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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第十九話 秘密ごと

だんだんタイトルが思いつかなくなってきました‥‥

千夏さんがいる教室に入ると、二宮さんは千夏さんに詰め寄っていた。


「これは‥‥どういうことだ?」


二宮さんの声は決して大きくはなかったけれど、眼力と武士のような雰囲気と合わさって、相手を萎縮させるには十分威力があった。


相手が千夏さんでなければ、の話だけど。


「どういうことって‥‥言ったじゃん、記事にするって」


「あれは‥‥諦めたんじゃなかったのか?」


「それがね、昨日たまたま取れた由香の写真のうちの一枚を見せたら、記事にしても黙っててくれるって言ってくれたんだよねぇ。京極も『それならぁ、仕方ないかなぁ』って言ってくれたし」


「な‥‥」


二宮さんが絶句する。


「千夏さん‥‥」


僕が千夏さんに近づき話しかける。


(あれが噂の‥‥)


(うわ、本当に小さい‥‥)


(可愛い‥‥)


‥‥周りの声は聞こえなかったことにしよう。


「あ、悠、おはよう」


「おはよう、じゃないですよ‥‥僕も二宮さんも迷惑してるんです」


「他人の迷惑より」


「スクープが大事っつたら張って倒すから」


そう言ったのはいつの間に千夏さんの後ろに立っていた砂川姫乃ひめかわひめの先輩だ。


「あ、ヒメ、おはよう」


「挨拶はいいからさっさと答えなさい」


「そりゃあスクープ」


千夏さんがそう言った瞬間に姫乃先輩が千夏さんを蹴って椅子から落とす。


「痛っ!!」


「張っ倒されなかっただけましだと思いなさい」


「相変わらずぅ、厳しいねぇ」


そう言ったのは、これまたいつの間にか来ていた京極君だった。


「遥っ!」


砂川先輩はそう言って京極君を抱きしめる。


相変わらず京極君に対しては態度が他の人と比べて明らかに違う。


「めずらしいね、京極君が教室から出るなんて」


「うーん‥‥たまにはぁ、こっちからぁ、ヒメにぃ、会いに行こうかとぉ、思ってぇ、後ぉ、打ち合わせかなぁ」


京極君がそう言うと砂川先輩は嬉しそうに笑う。


「うわ、すっごいラブモード‥‥」


千夏さんは呆れたように言う。


「そうだぁ、先生がぁ、呼んでたよぉ、千夏ちなっさん」


京極君がいつもの調子で言うと、千夏さんは表情を引きつらせた。


「かなりぃ、おかんむりだったよぉ」


「ちょ、早く言ってよ!」


千夏さんはそう言うと慌ててどこかに走って行ってしまった。


「千夏さんどうしたの?」


「どうしたんだろうねぇ」


京極君はいつもと同じ調子で答えた。




そして、昼になった。


「なんでお前達がここに来てるんだ?」


七瀬先生が聞いて来る。


僕達は(僕と二宮さんとフミと京極君)保健室に来ていた。


「教室だと皆の視線が気になって‥‥」


昨日までもそうだったけど、今日は昨日までとは違った視線を感じた。


何が違うのか、は分からなかったけど。


そうなる原因になった千夏さんは相当先生にしぼられたらしく、必死になって噂などの火消しをしている。


「だからって何で保健室なんだ‥‥?」


七瀬先生が不満そうに聞く。


「屋上が開いてなかったので‥‥やっぱりここだとマズかったですか?」


「マズいというか‥‥」


「大丈夫だよぉ、ナナさんはぁ、蜜時間邪魔されたからぁ、残念がってるだけだからぁ」


「きょ、京極っ!」


京極君がいつもの調子で言うと、七瀬先生が慌てた様子を見せる。


「蜜時間?」


「フミとねぇ」


「バ、バカ野郎!」


七瀬先生はそう言って京極君を叩く。


「痛いよぉ」


「うるさい!」


もう一度叩く。


「蜜時間って‥‥何だ?」


「さぁ‥‥?」


「お昼ご飯食べないの? せっかくの愛妻弁当でしょ?」


僕達が不思議がっていると、フミが僕達の弁当箱を見ながら聞く。


「あ、愛妻弁当って‥‥」


「あれ、違った?」


フミが微笑む。


「そ、そもそも妻じゃない‥‥」


二宮さんが顔を赤くして言う。


「彼女だからぁ、似たような物じゃないぃ?」


七瀬先生からの攻撃をしのいでした京極君が言う。


「っていうかぁ、フミ本当に『一星』のリング買ったんだぁ」


京極君が七瀬先生の指輪を見ながら言う。


『一星』は万代、四条、京極、三十木みそぎに並ぶ日本有数の大会社だ。


「うん、欲しがってたからね」


「それ、五十嵐が買ったのか?」


「うん。七瀬先生の誕生日にね」


二宮さんの質問にフミが答える。


「買ったって‥‥そんなに安い物じゃないよね」


こういった物の相場は知らないけど、確か2万くらいはしたはずだ。


「うん、バイトして貯めたんだ」


「愛しの人の為にぃがんは痛い!」


京極君が話す途中で七瀬先生がかなり本気のパンチを放った。


「言うな!」


「言っちゃダメなんてぇ、言われてないよぉ」


「愛しの‥‥?」


「あぁうん‥‥付き合ってるの、僕達」


フミが苦々しい顔で京極君を見ながら言う。


「ひ、一二三!」


「しょうがないでしょ、遥がここまで言ったら」


「本当に付き合ってるの?」


「うん」


「教師と生徒が付き合っていいのか‥‥?」


「しょうがないじゃん。葵姉ぇが教師になる前から付き合ってたんだし」


『葵姉ぇ』と言うのが本来の呼び方なんだろう。


「でも内緒にしといてね。付き合ってるのバレるの、葵姉ぇ嫌がってるから」


「そうなのか?」


二宮さんはそう言って七瀬先生を見る。


「嫌だと言うか‥‥バレたら困るんだ」


「まぁ、そういうことなら黙ってます」


僕がそういうと二宮さんも頷く。


「京極も、もうこれからは絶対言わないでね」


「分かったぁ」




その後、弁当を食べ終わった僕達は保健室てだべっていた。


すると、誰かが保健室の扉を開き、中に入って来た。


「失礼しま、す‥‥一之瀬さん? なんでここに?」


十文字だった。


「まぁ色々とあって‥‥十文字は?」


「俺は‥‥」


「またぁ、サボりに来たのぉ?」


京極君が笑いながら言う。


「今ベット空いてるから別に構わんが」


「いいの? 教師がそれで」


「休みたきゃ休めばいい。責任はとらんがな」


七瀬先生はそう言ってニヤリと笑う。


「ってかさぁ、『一之瀬さん』って何ぃ? 望海、『悠君』って呼んでたじゃん? 何で変えたのぉ? それに、敬語じゃなくてぇ、もっとくだけた感じだったのにぃ、何でそんなよそよそしくなったのぉ?」


「何でって‥‥」


「悠は別にぃ、望海と仲良くされたらぁ迷惑だなんてぇ、思ってないよぉ」


京極君がいつものように言うと、十文字はあわてふためいた。


「そんなこと思ってたの?」


「そ、それは‥‥」


「前にも言ったでしょ。確かに、ナイトメアのことを悪く思ってる人もいるよ。でも、僕はそんなの気にしない」


「はい‥‥すいません」


「また敬語。そういうふうに思ってるんだったら、使わないで」


「‥‥ごめん、悠君」


十文字が昔の呼び方で言う。


「敬語ってよそよそしい‥‥のか?」


「オイラはぁ、そう思うよぉ」


二宮さんと京極君が小さな声でそんな会話をしてることを、僕は気付かなかった。

京極の言う「打ち合わせ」はキス魔な彼女と草食系僕http://syousetukani.blog133.fc2.com/blog-category-3.htmlで明かされます。


ブログ、頑張ってます!

http://syousetukani.blog133.fc2.com/


Twitterも、頑張ってます!

odaitinaで検索すると出てきます。

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