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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第二十八話 旅に出よう!

真鈴が誘拐された事件から一週間が過ぎた。


あの事件の翌日、『真鈴にちょっかいを出すと真鈴を好いている人間達に粛清される』という、微妙に合ってると言えなくもない噂が広まり、真鈴が誰かに勝負を挑まれるといったことはなくなった。


そんな、平和な日を過ごしていたゴールデンウイークの二日前のことだった。


「旅行行こうぜ!」


僕と真鈴と三神さんの三人で話していると、奏がそう話しかけてきた。


「旅行?」


「そう、旅行。二泊三日で!」


「いつ?」


「5月3日から5日まで!」


「どこに?」


刈波音村かりはねむら!」


刈波音村は城羽町の隣にある村で、田舎で山や川や海があり、温泉もある自然豊かな村だ。


「ほら、ニーノとミカは行ったことないだろ?」


『ミカ』はどうやら三神さんのことらしい。


「まぁ、確かに行ったことはないですけど‥‥」


三神さんが答える。


相変わらず人前では敬語だ。


「だろ? 行こうぜ!」


奏は目をきらきらさせながら言う。


「まぁ、別に構わないが‥‥旅費はどうするんだ?」


真鈴が奏に訊く。


「移動に使う金があれば大丈夫!」


「大丈夫って‥‥泊まるんでしょ?」


僕が聞くと奏はにんまり笑って僕の方を向く。


「ほら、これ!」


奏はそう言ってポケットから何かのチケットを6枚取り出す。


「‥‥何これ?」


「旅館の無料優待券! これ使えば6人無料で行けるんだぜ! お得だろ?」


「6人ってことは‥‥私と真鈴と一之瀬君と奏と‥‥八雲君は行くんでしょうから後一人?」


三神さんが奏にそう訊くと、奏は途端に暗い顔になった。


「雄祈は‥‥部活があるから行かないって‥‥」


奏が小さな声で悲しそうな表情で言う。


いつも八雲にべったりな奏にとって、三日も八雲に会えないのは苦痛以外の何物でもないのだろう。


「そうですか‥‥残り二人、誰でもいいんですか?」


「ん、まぁな。せっかく6枚あるんだし、どうせなら全部使った方がいいだろ?」


「なら、私の母も連れていっていいですか? 車もありますから、移動にかかるお金も必要なくなりますよ」


「そういえば、沙羅さん『温泉行きたい』と言っていたな」


真鈴が思い出したように言う。


「保護者も必要だろうし、ちょうどいいんじゃない?」


僕がそう言うと奏も頷いた。


「じゃあ決まりだな。後一人、任せてもいいか?」


「うん、探しておくよ」


「サンキュー。じゃあ、頼んだぜ!」


奏はそう言って八雲の席に走って行った。




そして旅館に出発する日、僕達は真鈴と三神さんの家に集合した。


「‥‥何であんたがいるのよ?」


三神さんはそう言って僕が連れて来た最後の一人――十文字を睨みつける。


「誘われたからに決まってるだろ。そうじゃなきゃやることあるのにわざわざついて来るかよ」


十文字はそう言って苛立ったような表情になる。


その表情を見ると、誘った僕は正直不安になる。


「えっと‥‥迷惑、だった?」


「い、いや、そんなことは‥‥」


僕がそう訊くと十文字は慌てて否定する。


「ほら、さっさと行くぞ!」


いつの間にか沙羅さんの車に乗り込んだ奏が窓から頭を出して叫ぶ。


こうして僕たちの二泊三日の旅が始まった。

やっとブログに出していた刈波音村が出せました。

http://syousetukani.blog133.fc2.com/blog-entry-11.html

某県某村に似ていますが別物ですよ。

名前は似てますがモデルは別な場所です


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