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はっきり言って、祖父は変わり者だ。
最後に会ったのは小学生のころ。
それっきり、一度も会っていない。
生まれたころから仮想世界で生活するのが主流の時代で、
労働階級でも、現実世界主義者でもないくせに、
あの人はずっと、わざわざ実在する世界で暮らしていた。
正直、意味がわからない。
でもわたしによくしてくれてたし、時折連絡も来ていた。
「おい五月、聞いてるか?」
個人VCのシュウの声に、私ははっと顔を上げる。
「ん……あ、ごめん。ちょっとメール来ててさ」
「なんだよ。今日、放課後ヒマかって聞いたのに」
「ごめん、シュウ。今ちょうど予定できた」
言いながら、ウィンドウを指でスワイプしてメールを閉じた。
「じいちゃん、死んじゃったって」
「……えっ、マジか。ごめん」
「いーの。そもそも疎遠だったし。
でも親族、私しかいなくて。
それでさ、じいちゃん、リアルに住んでたから——遺品整理しに行けって」
「そりゃ大変だな……なんか、手伝えることあるか?」
「大丈夫。一人で行ってくるよ」
「……わかった。気をつけろよ」