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僕の恋人  作者: 織田一菜
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第十三話 三人と一人

はい、ゴメンナサイ。


新キャラまだ出ません


スイマセン

約束の6時半ちょうどにドアのチャイムが鳴った。


ドアを開けると、私服姿の二宮さんと、三神さんが立っていた。


二人ともうっすらと化粧をし、三神さんは髪を後ろに束ねたポニーテール姿で服装もカジュアルな感じで、二宮さんは普段つけないカチューシャをつけて、白いワンピースを着ていた。


「二宮さん‥‥可愛いです、とっても」


僕が素直にそう言うと、二宮さんはすぐに真っ赤になる。


「い、一之瀬だって‥‥かっこ、いいぞ‥‥」


「かっこいい‥‥ですか?」


生まれて初めて言われたことだった。


うれしいけれど、少しだけ照れ臭い。


すると、二宮さんは嬉しそうな顔になった。


「やっと‥‥赤くなったな」


「え?」


「今まで私ばっかり赤くさせられてたが‥‥ふふ、ようやく赤くなった」


二宮さんは満足そうに何度も頷く。


「でも多分‥‥二宮さんの方が真っ赤ですよ?」


僕がそう言うと二宮さんはさらに赤くなって俯きながらぼそぼそつぶやく。


何て言ってるかは聞こえなかったけど。


「ほら、二人で固まってないでさっさと行きましょうよ」


二宮さんの後ろにいる三神さんが呆れたように声をかける。


「っていうか、可愛いのは二宮だけ?」


三神さんがちょっとだけいじけたような表情になる。


「三神さんは可愛いって言うより‥‥凛々しいです」


保健室で会った時の真逆の感想を僕が言うと三神さんも顔を少し赤らめた。


「葉も顔が赤くなってる」


「しょ、しょうがないでしょ! そんな褒められかた初めてなんだから!」


クスリと笑った二宮さんを三神さんが睨むように見る。


「悠、準備出来たよ‥‥あれ?」


奥から部屋着から外出用の服に着替えた由香が三神さんを見ると、かなり驚いたような声を出す。


「三神‥‥さん? 何でここに‥‥?」


「由香こそ‥‥どうして一之瀬君の家に?」


「二人とも知り合いですか?」


「三神さんは私のテニスの師匠なの」


僕が聞くと由香が答える。


ちなみに由香は中学でテニス部に所属している。


『長身から繰り出される強烈スマッシュがウリのパワープレイヤー』らしく(意味はよく分からないけど)一度全国優勝したこともあるくらい強い。


「師匠?」


「うん。ずっと前に、市営コート自主練してた時に試合して、それから色々教えてくれてたの‥‥全然来てくれなかったから、心配してたんですよ」


「ごめんね、受験とか色々忙しくて‥‥由香は何でここにいるの? 友達?」


「妹です」


三神さんの疑問に僕が答えると三神さんがびっくりした顔になる。


「妹!? 嘘‥‥」


「本当ですよ」


「え、でも‥‥似てないし‥‥由香の方が大きい‥‥」


「それでも妹です! 僕より大きくても!」


僕は思わず大きな声を出す。


気にしてることをストレートに言われたんだからしょうがないと思う。


「あ、ごめん‥‥つい」


「もういいです、さっさと行きましょう」


そうして僕達は歩き始めた。


「へぇ、三神さんは二宮さんの友達なんですか」


僕たちは目的の場所まで徒歩で、色々なことを喋りながら向かっていた。


その話の中には僕の知らないこと(三神さんが二宮さんに家に居候してることなど)も含まれていた。


「あの‥‥まだ怒ってる?」


三神さんがおそるおそると言った感じで僕に聞く。


僕は黙ってすたすた歩く。


別に怒ってるわけじゃないけど、気にしてたこと言われたんだからこれくらいいいんじゃないだろうか?


「ダメですよ三神さん、悠は私より背が低いの気にしてるんですから」


「怒るよ、由香」


「でも大丈夫ですよ、三神さん。明日になったら機嫌直ってますから」


由香が僕をナチュラルに無視して三神さんに言う。


「ところで、何で三神さんも来たんですか? 悠は二宮さんを呼んだんですよね?」


「それは‥‥」


三神さんはそこまで言って僕達の後ろからずっと僕達を睨みつけていた二宮さんを見る。


「真鈴が一人で行くのは緊張するからダメだって言って私を無理矢理連れて来たの‥‥全く‥‥ヘタレなんだから」


「あれは! ‥‥葉がデートとか言うから!」


「だって付き合ってる男の子が『どこかに行こう』って誘ったら普通デートだと思うじゃない‥‥一之瀬君は違ったみたいだけど」


三神さんが僕をちらりと見る。


「凄かったわよ? あわてふためいちゃて、準備出来たからもそわそわしちゃって‥‥」


「よ、葉!」


真っ赤になった二宮さんがにつかみ掛かるくらいの勢いで三神さんに詰め寄る。


「何よ、本当のことでしょ?」


三神さんがニヤニヤしながら言う。


「悠も一緒ですよ。妙にそわそわしちゃて‥‥」


由香と三神さんが二人で僕と二宮さんのことを笑いながら話している。


そういうのは本人がいないところでやって欲しい。


そんなことを考えながらしばらく歩いていると、急に右手が温かいものに包まれた。


右手を見ると二宮さんの手に軽く握られていた。


「二宮さん‥‥?」


二宮さんの顔を見ると、さっきよりも顔を赤くしていた。


「い、一之瀬は‥‥こういうの、嫌か?」


二宮さんが裏返った消え入りそうな小さな声で僕に尋ねる。


「嫌なんて‥‥そんなわけないじゃないですか‥‥嬉しいですよ、とっても」


僕がそう言って微笑みかけると、二宮さんはさらに赤くなる。


「そ、そうか‥‥」


二宮さんはそう言うともっとしっかり僕の手を握る。


「二宮さんの手‥‥温かいんですね」


「一之瀬の手が冷たいんだ‥‥冷え症なのか?」


「そんなことないですよ‥‥冷え症なのは八雲ですから」


「そうなのか?」


「はい。ひどいですよ、あいつの冷え症は‥‥」


そんなたわいもない会話をしていると、二宮さんの隣から由香が不機嫌そうに顔を出す。


「二人とも何いちゃいちゃしてるの?」


「いちゃいちゃ‥‥なの、これ?」


「いちゃいちゃじゃない? なんかラブラブオーラ全開だし」


僕が聞くと三神さんが答える。


「ラブラブオーラって‥‥」


「そんなもの出てない!」


僕と二宮さんがほとんど同時に言うと、三神さんが苦笑する。


「何恥ずかしがってるの? もうキスまでした仲でしょ? 今更恥ずかしがることないじゃない」


「キス!?」


三神さんの言葉に一番早く反応したのは由香だった。


「ちょっと、キスってどういうことよ悠! いつの間にそんなことを‥‥」


「確か付き合った初日でしょ?」


「そうなの!? いつのまに!?」


「えぇと‥‥」


僕が言おうとすると顔を真っ赤にしっぱなしの二宮さんに口を塞がれた。


「そ、それは秘密だ。一之瀬も言っちゃダメだ」


「秘密も何も一之瀬君の家でしょ? それまでずっと誰かと一緒だったんだから」


「葉!」


三神さんに二宮さんが僕の口を塞いだままの体勢で(なかば抱き抱えられ)詰め寄る。


「私達の家って‥‥あ、二人で勉強するとか言ってた時でしょ!?」


由香がそう言うと二宮さんがびくっとする。


‥‥二宮さんは嘘がつけない体質のようだ。


「やっぱり! 絶対何かすると思ってたのよ!!」


「いや、あれは‥‥事故みたいなもので」


二宮さんが必死に弁明する。


確かにあの時は雰囲気に流されてって感じだったから、事故と言えると思う。


「それに私は‥‥一之瀬の、こ、恋人だからな」


二宮さんが俯いて呟く。


「うぅ‥‥二宮さんばっかりズルい! 悠、私にもキスして!」


由香はそう言って僕の手を引っ張る。


「だ、ダメだ! 私以外の人にキスするなんて‥‥絶対ダメだからな!」


二宮さんはそう言って僕の口から手を離し、由香が引っ張ってる方とは逆の手を掴む。


「二人共‥‥一之瀬君困ってるじゃない」


三神さんが呆れながら助け舟を出してくれる。


そのおかげで二人とも離してくれた。


「じゃ、さっさと行きましょう」


僕はそう言って再び歩き始める。


と、由香が僕の耳もとに近づく。


「絶ッ対家帰ったらキスするからね」


由香はそれだけ囁くと僕から離れた。


「何を言ったんだ?」


「別に、何でもないですよ。ねぇ、悠?」


「‥‥うん‥‥」


とりあえず僕に出来ることは家に着くまでに忘れててくれることを願うことだけだ。



いつになったらこいつらは夢魔の巣にたどりつくんでしょうか?

って自分次第ですが。


ちなみに友人の布教活動のおかげか、アクセス数が二万人を突破しました。

みなさんありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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