赤
夢に、幻、理想郷……
まったく、沢山あるよなぁ。
俺が実動部隊でさ。あっちにこっちに指令を回す。
「こうする予定、よろしくな!」
あちこちの友だち、声かけ回ってる。
「おうよ、今度はそれなのか」
彼らは気前がいいからさ。二つ返事で引き受けて、俺を見ては笑ってくれる。
「そうだよ、本当に困っちゃう。俺の上司が横暴で」
「言ってやるなよ、仕事だろ?」
「うんまぁ、それはそうだけど」
会話するのもそこそこに、俺は次の仕事へ向かう。
『夢見てる時間もありゃしねぇ』
今月、俺は出ずっぱり。
後ろに引っ込む暇がねぇ。
「人気者は大変よ」
人気があるのは……俺が運んでるモノだけど。
それが届くということは、俺が動いているからで。
俺も人気者ってことでいいだろう。
たぶん、これが俺の夢。
「どうにかして有名になって、人から求められる人気者になりたい」
子どもみてぇな、俺の夢。
普段は忙しくて、そんなの意識もしてないが。
ずっとあるんだ。その気持ち。
何だか重たくなってきた。
あぁ、そろそろ寝る時間。
オッケー、そんなら、寝るとしよう。
残りの仕事は明日の分。
今日はここまで、おやすみよ。
だから、俺は夢をみる。
眠った先で、夢を見る。