第二十三話 救出作戦
ブログ頑張ってます!!
ラブコメ「キス魔な彼女と草食系僕」連載中です。
新しく魔法バトル物も書く予定です。
ですがタイトル決まってません。誰か伝授してください(願)
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私が目を覚ますと、そこには知らない男達が立って私の周りを囲んでいた。
「お、やっと起きたぜ」
一人の男がそう言ってニヤリと笑う。
私は体を動かそうとして、気がついた。
私は、体を拘束されていた。
私はベッドのような場所に寝かされ、手は縛られ、足は開かされたまま縄で縛られ、ベッドのような物の柱に繋がれていた。
「な‥‥何だこれは!」
「拘束させてもらってるよ‥‥暴れられたら困るからね‥‥」
そう言って動けない私に顔を見せたのは、城羽学園の制服を着た、見覚えのある容姿が優れた男だった。
「お前‥‥」
「あ、覚えててくれたんだ」
男はそう言うと微笑む。
「あんたは僕のことあっさり振ってくれたからね‥‥もう忘れたかと思ったよ」
「何でこんなことをしたんだ!」
「だって‥‥君を倒せたら付き合えるんだろ‥‥? 付き合ってもらうよ‥‥とことんね‥‥」
男はそう言って私に近づく。
「断る」
「あれ、以外と冷静だね‥‥泣いて拘束解いてくれ懇願すると思ったのに‥‥」
「ふざけるな!」
「ふざけてなんてないさ‥‥僕達は君の屈辱的な姿を見たいんだ」
「なん‥‥だと?」
「君は僕を振った‥‥この僕をね。そして君が選んだのはあの男だった‥‥屈辱的だったよ。僕はあんな奴に負けたのか、とね。そして思ったんだ。君にもこの思いをさせてやりたい‥‥君に復讐してやりたい‥‥」
男はそう言って再び微笑む。
「ここにいる奴らは君によって屈辱を味わった奴らだ。復讐してやりたいと思った奴らだ‥‥そういう奴らを集めたからね」
「私が‥‥?」
「そう、言い換えるなら‥‥君に傷つけられた奴ら‥‥だよ」
男はそう言って私の目の前まて顔を近づける。
「まずは‥‥その顔をぐちゃぐちゃにしようか‥‥」
男はそう言ってポケットから取り出したのは、一本のナイフだった。
男の顔は狂気に取り付かれていた。
私は恐怖で、声が出なくなっていた。
それでも、心の中で、必死に叫んでいた。
助けて――
どうやったって届くわけのない人に、届くわけのないSOSを。
一之瀬―――!!
男はナイフを私に向けて振り下ろそうとした。
私は、顔の表情まで金縛りにあったみたいに、目をつむることも口を動かすことも出来なかった。
「やけに‥‥うるさいな‥」
男が行動を止め呟いた、その瞬間だった。
ガラスの割れる音ともに、大きなエンジン音が小屋の中に響いた。
私が音のするほうを見ると、そこには、バイクに乗った百武さんと、黒いパーカーを着た小柄の少年がいた。
小柄な少年は走ったままのバイクから飛び降りると、その勢いのままナイフを持った男の顔面に膝蹴りを喰らわせた。
「大丈夫か、真鈴!?」
少年は私の名前を呼んだ。
「一之瀬‥‥!?」
私は思わず呟いていた。
黒いパーカーやマスクのせいで完全に顔が確認出来るわけではなかったが、その声は聞き間違えるわけがなかった。
「もう少しだけ、待ってろ」
一之瀬はそう言うと、恐怖を顔に浮かべ逃げようとする男達を次々と蹴り飛ばしていく。
百武さんも、男達を投げ飛ばしたり地面に叩きつけていった。
圧倒的に強かった。
まだ逃げる元気がある男達が逃げようと扉を目指すと、ちょうど入口の扉が開いた。
そこに立っていたのは、葉と十文字だった。
男達は、十文字を見ると一斉に立ち止まり、十文字と葉が男達に向かって走って行った。
立っている男達はあっという間に減っていく。
十文字と葉が扉を開けてから30秒足らずで男達は全員地面にはいつくばっていた。
戦い終わると、一之瀬はマスクを外した。
「あなた達‥‥強いのね‥‥」
葉は少し疲れた様子で息切れを起こしているが、他の三人は全く疲れた様子はない。
「まぁ、こういう奴らを日常的に相手にしてますから‥‥」
百武さんは苦笑いをしながら答える。
四人とも私の手足を縛った縄をほどいていく。
縄はすぐに外された。
「何もされてないですか、二宮さん!?」
私が半身だけ起き上がると、一之瀬が心配そうに聞く。
「ああ、大丈夫だ」
「そうか‥‥良かった‥‥」
一之瀬はそう言うと安堵したように笑う。
その表情は、初めて私が一之瀬に会った時に見せてくれた顔だった。
それまでの不安や恐怖や緊張を、全部どこかに吹き飛ばしてくれる笑顔だった。
気がつくと、私は泣いていた。
初めて流れた涙だった。
「ありがとう、一之瀬‥‥!」
「に、二宮さん?」
一之瀬が私の頬に触れた時だった。
誰かが走って来る男がした。
私に話しかけていた男が、ナイフを持って私達に走って来ていた。
やぶれかぶれになった男は、私ではなく一番男から近かった葉に向かっていた。
「葉!!」
私が叫んだ時にようやく葉が気付いた。
葉が振り向き、何とかかわそうとするが、すでに男は間近にいた。
間に合わない――
私は思わず一瞬目をつむる。
目を開けると、葉は刺されてはいなかった。
十文字が葉を庇うように立っていた。
「‥‥空気読めや!!」
十文字の真横にいた百武さんがそう叫んで男を殴り飛ばす。
それとほとんど同時に、十文字は崩れ落ちた。