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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第四十二話 ラブラブな二人

GW最終話です

次の日、僕達は奏に町を案内してもらい、もう後は白新に帰るだけになった。


十文字が荷造りが終わるまで、僕達は大部屋に集まっていた。


「あっという間でしたね」


沙羅さんが部屋から荷物を運んだ後、感慨深そうに言う。


「色々あって楽しかった」


「悠といっぱいキス出来たしな」


真鈴が言うと奏が笑いながら茶化すように言う。


真鈴は一瞬で顔を真っ赤にして俯く。


(ラブラブね、二人共)


荷造りを終えた三神さんが微笑みながら僕の耳元で囁く。


昨日何があったかは分からないけど、機嫌はすっかり直ったみたいだ。


「そう‥‥ですか?」


僕が普通の声で訊くと三神さんが笑顔で頷く。


「そうよ。昨日、何があったのかしら」


三神さんは真鈴を見ながら言い、ちらっと僕を見る。


(三神さんと十文字が昨日何してたか教えてくれたら教えてあげます)


僕が三神さんの耳元でそう囁くと今度は三神さんの顔が赤くなる。


何したの十文字‥‥?


(そ、それは別にいいでしょ!)


三神さんが恥ずかしそうに小さな声で言う。


(まぁ別に詮索はしませんけどね)


「二人で何の話をしてるんだ?」


気がつくと真鈴が不服そうな目で僕を見ていた。


「随分と仲が良さそうだな」


「真鈴‥‥もしかしてヤキモチ?」


三神さんがニヤッとしながら訊くと、真鈴の顔がまた赤くなる。


「わ、悪いか! 悠は私の‥‥『特別』なんだ!」


真鈴はそう言うと僕を引き寄せて後ろから強く抱きしめる。


「ま、真鈴、痛い‥‥」


「私を不安にさせた罰だ」


真鈴が呟くような小さい声で言う。


それは、凄く寂しそうで悲しそうな声だった。


「悠の言う通りだって‥‥分かってはいるんだ‥‥互いに釣り合ってないって思ってたら、互いに高めあえるって‥‥頭では、分かってる‥‥でも‥‥やっぱり嫌なんだ‥‥不安になって‥‥気が狂いそうになる‥‥」


真鈴は僕を抱きしめている腕にさらに力を込める。


「分かってる‥‥全部私の我が儘だって‥‥けど‥‥私だけを‥‥見てて欲しいんだ‥‥」


真鈴はそう言って腕を離し、僕に目線を合わせる。


いつの間にか部屋には僕達以外誰もいなくなっていた。


僕は真鈴だけを見てる。


それは真実だ。


でも、きっとそれを言葉にしても、何も変わらない。


だから――


僕は、真鈴を抱きしめてキスをした。


言葉じゃ信じられなくても‥‥これなら信じられると、そう思ったから。


真鈴は少しびっくりしたような顔をして、そして今度は優しく抱きしめ返してくれた。




「そろそろ行かないと‥‥みんなに迷惑かけちゃう」


僕がそう言うと真鈴は名残惜しそうに僕から手を離した。


「しょうがない‥‥行こう」


真鈴はそう言うと自分の荷物を持つ。


僕も自分の持って、逆側の手で真鈴の手を握った。


真鈴は一瞬びくっとして顔を少し赤らめ、僕の指に真鈴の指を絡める。


いわゆる、恋人繋ぎ。


「真鈴?」


「ダメ‥‥か?」


真鈴は恥ずかしそうに呟くような小さな声で僕に訊く。


「ううん、全然。嬉しいよ」


僕が正直に言うと真鈴は一段と顔が赤くなる。


「は、早く行こう」


真鈴は僕の手を引っ張って扉を開けると、ちょうど結衣と月さんに会った。


「あら、二人共‥‥ラブラブね」


結衣は僕達の手を見て微笑みながら言う。


久しぶりに見た、結衣の心からの冷たくない笑顔だった。


「そうだよ‥‥もう『好き』を知らない僕じゃない。結衣だってそれが分かったから商店街で会った時笑ったんでしょ?」


僕がそう言うと結衣は頷いて月さんを見る。


「先に行っててくれる?」


月さんは黙って頷くと、結衣の分の荷物を持って玄関に向かう。


結衣は僕を見た。


「ちゃんと仲良くしなさいよ? あんたにはもったいないくらいの人なんだから」


「分かってるよ」


僕がそう答えると、結衣は満足そうに頷いて真鈴を見る。


「一昨日はごめんなさい」


結衣はそう言って頭を下げる。


「いや、そんな‥‥」


「もう悠は私の知ってる悠じゃなくって‥‥もっと"大人"になってた。きっと‥‥あなたのおかげだと思う。ありがとうね‥‥『真鈴』」


結衣はゆっくりと真鈴の名前を言った。


真鈴は黙って頷く。


「色々大変だと思うけど‥‥この子をお願いね」


「‥‥はい」


真鈴が頷く。


結衣はそれを見て満足そうに笑うと、一歩動いてすぐに僕を見た。


「そうだ‥‥このこと‥‥父さんに言っておこうか?」


結衣は真剣な表情をしている。


「ううん、いい。僕達は僕達なりに‥‥マイペースでいくから」


僕がそう答えると、結衣は小さく「そう」と呟くと、月さんを追って玄関に向かった。


「まだ‥‥御両親に私のこと話してないのか?」


真鈴は不満そうな表情で聞く。


「うん‥‥僕が真鈴に追いつけたら、その時話すよ」


多分そうじゃないと――あの人はきっと認めてくれない。


「‥‥そうか」


真鈴はそう言うと、また僕の手を引いて歩きだした。


ようやくGWが終わりました。


2か月かかりました‥‥


色々と謎が残っていますが、それは今後明らかになって行きます。


次回からもよろしくお願いします!


次回からは体育祭のお話です。


大量に新キャラが出てきます

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