第二十話 闇討ち?
放課後、特に何も用事のない僕達は(僕、二宮さん、三神さん)、僕の家によって帰ることになった。
校門を出た所で、微妙に見覚えのある三人組が現れた。
「ちょっと待てぇい!」
一番左の男が僕達を呼び止めた。
「僕達‥‥ですか?」
「はい、そうです」
「僕達っていうか、お前だけだ」
真ん中の男と右側の男が言う。
「何ですか?」
僕がそう言い終わると同時に右側の男が殴りかかって来た。
「な、何なんですか!?」
「闇討ちだ」
「全然闇じゃないだろ」
「闇討ちというよりむしろ不意打ちですね」
二宮さんと三神さんがツッコむ。
「実際こそこそやると返り討ちになるみたいですから」
「堂々と闇討ちすることにした」
堂々とやったらそれはすでに闇討ちではないと思う。
「何でこんなことを!?」
「決まってるだろ!」
「美女を二人もはべらせて!」
「羨ましいからだ!」
男達が見事に割り台詞を決めて再び一番右側の男が僕に向かって走り出す。
僕はどう相手していいか迷ってる間に、二宮さんが僕の前に出て、男をその場でねじふせた。
「に、二宮さん!?」
「一之瀬に手を出す奴は私が許さない」
「だからって何で二宮さんが手を出すんですか!?」
「大丈夫だ、私は怪我をしない」
「そういう問題じゃないです!」
「あの、二宮さん、ちょっと良いですか?」
僕達が言い争ってる間、何か相談していた残った二人が僕達に話し掛けてくる。
「何だ?」
「二宮さん‥‥僕達と戦って下さい!」
「は!?」
「そして僕達が勝ったら、僕達と付き合って下さい!」
「いや、おかしいだろ」
二宮さんがツッコミを入れるが、男達は構わず二宮さんに向かって行く。
二宮さんは目にも留まらぬ速さで二人を地面にたたき付けた。
「二宮さん‥‥強いですね‥‥」
「まぁ、一通りの武術は習ってたからな」
二宮さんが顔をほんの少し赤くして僕から視線をそらして言う。
「っていうか‥‥逃げなきゃ、じゃない?」
三神さんが周囲を見渡しながら言う。
周りの人達は皆僕達のことを見ている。
「‥‥」
「‥‥」
「‥‥」
三人共黙って走り出した。
走ってる途中で思い出した。
あの三人は、僕と二宮さんが初めて登校したときに尋常じゃない殺気をこめた視線を僕に送り続けた男たちだった。
「ここまで来たら大丈夫か‥‥」
僕達は結局僕の家に着くまで走り続けた。
まぁそもそも二宮さんは陸上選手並のスピードだし、僕や三神さんだって、クラスの中なら結構速い部類に入るのだから、ついてこようと思ってもついてはこれないだろうから、こんなに走る必要はなかったのだけど。
「全く‥‥何でああいう奴らを相手するかな、真鈴は。ああいう奴らは無視が一番いいの」
三神さんが二宮さんに言う。
「‥‥そうなのか‥‥? だが、ああしなきゃ一之瀬がやられてたじゃないか」
ってことは二宮さんは僕を守ろうとしてくれたわけで‥‥
彼女に守られる彼氏ってどうなんだろ‥‥?
「まぁそうかもしれないけど‥‥」
「そこは否定して下さいよ、三神さん」
「あ、ごめん‥‥」
「まぁ、いいんですけど‥‥あれ?」
僕は三神さんと話してる途中で、あるモノを見つけた。
「まただ‥‥」
「何がだ?」
「いや、あの車‥‥」
僕が見つけたのは、かなり値段が高そうな、黒い車だった。
「なんか最近、よくここら辺で見かけるんですよ。二宮さんが迎えに来てくれる時もいますし、『夢魔の巣』から帰る時にもいましたし、その前に二宮さんと三神さんが家に来た時もいましたし‥‥なんなんでしょうね?」
「さぁ、な」
二宮さんは僕の顔を見ることなく、そう答えた。
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