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田舎と星の花

ミーンミーンミーンと夏特有のセミの鳴き声が聞こえ、


「暑っつ、、」


と声を漏らす。


周りを見渡せば、ビルもコンビニも何も無い。


ただ緑だけが広がっていた。


やはりここは田舎だ。


歩いても歩いても同じ道のように景色は変わらない。


今の僕は父の友達の家に泊めてもらうために向かっているが、肝心の場所が分からない。


「終わった、、、、」


そう。完全に詰みである。


「あ、竜也くーん!!!」


遠くから僕の名前を呼ぶ男性が走ってくる。


「ごめんごめん、肝心の場所言うの忘れてたね。こっちだよ」


と案内される。


多分、この人が父の友達の健二さんだろう。


いかにも優しそうな人だ。




案内された場所は先程の景色と変わらない。


1つ変わったことといえば山が増えただけだ。


「健二さん、これからよろしくお願いします。」


と僕は丁寧に挨拶をした。


「そんなかしこまらなくていいよ!!もっとリラックスして接していいよ」


と言い笑った。


「健二、その人、誰?」


と途切れ途切れの日本語で少女が健二さんに話しかけた。


「この人は竜也くんっていう今日から家で一緒に住む人だよ」


健二さんが少女に言うとその子は無反応だった。


「よろしく」


と僕が言ってもその子はやはり無反応だった。






次の日、僕が起きた時間は8:00。


健二さんが起きた時間は5:00。


早すぎる。


そして今不思議なことに僕の隣に昨日の少女が座っていた。


「これ、あげる」


そう言って僕に何かを渡した。


僕はそれを受け取り、見てみると虫だった。


しかも大量の。


僕は驚いて獣のような声を上げた。


その瞬間、その少女はどこかへ逃げていった。




あいつめ、、、


僕はこのことをずっと根に持っている。










こんな夏の田舎で僕に出来ることは当然何も無い。


健二さん達は畑仕事をしているが僕は体力が無いので即断念した。


「おい、竜也、山、行こ」


「は?」


こんな暑い中山に行くだと?


正気か?


「早く」


「わかったわかった」




山に登り始めて10分が経過した。


「ちょっと、、待って、、」


10分しか経っていないのに僕の体力は限界だった。


なのに、


こいつは僕を置いてどんどん先へ進んでいく。


「竜也、遅い」


「お前が、、早すぎんだよ、、」


「竜也、私、お前っていう、名前じゃ、ない」


「じゃあ名前教えろ」


「無理」




というか気にも止めていなかったが、


なんでこいつはこんなにカタコトの日本語なんだ?


もしかして外国人、、んなわけないか。


黒髪黒目明らかに日本人だった。


訳ありとかか、、?


「暑、、」


考えているだけで暑くなる気がする。


「竜也、こっち、来い」


「はいはい、、」


なんか立場逆転しているような、、。


とりあえずこいつのことは帰ってから健二さんに聞くことにした。




「竜也、見て、ここ、私の、お気に入り」


そう言って見せてきたのは小さな池の周りに花がいっぱい咲いていた場所だった。


「綺麗、、」


「でしょ?」


とドヤッとするこいつに少し腹が立った。


「竜也、食え」


そう言いながら木苺らしきものを僕に渡してきた。


「これ食べていいやつか、、?」


よく分からないものは食べない方がいいんじゃないか?


そう言おうと思ったがもう遅かったようだ。


「大丈夫、いつも、食べてる」


僕は恐る恐るその木苺らしきものを口に入れてみた。


甘酸っぱい風味が口の中に広がり、暑い夏に食べると後味がとてもスッキリする美味しいものだった。


「美味いか?」


「、、美味い」


「そうか!!」


そう言ってこいつは満面の笑みを浮かべた。






その夜、僕は健二さんに少女のことを聞いてみた。


すると、あいつは捨て子であの池の近くで拾ったらしい。


言語はままならず、親もいない。


そんな場所で育ってきたため、カタコトな日本語になってしまうということだった。




「健二さん、今一瞬外に出てもいいですか?」


「あ、あぁ、構わないけど、?」


「あ、それとあいつ連れてくんで」


「え、あ、、うん、」




「竜也、呼んだか?」


こいつの耳は地獄耳らしい。


「外行くぞ」


「なんで」


「夜空見よう」


「真っ暗だぞ?」


「いいからいいから」


確か本で読んだことがある。


『田舎の夜空は都会の夜空と比べ物にならない』と。




「綺麗!!!竜也!!綺麗だぞ!!」


「うん。本当に綺麗だね」


夜空を見た瞬間こいつの目も夜空のようにキラキラ輝いてた。


「なぁ、お前さ本当は名前無いんだろ?」


「なんで、わかった?健二から、聞いた?」


「いや、僕の勘」


「ふーん」


「名前、僕がつけてあげようか?」


「いいのか!?」


「全然いいよ」




と言ったものの、僕のネーミングセンスが問われることだ。


星空のように綺麗な名前、、、。星花とか、?


あいつあそこの池がお気に入りの場所らしいし、。


そういえば星の花と言えば花火が思いつくな、、。


いつか一緒にみたいな、、。


「、、、星花」


「、せいか、、?」


「うん、お前の名前は星花」


「星花、、!」「私の名前は星花だ!!」




「あとな、星の花と言えば花火というものが世の中にあるんだ」


「花火、?」


「そう、花火。夜にしか出来ないものでとても綺麗なものだよ」


「へー!!見てみたいなぁ、、」


「いつか見に行こう。一緒に」


「いいのか!?」


「うん」


「じゃあ約束!!」




この時の星花の笑顔はまるで花火のように見えた。

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