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贅沢な君よりも

作者: T

いつか僕も

君が憎くて仕方なかった

僕は何者にもなれないのに君は何者にもなれる

君は舞台の上で公演をしているように生きている

スポットライトを浴び、拍手喝采

君はきっとそんな過去を歩んできて、未来もそうだろう

綺麗で、美しい

僕は観客側で一生その舞台に立つことは無いだろう

観客側にスポットライトが当たることなどもない

ただ、僕も舞台に立ちたいと思う

だけど、舞台に立ったところで君のように公演などは出来ない

拍手喝采などではなく、そもそも誰にもみられない

木の役ですら舞台上の光を浴びれるが

僕はきっとなんの役だとしても浴びれない

暗い舞台の上で暗い観客席を目に入れながら暗い公演をする

つまらない公演であり、つまらない人生だ

誰かは言った

一人一人が主役なのだと

これを納得できる人間は自分が気づいていないだけで元から主役級の役で公演をしている

スポットライトを浴び、照らされ

生き生きと人生を謳歌するんだろう

その主役級の役の中でも君は別格だったと思う

君の器用さが欲しかった

君の誰からも好かれる顔が欲しかった

君の人あたりの良さが欲しかった

君の頭の良さが欲しかった

全て僕にはなくて君にはある

君の全てが僕のものだったらいいのにと何回も思った

神様は何もくれなかった

器用でもなければ顔がいい訳でもない

人当たりがいい訳でもなく頭がいい訳でもない

それでも生きてる

生きてしまっている

君を殺す勇気もなければ

僕を殺す勇気もない

何も出来ない

なにかしようと思うほど空回ってる気がしてならない

君に向けられている羨望の目も嫉妬の眼差しも

全て僕に向けられればいいのにと何度思ったかわからない

全て欲しいわけじゃない

それほど贅沢なことは言っていない

僕は君に視線を向けるうちの一人だということに早くから気づいてしまって後悔している

君が悪いわけじゃない

そうだとわかっているけれど

だけれども、君が憎らしくて仕方ない

君が僕の世界から消えて欲しいと思う

だけど君は消えない

君はまるで太陽みたいで

近づけば近づくほど僕を蝕んでく

僕の生きる意味を奪われる

人が太陽に照らされ影ができるように

当たり前のように僕は影に吸い込まれる

だから、ただ切実に君の世界から僕が消えることを願っている

太陽から見ても、一つの影が消えたところで何も変わらない

主役から見ても、スポットライトが当たらない役が消えたところで何も変わらない

そう願うのは贅沢だろうか

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