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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第四十一話 『あの頃』

夜の十時。


普通の高校生が寝るには早過ぎる気がしないでもないけど、今日一日色々なことが有りすぎて疲れた僕は布団を敷いて寝ることにした。


「真鈴はどうする?」


僕は自分の布団を敷いてから(今日はきちんと布団が一人ずつ用意されてる)真鈴に訊く。


「悠が寝るなら私も寝る」


真鈴はそう言って布団を敷いた。


電気を消す。


部屋の中の明かりは月の明かりだけになる。


「それじゃあ、おや――」


「悠」


おやすみ、と言い終わる前に真鈴に名前を呼ばれた。


「何?」


「その‥‥私‥‥そっちに行っていいか?」


「場所変わるの? 眩しい?」


「そうじゃなくて‥‥その、一緒に‥‥寝たいんだ」


真鈴が僕の方を向いて言う。


その顔は真っ赤に染まっていた。


「別にいいけど‥‥どうしたの急に? 寒いの?」


真鈴は僕の質問に答えず、黙って僕の布団に入ってくる。


するとすぐに、真鈴は僕をそっと抱きしめた。


「ま、真鈴?」


「‥‥分かってたのに‥‥」


真鈴が呟く。


「え?」


「そういう状況じゃないって分かってたのに‥‥姉と弟って分かってたのに‥‥悠と結衣さんが抱き合った時‥‥正直ムッとした」


真鈴はそう言うと僕を抱きしめる腕に僅かに力を込める。


「だから‥‥私にも結衣さんと同じことをして欲しいんだ」


「真鈴って‥‥意外と独占欲強いよね」


僕はそう言いながら真鈴に言われた通り結衣にしたのと同じようにそっと抱きしめる。


「‥‥それは‥‥悠にだけだ」


真鈴が恥ずかしそうな声で言う。


「悠は私の物だから‥‥誰にも渡したくない」


真鈴が由香と初めて出会った時と似たようなことを言う。


でもあの時と違って、その言葉がとても嬉しかった。


「そうだよ‥‥だから不安がらなくても大丈夫。真鈴が許す限り、僕は一緒にいるから」


僕はそう言って真っ赤になった真鈴の頬にキスをする。


「真鈴は僕の‥‥『特別』だから」


僕がそう言うと真鈴も僕の頬にキスをする。


「私だって‥‥悠は『特別』だ」


真鈴は真っ赤な顔で、でもしっかりとした声で言う。


「うん‥‥ありがと」


僕がそう答えると、真鈴は微笑む。


とても綺麗で、優しい微笑みだった。


「可愛いね、真鈴の笑顔」


僕がそう言うと真鈴が僕の体を抱き寄せる。


鼻先がくっつくぐらい近くなる。


「こういう顔が出来るのも‥‥悠のおかげだ。葉にも沙羅さんにもほとんど見せたことないんだからな」


真鈴はそう言うと僕にキスをする。


真鈴のと僕の鼓動が一つになった気がした。




「なぁ、悠」


しばらくして真鈴が僕の名前を呼ぶ。


「何?」


「『あの頃』って‥‥何のことだ? お前に何があったんだ?」


結衣が起き上がる直前に訊かれた質問。


どう答えようか考える。


嘘をつかないように、でも誰も傷つかないように。


「‥‥もし答えにくいことだったら別に言わなくてもいい」


「答えにくいって言うか‥‥『あの頃』の話をしようとすると‥‥僕以外の人の『過去』を話さなきゃだから‥‥」


「じゃあ‥‥伝えられるだけでいい」


真鈴はそう言って優しく微笑む。


「『あの頃』は‥‥1年前‥‥僕の『運命』が変わった日」


「『運命』‥‥?」


「僕だけじゃない‥‥由香も結衣も‥‥奏も八雲も十文字も‥‥みんなの『運命』が変わったんだ」


「どういう‥‥ことだ?」


「ごめん、これ以上は‥‥もっとみんなのこと知ったら、教えられるけど‥‥」


僕がそう言うと真鈴はクスッと笑う。


「なんか‥‥学園ゲームみたいだな‥‥」


「やったことあるの?」


少し意外だ。


「いや、やったことないはない。イメージだ」


真鈴はそう言うと僕にキスをする。


「悠ともっと‥‥『仲良く』なれば‥‥教えてくれるか?」


真鈴が甘えるような声を出す。


「うん‥‥きっと」


僕はそう言って真鈴にキスをした。

多分次回でG・W編終わると思います。

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