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死んだ。――そう思った。
数時間前までは、ただの高校生だった。
数分前までは、ただの古びた屋敷にいた。
「もう無理だ……」
覚悟は、とうに折れていた。
肩は震え、視界は涙でにじみ、音だけが耳に刺さる。
そして私は、ただ呆然と、突入してきた黒服たちを見つめるしかなかった。
――そのとき。
ズゥウウウン……と、腹に響くようなエンジン音。
突入した彼らのさらに奥、崩れた壁の向こうから現れたのは――
銃声。閃光。
一人、また一人と、黒服たちが崩れ落ちていく。
そして煙の中から、巨大なアメリカンバイクに跨った少女が現れた。
黄色い革のジャケットに、風になびく髪。
彼女は目の前の混乱を一瞥すると、私に向かってこう叫んだ。
「行くよ、乗って!」