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地球が現代ダンジョン化したときの世界状勢

作者: うにっと

世界観を書いただけのものとなっています。

感想・意見等あればコメントお願いいたします。

この世界がダンジョン化してからおそらく十日ほど。M(マトリクス)D(・ダメージ)S(・システム)が発動してから三日になる。世界が剣と魔法の世界に移行しつつあることは、最早誰の目にも明らかなものとなっていた。


モンスターはどんな場所にもスポーンしてくる。道路の上や線路の上、下水管の中。家の中にも湧いてくる。一番悲惨なのはトイレやお風呂だ。一応人間(プレイヤー)の一定距離以内には湧かないようにはなっているようなので、寝込みを襲われることはあまり無い。だがちょっとした不注意で死にかねない状況だ。まだドアを開けられるほど賢いモンスターは確認されていないが、いつから戸締まりを忘れると死にかねない状況になるだろう。

現状スポーンは差程多くなく、まだ致命的な事態には至っていないが時間の問題だろうと言われている。何故なら、少しずつだがモンスターが強く、スポーンが多くなってきていることが分かってきたからだ。


既存の科学は使えなくなった訳ではない。だがその科学に支えられた社会というのは意外にも脆いと言うことが分かってきた。元来より富士山が“ちょっと”噴火しただけで東京は麻痺すると言われてきたのだ。モンスターが線路上に湧けば交通網はストップするし、モンスターが電線を食べるようなことが起これば停電が発生する。

社会とはそこに属する知性体を定義して初めて成立する。そしてそれは今までは人間だけで良かった。元々の社会にも突然人を切りつけるような、人間なのか怪しい奴らも存在してはいたが、少なくとも人間であることは確かだった。今湧いているモンスターの中でそこまで賢い物は確認されていない。だがスポーンするモンスターの強さが上昇しつつある中で、賢さも上昇し得ることは明らかなように思えた。もし人間と友好関係を結びたいモンスターが現れたときどうするか。友好的に見せかけて騙してくるようなモンスターが現れたときどうするか。人類は今後問われることとなるだろう。


だがモンスターよりも恐ろしいのは人間の方かもしれない。世界が変化したことで、力の無かった犯罪者予備軍に力が与えられた。レベルアップを遂げた人間は、そうでない人間よりも力が強くなる。こちらはあまり問題ではない。ステータスはレベルと比例ではなく一次関数なので、レベル0とレベル1でそこまで致命的な差が生まれることはない。問題はスキルである。大体のスキルは何かしらの方法で犯罪に転用できると言われている。そして、スキルは全部で何個あるのか確認できていないほど種類が多い。その中でも【解錠】等の盗賊系のスキルが危険だと言われている。もちろん、見つかっていないスキルを合わせたらリスクが無限大に広がるだろう。スキルでなくても、十分に高いレベルならパンチで家の壁に穴を開けられる筈だ。


年齢格差も大きい。大人に比べて子供は弱いので、モンスターを倒すことは出来ない。小学校では「すぐ逃げろ」と教わっている筈だ。知識や判断力の乏しい子供が力を握るよりかは安全な気もするが、今まで以上に自衛ができなくなっていることには注意しなくてはならない。状況的には、いつ子供が誘拐等の犯罪に巻き込まれてもおかしくないのかも知れない。

大人よりも経験値を稼げているのは高校生や大学生だ。大人はこんな時代でも会社に行って時間を忙殺されている。一方の学生は暇だ。そもそもこんな世界だ。勉強する意味を見失ってしまっている。社会奉仕とかそういう名目で授業中でも平気で外へ出てモンスターを狩っている。大人に比べれば無尽蔵に体力を持っている彼らは、あと数ヶ月したら日本の支配者になっているかもしれない。そうなったとき日本どうなるのだろうか? 支配体制は? まともな運営が出来るのか?


先ほど大人は会社に行っていると言った。そんな感じで、ゾンビパニック物にありがちな一夜にして社会崩壊という事態には至っていない。“ダンジョン化”が段階を踏んで行われているというのが大きいのだろう。大人は会社に行き子供は学校ヘ行くというのは先程述べた通りだ。もちろん、物理的理由などで会社や学校に行かない人は増えており、その秩序が崩壊しかかっているのは確かだ。だがそれでも政府は政府という体を成しているし、既存の利害関係はそのままである。


既存の利害がそのままということは、そう。戦争も終わっていないことを意味する。


最も戦争が激しいのは、やはり、最も長く激しく続いているウクライナ戦線である。お互い数キロメートル離れて大砲を撃ち合っているこの戦場に於いて、スキルでいくら剣術が上がっても無意味であるし、覚えたての初級魔法では相手方まで攻撃が届かない。要するに戦場では鉛弾による旧時代的な火力が未だに絶対的であるのであった。変わったことと言えば、兵士が少しだけ頑丈になったことくらい。

ある意味では、“ダンジョン化”によって最も何も変わっていない場所は戦場であると言える。兵士のレベルが上がって戦場の火力に追い付くまで、戦場は以前と変わらぬ様相を見せることになるだろう。


だがその戦場に必要な弾丸等の物資が製造・運搬出来なくなった場合はその限りではない。モンスターによって、ありとあらゆる施設が襲撃される可能性がある。そしてその全てを守れるほどの人員は存在しない。

この社会はそれまで驚ほど繊細な繊細な設計でその巨体を維持してきた。しかし、“ダンジョン化”によってそのどの弱点から壊れてもおかしくない状況になっている。例えば、海運が止まれば食料自給率の低い日本はあっという間に飢餓に見舞われるだろう。


最終的には、複雑で巨大な社会システムが崩壊し、単純で小型な社会、よくファンタジー作品でありがちな“中世”くらいの社会へと変化すると言われている。

「ここはどうなってるんだ?」とか、「そうはならんやろw」とかそういった意見をお待ちしています。もちろん、それ以外の感想も待ってます。

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