近づける。


「ダメだって!」


僕が由香の肩を掴んで止める。


「らんれでよぉ〜」


「何でも何も‥‥」


「いっつもしひぇるじゃ〜ん」


だんだん呂律がひどくなってる。


まぁ、言ってる内容が内容だし、その方が良いかもしれないけど。


「いつの話だよ! ってか、いつも由香が一方的だっただろ!」


「キスした事実は変わらないよー?」


由香はそう言って本気で僕にキスをしようと顔を近づけてくる。


抵抗しても、現役のテニスプレイヤー(全国級)には勝てるはずもなく、じりじりと近づいて来る。


「由香、ダメだって!」


「悠、嫌がるろもかあいい‥‥」


由香が舌なめずりをする。


本気で身の危険を感じる‥‥


「これ以上やったら本気で怒るよ!」


「それれもいいも〜ん‥‥」


由香はそう言うと僕の腕を捩伏せ、僕に完全に覆いかぶさる。


なんとか顔をずらして、キスされるのは回避した。


「むぅ〜らんれ躱すのぉ〜」


「だから‥‥」


僕が言おうとすると由香が僕の耳元に息を吹きかける。


「ひゃうわっ!」


「もう、いちいちかああいんだから!」


由香はそう言って僕の耳を甘噛みする。


「ちょ、いや、由香、止めてって!」


「キスさせれくれるまれ止めなぁい」


「ダメ‥‥ちょ、ホントに‥‥」


その時、誰かの靴が飛んで来て由香の頭に当たる。


由香の力が緩んだ隙に逃げ出す。


由香はすぐに僕を追いかけようと立ち上がった所で急に現れた真鈴と再び口論になる。


真鈴が投げたのかと思って靴を見ると、真鈴の靴ではなく、モモさんの靴だった。


靴が飛んで来た方を見る。


すると‥‥


「千夏ぅっ!」


「ぎゃあー!」


「モモが暴れるっ!」


「誰か止めろー!」


「正岡が殴られた! なんかヤバそうな倒れ方だけど!?」


‥‥‥‥‥‥モモさんが暴れてた。


「モモさん酒乱なんだ‥‥」


「結構やばい」


いつのまにか後ろにいた十文字が教えてくれる。


着ていた服がかなり乱れている。


「どうしたの、それ?」


「‥‥まぁ、色々と」


十文字が珍しく顔を赤くして俯きながら言うと、十文字の背後から顔を真っ赤にした三神さんが現れる。


三神さんも酔っ払ってるのか、足元がふらついてる。


「望海‥‥まだ途中でしょ‥‥続き、やろう?」


三神さんが甘えるような声で十文字を抱きしめる。


「み、三神! 止めろって!」


「だーめ。止めてあげない」


三神さんは普段からは考えられないようなふにゃっとした笑みを浮かべている。


「‥‥お大事に」


僕はそう言って二人から離れる。


由香と真鈴がこちらに気がつかないうちにどこかに隠れよう‥‥


「悠」


僕の名前が聞こえた。


声のした方を見ると、真鈴が立っていた。


「真鈴、何か用?」


「ああ‥‥」


真鈴は僕に近づくと、さっき由香が甘噛みした方とは逆の耳を甘噛みする。


「ひゃう!」


「なんか‥‥女の子みたいだな」


真鈴はそう言うと舌を首に這わせる。


「ちょ‥‥ダメ‥‥っ」


「可愛いぞ‥‥悠‥‥」


体から力が抜ける。


真鈴が僕を抱き留め、そのまま僕を近くのソファーに寝せた。


「‥‥由香は?」


「物理的に黙らせた」


何したの‥‥?


「だから‥‥今は誰の邪魔も入らない」


真鈴はそう言うと、僕にまたキスをする。


唇だけでなく、色々な所にキスの雨を降らせる。


恥ずかしいけど、いつかみたいに服を脱がせようとしないだけマシだ。


「悠‥‥愛してる」


酔っ払って正気を失ってる真鈴は全く恥ずかしがらずにその言葉を口に出す。


「うん‥‥ありがとう」


「悠は‥‥どうだ?」


「うん‥‥好き、だよ」


「愛してくれているか?」


真鈴がもう一度訊き、僕の手を自分の胸に当てさせ掴ませる。


「ちょ、真鈴!?」


「私の胸は‥‥こんなにもドキドキしてるんだ。悠は‥‥どうだ?」


「僕も‥‥そうだよ、もちろん」


「そうか‥‥」


真鈴はそう言うと、僕の服の中に腕を突っ込み僕の胸の位置まで持っていく。


「ホントだな‥‥鼓動が凄く‥‥」


「あ、あのさ、真鈴‥‥恥ずかしいんだけど」


「大丈夫だ。どうせ誰も見てない」


真鈴はそう言うと僕の服の中に腕を突っ込んだまま、またキスをする。


きっと‥‥誰かが見てても今の真鈴なら同じことをするんだろう。


まぁ‥‥たまにはこういうのも悪くない‥‥かな?




結局、どこかに行っていた京極君、早苗さん、八雲の三人が強制的に力ずくで打ち上げを終わらせるまで、ずっとされるがままだった。


未成年の飲酒は法律で禁止されてます。

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