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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第二十六話 大切な人

三神沙羅みかみさら‥‥182センチ/72キロ。

葉の母親で現在は真鈴を見守る保護者がわり。


今回から二宮は一之瀬のことを悠と、一之瀬は二宮のことを真鈴とよびます。

ちなみに三神さん→三神葉(娘)、沙羅さん→三神沙羅(母親)です

「‥‥で、何か言いたいことは?」


真鈴が床に正座させた二人に訊く。


「‥‥足崩していい?」


「ダメだ」


真鈴が即答する。


「なんで覗いていたんですか?」


「それは‥‥お母さんが‥‥」


僕が訊くと、三神さんはそう言って三神さんの右隣に座らされた三神さんを少しだけ大きくしたような人を見る。


「沙羅さん‥‥」


真鈴が三神さんの母親――三神沙羅さんを睨みつけた。


「いや、これはですね、お嬢様が心配で‥‥車の中でもすぐに倒れてしまいましたし‥‥」


沙羅さんは二宮家の家政婦として働いていて、今は実家に住んでいる真鈴の保護者の代わりなんだそうだ。


黒い車を運転していたのも沙羅さんだった。


「‥‥私、倒れたのか?」


真鈴が三神さんに尋ねる。


「倒れこんだわよ、一之瀬君の膝に。起こさないように一之瀬君を降ろすの大変だったんだから」


「そうなのか‥‥ごめん」


真鈴が僕に謝る。


「いや、いいよ。おかげでいいもの見れたし‥‥」


「いいもの?」


「寝顔、可愛かったよ」


僕がそう言うと真鈴はようやく元に戻った顔をまた赤らめる。


僕もタメで話すのは照れ臭い。


「‥‥二人ともなんで照れてるのよ。もう何回もキスしてる仲なんだから寝顔見られたってタメで話したって別にいいじゃない」


三神さんが僕達を見ながら言う。


「は、恥ずかしいのは恥ずかしいんだ‥‥」


真鈴が慌てたように答える。


「寝顔くらい別にいいじゃない‥‥これからいくらでも見せることになるんだから」


「それは‥‥そうかもしれないが‥‥いや、だったら私は、ゆ、悠より早く起きる」


真鈴が顔を赤くしながら言う。


「初々しいですね、お二人共」


沙羅さんが笑いながら言う。


「何がですか?」


「二人の名前呼ぶだけで照れあって‥‥ラブラブですね」


沙羅さんが満面の笑みで言う。


「う、うるさい!」


真鈴はそう言って顔を僕を押し倒した時と同じくらい赤くして部屋から出て言った。


「ふぅ‥‥足が痺れた‥‥」


三神さんはそういって足を崩す。


僕はその足をつついてみた。


「ちょ、一之瀬君!」


さらにつついてみる。


「ちょっ、ちょっと!」


「僕も覗かれて恥ずかしかったので‥‥仕返しです」


もう一度つつく。


「もしかしてそれ私もされるんですかね‥‥?」


沙羅さんがおそるおそるといった感じで僕に訊く。


「はい、します」


「安易に崩すと危険ですね」


僕が答えると沙羅さんが苦笑いする。


「ちょっ会話しながらつつくの止めて! ぜ、全力で抵抗するわよっ!」


「じゃあ止めます」


これ以上やると本気で怒られそうだし。


僕がつつくのを止めると、三神さんは僕を睨みつけて僕から離れる。


「ずっと‥‥車の中から見せてもらいました」


ふいに沙羅さんがそんなことを言い出した。


「え?」


「葉や‥‥お嬢様が、こんなに素直に他人に自分の感情を伝える所を、私は数えるほどしか見たことがありません。特にお嬢様があんなに照れている姿なんて‥‥奥様や旦那様でもおそらく見てらっしゃらないと思います」


そう言って沙羅さんは頭を下げる。


「本当に‥‥ありがとうございます」


「いや、そんな‥‥僕は何もしてないですし‥‥」


「何もしなくても、傍にいるだけでいいんです。葉やお嬢様に必要なのは‥‥そういう人だと思います」


そしてもう一度、頭を下げる。


「娘と‥‥お嬢様を、よろしくお願いします」


「‥‥はい、もちろんです」


僕がそう言うと、沙羅さんは微笑んだ。


次回でようやく一区切りつけれそうです。

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